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聖典
しおりを挟むある世界に、偉大なものがいた。
彼は、魔法で世界を救う救世主だった。
彼の手によって、諸悪の根源である魔王を断ち、そして世界に平和が戻った。
だが、彼は予感がしていた。
その強すぎる予感は、彼に確信を抱かせた。そう、これから未来、自分が死んだずっと先に、再び魔王は現れるのだと。
その対策として、彼は聖典を作り出した。
聖典は、自身のような魔法使いを人工的に作り出すための修行の書である。
修行方法、日常で気を付けること、または魔力の多く含んだ食べ物や、力のあるスポット、動物など。
そして、大事なこととして、その実際の修行方法に加え、道徳的な物語も付け加えた。
例えば、悪いことをすれば必ず自分に返ってくる、良いことをすれば天国に行ける、などと言ったものである。
これは彼自身の正義の心に起因するもの、戒めのようなもので、いわば、偽りでしかなかった。
しかし魔法を扱うものが悪として暴走すれば、世界は破滅する。その点でもこの道徳的な物語は欠かすことのできないパーツであった。
そして、この聖典を世の中に広めるたびに出ようとした。
だが、その前に刺客によって彼は命を奪われた。
その聖典は、悪い権力者の手に渡り、改変されて世界にばらまかれたのである。
改変された箇所は、二か所。魔法を使う方法と、そして末尾である。
一般人に力を持ってほしくないためにそれを削除したのだ。
魔法を使う方法は、彼の信者によって徐々に広まっていったが、しかし末尾に記載された一文が、長らく謎だった。
だが、ようやく発見した考古学者の手によって、それが明らかになったのである。
それは次の一文だった。
「ここに記載したこと、私の言う全て、誰かの言った全て、この世で最も強い者、魔法、王族、法律、自分が大事なもの、この世界の全て。
それらは時に敵になる、そうなった場合、ためらわず破壊せよ」
破壊こそが、一番安全なのだ。
何故ならば、善だけでなく悪とは、力にこそ宿るものだからだ。
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