転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
371 / 533
13章

能ある鷹……かもしれない

しおりを挟む


 朝早く、集合時間に合わせてギルドを訪れると、既にフリクエさん達のパーティがいた。

「おはよう」
「おはよう。ホントに参加すんだな……」
「強制依頼だからね。っていうか少なくない?」
「それは俺達も話してた」

 Cランク以上って言ってたからもっと多いかと思ってたんだけど、私達とフリクエさんパーティの他に三パーティしかいない。
 フリクエさんと話していると、「これよりギルマスから説明があります!」とウサ耳お姉さんが声を張り上げた。
 それぞれパーティメンバーと話していた冒険者達は、ウサ耳お姉さんの隣りにいるギルマスに注目する。
 私達もギルマスに顔を向けると、ギルマスはやる気なさそうに一歩前に出た。

「あー、どうも。ギルマスでーす。今回、Cランク以上と言いましたが、強ーい助っ人が参戦してくれることになりましたので、ギルドの判断でこの場にいないパーティは断りましたー。邪魔になりますのでねー。皆さんには強制依頼となりますが、〝少数精鋭〟ってことで街の人間には通達してませーん。ここにいる皆さんなら大丈夫だろうとギルドが判断したってことですー。倒したイグアナドンはギルドが配布するマジックバッグに入れて下さいー。貢献度で報酬が変わりまーす。何か質問はありますかー?」
「その強ぇやつってのは?」
「それは現場に行けば自ずとわかりますよー」
「子供も参加するのか?」

 私を睨み付けながら、モノクルを付けた学者風のおじさんがギルマスに問うと、ギルマスは事もなげに「そうですよー」と答えた。

「オレ達はこんなガキのお守りなんぞごめんだ!」

 ビシッ! と私を指さして、別の冒険者パーティの若いお兄さんが叫ぶ。

「遊びじゃねぇんだ。ケガしたらどうすんだ!」
「そうよ! 何で他のパーティ断って、こんな可愛い女の子が参加するのよ!?」

 若いお兄さんの横からローブを着たお姉さんまで声を荒らげた。
(あれ? 心配してくれてる感じ?)
 お兄さん達の真意がわからなくて無言でいると、ギルマスの口角が一瞬上がった。

「その少女はCランクですし、彼女の後ろで睨みを利かせている男性が護りますので、皆さんの心配には及びませんよー。他に質問はありますかー?」
「……貢献度ってどういうことだ?」
「今回は魔物大量発生スタンピードとかじゃないんで、素材の傷も考慮しまーす。参加者全員に報酬は出ますが、それ以外の内容は通常の討伐依頼の強制版だと思って下さいー。二パーティで協力して倒した場合、その旨をギルドで説明してくださいねー。あ、強制依頼なんで救護班も同行しますし、ポーション類も用意してありますー。では、マジックバッグを受け取ったら、そのまま馬車置き場に向かってくださーい」

 ギルマスの態度に他の冒険者達は眉を寄せてるけど、ギルマスはもう質問を受け付ける気がないみたい。
 ギルマスの感じだと、強い助っ人ってグレンっぽいな……
 ギルマスは相変わらずやる気がないし、強制依頼なんて言ってるけど切羽詰まった感じがしない。
 ギルマスの適当な説明が終わり、スタッフからマジックバッグを受け取った冒険者達はそれぞれのグループ毎にギルドを出ていく。
 私にはウサ耳お姉さんがスススーっと寄ってきて、マジックバッグと手紙を渡して去っていった。

「……みんな行っちまったな。俺達も行くか」
「はーい」

 馬車置き場に向かうと、用意されていた馬車は三台の魔馬車だった。馬車は大きくて、一台で十五人ほどが乗れるらしい。
 一つ目、騎士達と荷物でスペースはなし。二つ目、先に出ていた二パーティと騎士達で埋まってる。三つ目、一パーティだけ乗っていた。
 フリクエさん達と一緒に三台目に乗り込むと、すぐに魔馬車が動き出した。

