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13章
能ある鷹……かもしれない
しおりを挟む朝早く、集合時間に合わせてギルドを訪れると、既にフリクエさん達のパーティがいた。
「おはよう」
「おはよう。ホントに参加すんだな……」
「強制依頼だからね。っていうか少なくない?」
「それは俺達も話してた」
Cランク以上って言ってたからもっと多いかと思ってたんだけど、私達とフリクエさんパーティの他に三パーティしかいない。
フリクエさんと話していると、「これよりギルマスから説明があります!」とウサ耳お姉さんが声を張り上げた。
それぞれパーティメンバーと話していた冒険者達は、ウサ耳お姉さんの隣りにいるギルマスに注目する。
私達もギルマスに顔を向けると、ギルマスはやる気なさそうに一歩前に出た。
「あー、どうも。ギルマスでーす。今回、Cランク以上と言いましたが、強ーい助っ人が参戦してくれることになりましたので、ギルドの判断でこの場にいないパーティは断りましたー。邪魔になりますのでねー。皆さんには強制依頼となりますが、〝少数精鋭〟ってことで街の人間には通達してませーん。ここにいる皆さんなら大丈夫だろうとギルドが判断したってことですー。倒したイグアナドンはギルドが配布するマジックバッグに入れて下さいー。貢献度で報酬が変わりまーす。何か質問はありますかー?」
「その強ぇやつってのは?」
「それは現場に行けば自ずとわかりますよー」
「子供も参加するのか?」
私を睨み付けながら、モノクルを付けた学者風のおじさんがギルマスに問うと、ギルマスは事もなげに「そうですよー」と答えた。
「オレ達はこんなガキのお守りなんぞごめんだ!」
ビシッ! と私を指さして、別の冒険者パーティの若いお兄さんが叫ぶ。
「遊びじゃねぇんだ。ケガしたらどうすんだ!」
「そうよ! 何で他のパーティ断って、こんな可愛い女の子が参加するのよ!?」
若いお兄さんの横からローブを着たお姉さんまで声を荒らげた。
(あれ? 心配してくれてる感じ?)
お兄さん達の真意がわからなくて無言でいると、ギルマスの口角が一瞬上がった。
「その少女はCランクですし、彼女の後ろで睨みを利かせている男性が護りますので、皆さんの心配には及びませんよー。他に質問はありますかー?」
「……貢献度ってどういうことだ?」
「今回は魔物大量発生とかじゃないんで、素材の傷も考慮しまーす。参加者全員に報酬は出ますが、それ以外の内容は通常の討伐依頼の強制版だと思って下さいー。二パーティで協力して倒した場合、その旨をギルドで説明してくださいねー。あ、強制依頼なんで救護班も同行しますし、ポーション類も用意してありますー。では、マジックバッグを受け取ったら、そのまま馬車置き場に向かってくださーい」
ギルマスの態度に他の冒険者達は眉を寄せてるけど、ギルマスはもう質問を受け付ける気がないみたい。
ギルマスの感じだと、強い助っ人ってグレンっぽいな……
ギルマスは相変わらずやる気がないし、強制依頼なんて言ってるけど切羽詰まった感じがしない。
ギルマスの適当な説明が終わり、スタッフからマジックバッグを受け取った冒険者達はそれぞれのグループ毎にギルドを出ていく。
私にはウサ耳お姉さんがスススーっと寄ってきて、マジックバッグと手紙を渡して去っていった。
「……みんな行っちまったな。俺達も行くか」
「はーい」
馬車置き場に向かうと、用意されていた馬車は三台の魔馬車だった。馬車は大きくて、一台で十五人ほどが乗れるらしい。
一つ目、騎士達と荷物でスペースはなし。二つ目、先に出ていた二パーティと騎士達で埋まってる。三つ目、一パーティだけ乗っていた。
フリクエさん達と一緒に三台目に乗り込むと、すぐに魔馬車が動き出した。
馬車は普段私達が乗っている馬車とは違って、振動も衝撃も緩和してくれない。
おかげで私とジルは跳ねる跳ねる。
ジルは私が作ったクッションの上に座り、隣りにいるグレンの服を掴む。
私は……グレンの膝の上でガッチリとホールドされた。
フリクエさんが「俺達は知ってるが、セナは初めてだろ?」と、乗っていたもう一つのパーティを紹介してくれた。
彼らはフリクエさん達と同じく、この街に活動拠点を置いているそう。
彼らは昨日詳細を聞いていたらしく、子供が参加することを聞いていたんだって。「だから、どんなやつなのかと思ってた。まさか少女だとは思ってなかったけどな」なんて言われてしまった。
彼ら情報では、荷物と一緒の馬車に乗っているのが〝救護班〟らしい。
街の外に出て地面が土になると、ようやく少し揺れがマシになった。
ジルが受け答えしてくれているので、私はウサ耳お姉さんから渡された手紙を開く。
内容を簡単にまとめると……昨日話したお肉の件と、依頼の不可解な件について。
ギルマスにお肉の確認をしたら、特例として狩った魔物は私達のものにしてOK。渡されたマジックバッグは他の冒険者達に怪しまれないための措置。いらない素材はギルドが買い取る。私達がすぐに捕まったら、私達だけに頼んだんだけど……その前に他の冒険者に声をかけちゃったから、せめて邪魔にならないように人数を減らした。参加しているパーティは品行方正な冒険者達で、ギルドへの貢献度が高い。そのため、私に嫌がらせをしないだろうと選ばれた。素材は私達のものにしていいから、他の冒険者達が死なないように目を配って欲しい……ってことだった。
(なるほどねぇ……あのギルマスってやる気がなさそうに見えて、意外にも策士なんかな?)
私達が動きやすいようにしてあげるから、魔物の確実な殲滅と冒険者達の保護をさせようってことだよね?
とりあえずグレンとジルに念話で内容を伝える。するとグレンは大喜びだったけど、ジルは「セナ様が利用されている気がします」とちょっとご機嫌ナナメになってしまった。
その気持ちはわからなくもないけど、ギルマスなりの私達への考慮が大きいと思うんだよね。一応、確認されているのはイグアナ五匹だし……このパーティの数で言えば一パーティにつき一匹。他のパーティがヤバかったら助けてあげればい。
グレンがやる気満々だから、他のパーティから奪う感じにならないように、後で注意しないと。
魔馬車とは言えニヴェスよりもスピードは遅い。
私達は朝ご飯を食べることにした。
〝よろしくね〟という意味を込めて、みんなにドライフルーツパンとナッツパンを配る。
「やっぱうめぇな。料理人にもなれるぜ」
「ん!? この美味いパンは嬢ちゃんが作ったのか!? 買った店聞こうと思ったんだが……」
「うん。褒めてくれてありがとう。タルゴー商会が管轄してるパン屋さんで同じのが売ってるよ。もう一つ食べる?」
「俺も俺も!」
褒められて気をよくした私が言うと、プファーさんが勢いよく手を上げた。
全員にもうワンセットずつ渡すと、みんなすぐに食べ切った。
二パーティ共、戻ってきたらタルゴー商会に売っているパン屋を聞きに行くらしい。
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