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新生活 〜Side S〜
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貴俊は僕と一緒に住むにあたって、オメガに関すること、オメガに対する対処というのを今日実家を出る瞬間まで口酸っぱく言われてきたらしい。
「初めて母親をぶん殴ろうかと思った…」
憔悴が見える貴俊がつぶやく。
優秀なオメガである貴俊の母親によるマンツーマンのレッスン。
それは、母親から年頃の息子へとレクチャーするにはあまりにも生々しいモノも含まれていたらしい。
母親に圧迫され続けた貴俊は、この家に来て二人きりで僕のフェロモンを感じて、たまらずに僕を抱きしめてしまったのだ。
ソファに座った貴俊は、うなだれて意気消沈している。
「ほんと、嫌だったら殴ったり蹴ったりしてくれていいから」
こんなに自分の理性が緩かっただなんて。
貴俊は初めてどうにもならない自分のアルファの性に直面した。
「だからさあ…」
僕はちょっとムッとする。
「貴俊のことは嫌じゃないの!だから…ほんと、謝らないで」
僕はこんなに貴俊のフェロモンに包まれて安らげているのに。
謝られてしまったら、僕の独りよがりかと寂しくなってしまう。
「すまん」
「たかとし?」
もう一度謝った貴俊に向けて、片眉をあげて怒ったフリをしてやる。
そんな僕を見て、貴俊がクスクスと笑い出す。
「こんなアルファだけど、これからよろしくお願いします」
「……それって僕は、不束者ですが、って挨拶返した方がいいやつ?」
軽く返したつもりなのだけれど、僕の言葉を聞いた貴俊の顔が一気に紅くなる。
「えっ…ちょ……」
そんな反応されたら、こっちも照れる。
「と、とりあえず!届いてる荷物片付けよう!!」
いたたまれなくて、僕は自分用になる部屋へと逃げ込んだ。
今日、僕らは顔を合わすのは二回目なはずだ。
それなのに、妙にしっくりくる。
一緒にいて、苦じゃない。
僕は部屋にある段ボールの荷物を片付けつつ、貴俊のことを考えてしまう。
アルファはそもそもイケメンだ。
その中でもアルファとしての性が強い『狼』である貴俊は、ずば抜けている。
イケメンというより眉目秀麗。どこぞのモデルかと思ってしまう。
長身で、ガッチリと鍛えられた肉体。
ずっとバスケをやってきたらしい。
ちょっと貴俊がプレーしているところを見てみたい気もする。
そこまで考えて、僕はその場で頭を抱えた。
僕は恋する乙女か。
貴俊のことが気になってしょうがない。
一緒にいることで、弾む心はどうしようもない。
これは僕がオメガで、彼がアルファだからだろうか。
わからない。
でも、自分に纏わりつく彼のフェロモンは心地よいと感じてしまう。
発情期じゃないのに、濡れてしまいそうだ。
「あ……」
自分の思考がオメガに支配されそうになるのがわかる。
『狼』のアルファってすごい。
そばにいるだけで、自分のオメガがうずくのだ。
まだ一日目なのに。
こんなことでこれから先、無事に同居していけるのだろうか。
「貴俊に…慣れなきゃな」
生まれて初めて、こんなにアルファのフェロモンを浴びるのだ。
耐性がつくまで我慢だと、自分自身に言い聞かした。
「初めて母親をぶん殴ろうかと思った…」
憔悴が見える貴俊がつぶやく。
優秀なオメガである貴俊の母親によるマンツーマンのレッスン。
それは、母親から年頃の息子へとレクチャーするにはあまりにも生々しいモノも含まれていたらしい。
母親に圧迫され続けた貴俊は、この家に来て二人きりで僕のフェロモンを感じて、たまらずに僕を抱きしめてしまったのだ。
ソファに座った貴俊は、うなだれて意気消沈している。
「ほんと、嫌だったら殴ったり蹴ったりしてくれていいから」
こんなに自分の理性が緩かっただなんて。
貴俊は初めてどうにもならない自分のアルファの性に直面した。
「だからさあ…」
僕はちょっとムッとする。
「貴俊のことは嫌じゃないの!だから…ほんと、謝らないで」
僕はこんなに貴俊のフェロモンに包まれて安らげているのに。
謝られてしまったら、僕の独りよがりかと寂しくなってしまう。
「すまん」
「たかとし?」
もう一度謝った貴俊に向けて、片眉をあげて怒ったフリをしてやる。
そんな僕を見て、貴俊がクスクスと笑い出す。
「こんなアルファだけど、これからよろしくお願いします」
「……それって僕は、不束者ですが、って挨拶返した方がいいやつ?」
軽く返したつもりなのだけれど、僕の言葉を聞いた貴俊の顔が一気に紅くなる。
「えっ…ちょ……」
そんな反応されたら、こっちも照れる。
「と、とりあえず!届いてる荷物片付けよう!!」
いたたまれなくて、僕は自分用になる部屋へと逃げ込んだ。
今日、僕らは顔を合わすのは二回目なはずだ。
それなのに、妙にしっくりくる。
一緒にいて、苦じゃない。
僕は部屋にある段ボールの荷物を片付けつつ、貴俊のことを考えてしまう。
アルファはそもそもイケメンだ。
その中でもアルファとしての性が強い『狼』である貴俊は、ずば抜けている。
イケメンというより眉目秀麗。どこぞのモデルかと思ってしまう。
長身で、ガッチリと鍛えられた肉体。
ずっとバスケをやってきたらしい。
ちょっと貴俊がプレーしているところを見てみたい気もする。
そこまで考えて、僕はその場で頭を抱えた。
僕は恋する乙女か。
貴俊のことが気になってしょうがない。
一緒にいることで、弾む心はどうしようもない。
これは僕がオメガで、彼がアルファだからだろうか。
わからない。
でも、自分に纏わりつく彼のフェロモンは心地よいと感じてしまう。
発情期じゃないのに、濡れてしまいそうだ。
「あ……」
自分の思考がオメガに支配されそうになるのがわかる。
『狼』のアルファってすごい。
そばにいるだけで、自分のオメガがうずくのだ。
まだ一日目なのに。
こんなことでこれから先、無事に同居していけるのだろうか。
「貴俊に…慣れなきゃな」
生まれて初めて、こんなにアルファのフェロモンを浴びるのだ。
耐性がつくまで我慢だと、自分自身に言い聞かした。
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