プリズム・オムニバス＝オムニバス ドシリアスからギャグまで色々な世界を覗けます

天国と地獄

　あるマゾヒストがいた。

　彼は自分を悼みつけるのが何よりも快感であった。

　しかし、間違えて死んでしまったのだ。首絞めプレイをやりすぎたのである。

　そして、彼は地獄に行った。彼は何の罪も犯してはいないが、そのコミュニティでの宗教観だと自殺は罪だからである。

　そして、その地獄は、彼にとっての地獄・・つまり・・

「痛みつけられない・・？！包丁も縄もない・・？！すべてが安全な世界・・！！」

「これじゃ快感を得られないじゃないか！！」

　労働、疲れからくる快感も得られないよう、働かなくてもいいようにお金も支給されるその世界。さらに、徹底され、もし働いたり、苦痛から快感を得ようとすれば、時間が巻き戻り行為がリセットされるのだ。

　死んだら針山地獄とか、熱湯風呂とかを期待していた彼は、こう叫んだ。

「誰かぁああ！！俺を地獄に連れていってくれぇえ！」

　そう、それこそが彼にとっての地獄だった。




　そして、ある聖人がいた。　

　その聖人は、人を助けることを生きがいとして、常に働き続けていた。そう、実は彼はマゾヒストであり、そのために働いていたと言ってもいい。

　だがその過労がたたり、彼は死んでしまった。

　そして彼は天国に行くことになった。

　だが、彼にっての天国・・それは・・

「ははは！！いいぞー！！」

　そこは、常に働くことができる世界。マゾヒストのため苦痛も増大するように、針のむしろや地獄風呂なども併設されていた。

　そう、一般的にそこは地獄とも呼べる風景だったのだが、

「ここは天国だぁああ！！」