転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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13章

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 タルゴーさんのテンションの高さはとどまるところを知らず、私達は誘われるまま夕食を取ることになった。
 食堂ではなく、この世界の中でも貴族が好きそうなレストラン風のお店。
 待っていてくれた護衛さん達も一緒に、そのレストランの個室に入る。

「個室ですので自由にしてくださって構いませんわ! もちろんお代は気にせず、好きなものを頼んでくださいませ!」
「「「「おぉ!」」」」
〈酒もか?〉
「もちろんですわ! お店の料理を全て食べても大丈夫ですわ!」

 ガッツポーズを取る冒険者達にニヤリと笑うグレン。
 本当に大丈夫なのかこっそりとダーリさんに聞いたところ、このお店はタルゴーさんの商会が運営しているから大丈夫なんだって。
 ダーリさんに「もしよろしければ、セナ様に助言をしていただけると幸いでございます」なんて期待の眼差しを向けられて、私は苦笑いするしかなかった。
 こんな小娘がアドバイスできることなんてたかが知れてるよ……

 各々おのおの好きなものを頼み、料理が運ばれてきた者から食べ始めた。
 こういうとき本来なら、偉い人から食べ始めるらしい。今回で言えばタルゴーさんから。
 でもタルゴーさんは「そんなこと気にしませんわ! 早く食べないと冷めてしまいますわ!」と料理を勧める人だった。
 こういうところが貴族の中でも付き合いやすいよね。

「セナ様はオススメとおっしゃっていましたので、わたくしが選びましたわ! こちら、ベア肉のグリーンスープとボシボシダーコンの炒め物ですわ!」

 配膳されたお皿を見てみると、グリーンスープはゴロゴロと野菜とお肉が入っているグリーンスムージーみたいなスープ。ボシボシダーコンは……なんかベチャッとした茶色い炒め物だった。
 見た目的には両方共美味しそうには見えない。
 ドキドキしながらスープを一口ひとくち食べてみると……

「……あれ? 美味しい……」

 予想外の美味しさに思わず呟くと、タルゴーさんが「まぁ! それはよかったですわ!」と大げさなくらい喜んだ。
 グリーンスープはほうれん草のポタージュに似ているけど、一緒に煮込まれている野菜や肉と相性がいい。
 ボシボシダーコンは……食感が完全に切り干し大根だった。味付けは甘じょっぱい? 醤油味の煮物で慣れている私にはちょっと変な感じ。
 お酒が入った冒険者達とグレンが盛り上がってる中もぐもぐと食べていると、テンション高くグレンに話しかけられた。

〈セナ! これも美味しいぞ!〉
「それはなーに?」
〈知らん! こいつが食べていた。おい、これは何だ?〉

 グレンは隣に座っている冒険者のお皿から奪い取ったらしい……

「もう、グレン! 人のまで食べちゃダメでしょ?」
〈ちゃんと〝寄越せ〟と言ったぞ!〉

 胸を張るグレンに呆れてしまう。
 〝寄越せ〟って命令じゃん……盛り上がってるなって思ってたけど、絡んでたのね……
 私が謝ろうとすると、そのお兄さんは手をヒラヒラと振った。

「いい、いい。食い放題だしな。それはブルイーグルのベーコン巻きだ。その辺の食堂じゃなかなか食えないから、気に入ったなら注文するといい」
「お肉を肉で包んでるんだ……ん、美味しい……」
〈何だ?〉
「いや、もうちょっと粗挽きコショウかけたらもっと美味しいだろうなって思っただけだよ」

 私の表情を読み取ったグレンに正直に話すと、手を伸ばされた。
 苦笑しつつ粗挽きコショウを渡すと、ベーコン巻きにかけたグレンは食べて満足そうな笑顔を浮かべた。
 冒険者達もコショウを足した方が好きらしく、私が渡したコショウは冒険者の間で行ったり来たり。
 それを見たダーリさんがキッチンに伝えに行き、追加注文時にはコショウがいい塩梅でかかっていた。