 馬車は普段私達が乗っている馬車とは違って、振動も衝撃も緩和してくれない。
 おかげで私とジルは跳ねる跳ねる。
 ジルは私が作ったクッションの上に座り、隣りにいるグレンの服を掴む。
 私は……グレンの膝の上でガッチリとホールドされた。

 フリクエさんが「俺達は知ってるが、セナは初めてだろ?」と、乗っていたもう一つのパーティを紹介してくれた。
 彼らはフリクエさん達と同じく、この街に活動拠点を置いているそう。
 彼らは昨日詳細を聞いていたらしく、子供が参加することを聞いていたんだって。「だから、どんなやつなのかと思ってた。まさか少女だとは思ってなかったけどな」なんて言われてしまった。
 彼ら情報では、荷物と一緒の馬車に乗っているのが〝救護班〟らしい。

 街の外に出て地面が土になると、ようやく少し揺れがマシになった。
 ジルが受け答えしてくれているので、私はウサ耳お姉さんから渡された手紙を開く。
 内容を簡単にまとめると……昨日話したお肉の件と、依頼の不可解な件について。
 ギルマスにお肉の確認をしたら、特例として狩った魔物は私達のものにしてOK。渡されたマジックバッグは他の冒険者達に怪しまれないための措置。いらない素材はギルドが買い取る。私達がすぐに捕まったら、私達だけに頼んだんだけど……その前に他の冒険者に声をかけちゃったから、せめて邪魔にならないように人数を減らした。参加しているパーティは品行方正な冒険者達で、ギルドへの貢献度が高い。そのため、私に嫌がらせをしないだろうと選ばれた。素材は私達のものにしていいから、他の冒険者達が死なないように目を配って欲しい……ってことだった。

(なるほどねぇ……あのギルマスってやる気がなさそうに見えて、意外にも策士なんかな?)
 私達が動きやすいようにしてあげるから、魔物の確実な殲滅と冒険者達の保護をさせようってことだよね?

 とりあえずグレンとジルに念話で内容を伝える。するとグレンは大喜びだったけど、ジルは「セナ様が利用されている気がします」とちょっとご機嫌ナナメになってしまった。
 その気持ちはわからなくもないけど、ギルマスなりの私達への考慮が大きいと思うんだよね。一応、確認されているのはイグアナ五匹だし……このパーティの数で言えば一パーティにつき一匹。他のパーティがヤバかったら助けてあげればい。
 グレンがやる気満々だから、他のパーティから奪う感じにならないように、後で注意しないと。

 魔馬車とは言えニヴェスよりもスピードは遅い。
 私達は朝ご飯を食べることにした。
 〝よろしくね〟という意味を込めて、みんなにドライフルーツパンとナッツパンを配る。

「やっぱうめぇな。料理人にもなれるぜ」
「ん!? この美味いパンは嬢ちゃんが作ったのか!? 買った店聞こうと思ったんだが……」
「うん。褒めてくれてありがとう。タルゴー商会が管轄してるパン屋さんで同じのが売ってるよ。もう一つ食べる?」
「俺も俺も!」

 褒められて気をよくした私が言うと、プファーさんが勢いよく手を上げた。
 全員にもうワンセットずつ渡すと、みんなすぐに食べ切った。
 二パーティ共、戻ってきたらタルゴー商会に売っているパン屋を聞きに行くらしい。
しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

4/10コミック1巻発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
2026/01/20追記 『魔王様、溺愛しすぎです!』のコミカライズ情報、解禁となりました! TOブックス様から出版、1巻が4/10発売予定です。 キャラクターデザインに『蒼巳生姜(@syo_u_ron)』先生! 以前表紙絵をお願いした方です(*ノωノ) 漫画家は『大和アカ(@asanyama)』先生です° ✧ (*´ `*) ✧ ° 連載については改めて発表させていただきますね_( _*´ ꒳ `*)_ 「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2026/01/20 1巻発売日(4/10)発表! ※2025/12/25 コミカライズ決定! ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。