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本当に世界を救わねばならないか?
しおりを挟むある世界、そこには絶対に繁栄を約束された王国があった。
いや、違う。正確には、滅びることを許されない王国、ともいうべきだ。
「というわけで、貴方様は、救世主なのです」
「・・・・」
その王子は、最初に教育係からそれを聞かされた時、あまりピンとこなかった。
その内容はこうだった。『代々この国の王は、百年ごとに生贄となって世界にエネルギーを補充させなければならない』加えて、『そして、その生贄となるのは、ちょうど百年周期に当たったあなただ』ということだ。
つまり、自分はこの世界を救うために、二十歳になる前に死ななくてはならないのだ。
「あなたは立派にこの世界、全人類の役に立てるのです。立派なあなたならその身をこの世界のために差し出してくれますね」
「はいっ!」
そう元気よく返事をしたのは、あまりピンと来ていなかったからだろう。
だが、実際、二十歳が近づくにつれ、死への恐怖が高まっていった。
「死にたくねぇな・・」
いや、それ以上に・・
「がはは!!おう!●●!!酒はどうだ!!がはは!!」
父親は毎日酒池肉林。
「あら、●●。起きたのね。命が短いのだから、そろそろ拷問デビューしたら?」
母親は罪のない人々の拷問が趣味。
「ほら!!立て!●●!!オツトメの者とはいえ、弱いことは許されんぞ!!」
戦争好きの、しごきが趣味の祖父に、
「あら、●●ちゃん!!あなたにプレゼントよ!宝石や金をたっぷり使ったお洋服!」
光物の収集が趣味の、金に目がくらんだ祖母。
他の親戚、貴族なども同様だった。
醜い姿。どうでもよいものにうつつを抜かし毎日を生きている。それも他人に苦痛を味合わせ、迷惑を掛けながらだ。人を襲うモンスターと同じ。害獣としか言いようがない。
違うのは、権力、地位が他の者に比べ莫大に高いというだけだ。
だからこそ、彼は、人が嫌いだった。
そう、滅ぼしたいと思うほどに。
そして、二十歳。
彼が生贄になる日だった。
専用の祭壇の前に来た時、周囲の見つめる中、彼はとらえられていた。
逃げることは許されない。生まれたときから常に監視されている。それは城から逃げ出した経験から明らかだった。
「お別れね●●」
「貴様はあの世でも」
「なんて立派な姿なの」
「ありがとう!!●●王子!!●●王国万歳!!」
「みんな・・・」
だが、その日のために、彼はこっそりとある魔法を練習していたのだ。
それは、転移魔法。
そう、彼はそれを発動させるとともに、言ったのだ。
「みんな・・しね」
同時に彼は、誰も見つけることができない、未開の辺境へと降り立った。
そして、心の底から笑ったのだ。
「くっくっく、、、かっかっか、、あーっはっはっは!!」
数年後、世界は滅んだ。
だが、それは必要なことだったのだ。次の人類が生まれてくるために、必要な滅び。
彼らはそれを無理やり不死の血を利用して長引かせていたにすぎない。
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