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メーデー

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 飛行機は、事故と問題解決の歴史でもある。

 事故が起こるたびに改善していった。そのたびに安全性が高まっている。ゆえに安全性が高いと。

 しかし、それは味方を変えれば、人の犠牲で安全性を高めていることに他ならない。

 それはまさしく許されざることだ。

 だが、科学はヒトの世界を豊かにする。その解決技術が開発されたのだ。

 それは、事故発生直後に問題を察知し、問題をすぐさま解決するという技術だった。

 つまり、センサーであますことなく機内を確認し、そしてそれをシミュレーションにかけてどういう問題が発生しているのかを検出するのである。そして、ナノマシンや小型ロボですぐさま修復やパーツの好感を行う。

 つまり探知、計算、遠隔操作技術、この三つの科学力が高まることで生み出された技術だった。

 それは交通機関だけでなく、一般的にあらゆる建造物、あるいは医療、あるいは人型ロボットなどにも使用されたのだ。

 当然だ。それはつまり、世界を支配する技術に他ならない。インプットと計算とアウトプット、コンピューターにおけるその三大要素が、現実改変に応用できたのがこの技術なのだ。

 だがしかし、その世界で戦争が起きた。当然、権力だけの心が醜い幼稚なゴミ人間たちはその技術も戦争に利用することを命令した。

 人や機械に再生能力、強化能力などを搭載した兵器同士が戦った。それはまさしく不毛。

 倒しても倒しても復活する。

 そしてついに、周囲の空間自体を崩壊させるナノマシンを散布し始めたのだ。

 対し、その名のマシンを破壊する防御用ナノマシンも。

 そして、その偶然が重なり、地上から文明が消え去った。人はかろうじて生きていたが、科学が忘れ去られていった。

 だが、そのナノマシンは残り続け、人の思念で操ったり情報を得ることができたのである。

 それが魔法と呼ばれるものになった。。

 宗教的には破壊のナノマシンをシヴァ、創造のナノマシンをブラフマーと神格したのだ。
 
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