 おなかいっぱいまで食べた後、私とジルは紅茶を飲んで一息つく。グレンはまだ食べてるし、冒険者達はまだ飲んでいる。
 タルゴーさんも軽くワインを飲んでたおかげか、やっと落ち着いてくれたみたい。

「今日はわたくし達も街に泊まりますわ。わたくしは仕事があるのでお先に失礼いたしますが、皆さんはゆっくりなさってくださいませ」
「ありがとうございます」
「また明日セナ様に会えるのを楽しみにしていますわ!」

 いつの間に明日も会うことになっていたのかはわからないけど、タルゴーさんを「おやすみなさい」と見送った。
 冒険者達も交えて話していると、タルゴーさんが私自慢をしていたことが判明した。
 フリクエさん達だけじゃなかったのね……

「マジか……」
「貴族のお家自慢とは違って面白いからいい。あの人も偉そうにしたりしないし、今日みたいにメシ代も全部出してくれてるしな。それにあの人のおかげでずっと売り切れで買えてなかった中敷きが手に入ったんだよ。『これを使えばセナ様の素晴らしさがわかりますわ!』ってな」
「わお」

 タルゴーさん太っ腹だな。っていうか発売して一年以上経ってるのにまだ中敷きは大人気なのね……どんだけかゆみ問題は根深いのよ……

「そういや、あの人スライムの素材買い取ってるだろ?」
「あぁ……そうだね」
「それを知った他の商会が、タルゴー商会の新商品にスライムの素材が使われてるんじゃないかって調べてるらしいんだが、それをあの人に言ったら『あのレシピがわかるわけありませんわ!』ってやたら自信満々だったんだよ。そういうところは商人だよなぁ」

 お兄さんはお酒が回ってきたのか、色々と教えてくれた。
 タルゴー商会がスライムの素材を買い取ることにしたおかげで他の素材もタルゴー商会に持っていく人が続出。タルゴー商会は全体的に売り上げが向上。他の商会は個人的に売ってくれる人が激減したため商業ギルドから買うしかなくなったそう。そのせいでボッタクリをしていた商会がいくつか潰れたらしい。

 王都でのドライカレーの人気具合や冒険者の間で流行っているというベビーカステラを使ったナンパ方法、素行の悪い冒険者の名前やまずい料理屋さん、さらには他の冒険者から聞いたという他の街の領主の話など内容が盛りだくさん。ナンパ方法はいらない情報だったけど、お役立ち情報がほとんどだった。

 人懐っこい笑顔を浮かべた別のお兄さんが「スライムって言えばさ~」とお兄さんが話し終わったタイミングで話し始めた。

「この街の近くのダンジョンにもスライム出たよね~」
「グイグスライムか」
「ラージグリスライムもいるだす」
「パプーカスライムも忘れんなよ」

 お兄さん達からどんどん知らないスライムの名前が出てくる。

「全部ダメだろ。タルゴー商会でも買い取られていない。売れないものなんか誰が狩りに行くんだよ」
「ハハッ! 間違いないね~」
「でもあそこの奥でハニーベア出るって聞いただす」
「それ、ただの噂だろ~? 一時期話題になったけど、実際見たってやつがいなくてやっぱり嘘だった~ってなったじゃ~ん」

 お兄さん達は笑いながらエールをぐびぐび飲んでいく。
 これ……明日起きられるのかな?

「ねねね。そのダンジョンってどこにあるの?」
「ん? バラバラだが、この街の北東のとこなら二種類出るぞ。馬車なら一日かからない。まさか行くのか?」
「面白そうだなって思って」
「ハハッ! 物好きだね~! あそこ行くなら籠……いや、袋いっぱい持っていった方がいいよ~」
「紐もだす」
「袋と紐?」

 私が聞き返すと、ニラがいっぱい生えていると教えてくれた。人懐っこい笑顔のお兄さんいわく「料理が好きなら使えるし、あれは売れるからね~」とのこと。
 丸っこいお兄さんの〝紐〟発言は「一定数でまとめておけば、売るときに楽だす」とアドバイスからだった。

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