転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
369 / 533
13章

ピリクの街でオフモード

しおりを挟む


◇ ◆ ◇

 次の日、長もやしと豆乳の説明を忘れていた私は、再び村人達に集まってもらって説明。ついでに料理教室を開いた。

 作った豆乳と豆乳スープのレシピは簡単にメモって村長に渡しておく。
 村長の目がさらに心酔した気がしたけど、気にしたら負けだ。

 ミソの実とショユの実は食べられないと思っていた村人達は、邪魔な木だと思っていたらしい。
 あるおばさんなんか、「いらない物だと思うと匂いすらイラ立つけど、こんなに美味しくなると思うといい香りに思えてくるわ」なんて言っていた。

 石窯でパンのレクチャーをしたときに、冗談半分で味噌パン(群馬名物)モドキを作ってみせると、思いの外食いつかれて驚いた。

「まぁ! これだけでこんなにおいしくなるなんて!」
「前に食べた甘いエダマメみたいだわ!」
「セナ様は何でも知ってるのね!」
「子供も喜ぶし、おなかにも溜まるわ!」

 と、奥様方は大騒ぎ。
 この村にみりんがないから、代わりに蜂蜜使った完全になんちゃって味噌パン。
 まさかもやしよりも喜ばれるとは……

「んん!! こっちも美味しいっ! ミソの実だけじゃないわ! ほら、食べてみて! セナ様もどうぞ!!」

 オーバーリアクションで渡されたパンを見てみると……あろうことか、間に砂糖醤油が塗られたパンだった。
 おばさん達はこれも気に入ったようで、大絶賛しながらつまんでいる。
 お餅ならウェルカムなんだけど、たっぷりと塗られた砂糖醤油パンには惹かれない。
 後で村長にあげようと、こっそり無限収納インベントリにしまっておいた。

◇ ◆ ◇

 もやしや長もやしの栽培、新しいレシピも村人達だけで作れることを確認した私達は、村を出発。
 ものすごーく惜しまれたけど、最後に村人達が育てたもやしをお土産に大量に持たせて送り出してくれた。

 のんびりとピリクの街を目指したハズだったんだけど……道中、グレンやネラース達が嬉々として魔物を狩ってくれていたため、予定より早い到着になった。
 私はその間、ご飯を作る以外はひたすらゴロゴロ。クラオルとグレウスをモフモフしながら寝落ちして、グレンに起こされる二日間だった。

 三日目のお昼、街に入る検問を通過した私達はそのまま真っ直ぐ、前に泊まったタルゴーさんオススメの宿へ。
 ベッドにダイブすると、グレンからお昼ご飯をせっつかれた。
 契約したから食べなくても支障はないハズなのに、グレンだけは食欲が変わらない気がする。

「うぅー。ちょっと面倒……グレンとジルは食べておいでよ。私おなか空いてないし、ゴロゴロしてたい……」
『ダメよ! ただでさえ主様は量食べないんだから!』
「えぇー……二日くらい食べなくても人間死にはしないよ~」

 実際、昔食べるのが面倒で食べない日もあった。三日目くらいからちょっとフラフラするけど、それでも死んだりはしない。
 完全にグータラスイッチが入った私は動きたくない。モフモフしながら幸せな惰眠を貪りたい。
 さぁモフモフタイムだと、寝転がったままクラオルに手を伸ばすと……『ダ……ダメに決まってるでしょーっ!!』と手をバチンと叩き落とされた。
 叫んだクラオルは目が座ってらっしゃる。
 あ……これはヤバげ……

『んもう、主様ったらいつもいつも! ちゃんと食べなきゃダメって言ってるでしょ!? いつも人のことばっかりで! ここ最近前にも増して食べてないじゃない! 主様が倒れたらどうするの!?』
「ごめっ……わかった! わかったから叩かないでー」
『気持ちがこもってないわ!』
「ちゃんと食べるから、そんな怒らないで?」

 クラオルにベシベシと抗議されて私は降参。
 起き上がって謝りながら手を伸ばすと、今度は叩かれなかった。『フンッ』って鼻を鳴らされたけど。

〈ちゃんと食べるなら肉だな!〉
「グレンはいつもお肉じゃん」
〈一番力が出るからな〉
「野菜も食べた……わっ!」

 ベッドから降りようとすると、グレンに持ち上げられて驚いた。

〈疲れてるならわれが運んでやる〉
「……お願いします」

 別に疲れてるわけじゃないんだけど、オフモードが抜けきらないし、甘えちゃお。

 宿を出て、美味しいご飯屋さんを探すのにプラプラしていると、前から歩いて来た人と目が合った。

「お?」
「あ、護衛のお兄さん。久しぶりだねぇ」
「おぉ! 久しぶりだな。この街に戻って来たのか?」
「うん。さっき着いたんだ~。あ! お兄さん、お兄さん。美味しいご飯屋さん知らない?」

 タルゴーさんと初対面のときに護衛していたお兄さんに聞いてみると、少し悩んだ後、「あそこだな」と何やら思い付いたみたい。

「約束だからご馳走してやるよ。そん代わり、メンバーも一緒でいいか?」
「全然いいよ~」
「呼んでくっからちょっと待ってろ」
「はーい」

 あのときの口約束を覚えてるなんて律儀なお兄さんだ。
 五分ほどでお兄さん達は走って戻って来た。

「待たせた」
「大丈夫だよ。走らなくてもよかったのに。みなさんお久しぶり~」

 私が声をかけると、パーティメンバーは口々に「久しぶり」と挨拶してくれた。
 お兄さんの案内で街の食堂へ向かう。
 辿り着いたお店は〝大衆食堂〟って感じで、ゴツイ冒険者達にウケそうな武骨な雰囲気だった。
 お昼ご飯の時間を過ぎているからか、お店は空いていて、すぐに席に座れた。

「店のナリはこんなだが、味は確かだぜ。オススメは……」
われはこのボアとラビのステーキ盛り合わせを大盛りだな!〉

 グレンは早速メニューを見ていて、お兄さんの話をぶった切る。
 
「ごめんね」
「いや、構わん。好きなの頼んでくれ。嬢ちゃんはどうするんだ?」
「私は野菜が多いやつがいいな」
「んじゃ野盛やもり炒めだな」
「ヤモリ!?」

 ヤモリってあのイモリ、ヤモリのヤモリ!? この世界で食べられてるとしても、私は食べたくないぞ……

「ん? 何を想像したのかわかんねぇが、野菜がいっぱい入ったやつを野菜盛りって言うんだよ。俺達冒険者は野盛やもりって呼んでんだ」
「そ、そうなんだ……野菜の盛り合わせで野盛やもりってことね……よかった……」

 ホッと息を吐く私を「常識だと思ってたんだがな……」なんて不思議そうに見つめてくるお兄さん。
 この世界の常識をイマイチよくわかっていないことを痛感した。

「いつも大体作ってたから……」
「あぁ、なるほどな。あのスープ美味かったもんな。な?」
「うんうん! 普通のコンソメスープとはちょっと……いや、かなり違った! 兄ちゃんなんか『もっと食いたい』ってずっと言ってたよ。ね?」

 お兄さんがパーティメンバーに同意を求めると、一番若そうな男の子が反応した。
 男の子に話を振られた男性は「あんなに美味いコンソメスープは初めてだったからな」と、顔を赤くして、恥ずかしそうに答えた。
 
 あのときのスープって……かなり適当に作ったやつだったんだけど……こんなに褒められると、申し訳なくなってくる。

しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

4/10コミック1巻発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
2026/01/20追記 『魔王様、溺愛しすぎです!』のコミカライズ情報、解禁となりました! TOブックス様から出版、1巻が4/10発売予定です。 キャラクターデザインに『蒼巳生姜(@syo_u_ron)』先生! 以前表紙絵をお願いした方です(*ノωノ) 漫画家は『大和アカ(@asanyama)』先生です° ✧ (*´ `*) ✧ ° 連載については改めて発表させていただきますね_( _*´ ꒳ `*)_ 「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2026/01/20 1巻発売日(4/10)発表! ※2025/12/25 コミカライズ決定! ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。