転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
471 / 533
15章

魔城と化した城

しおりを挟む


 クラオルに起こしてもらえず……いつもより遅い時間にインプの高笑いで飛び起きることになった。
 着替える間もなくパジャマ姿のまま連れ出され、インプからの説明を受ける。

 まず案内されたのは入り口正面。
 昨日ドドン! と構えていた松本城の代わりに首里城の本殿? 正殿? と両サイドの建物が。
 赤色が目立っているものの、高さがない分、松本城よりはマシかもしれない。
 インプいわく、外郭まで造るには時間が足りなかったんだそう。
 時間があったら全て再現したのか……とは思っても言えなかった。
 ……だって、希望していると勘違いされても困っちゃうじゃん?
 ここはパパ達が来られる部屋、転移門ゲートの部屋の他に会議室やパーティーができる大部屋なんかがあるらしい。
 パーティーなんてする予定ないけどね。

「イッヒッヒ。試しにカリダの街に行ってみましょうかね」

 そう言って転移門ゲートが設置されている部屋へ向かうインプ。
 キアーロ国より小さい転移門ゲートをくぐると、見たこともない部屋に繋がっていた。

「え……」
「イッヒッヒ! ここはカリダの街にあるセナ様の家ですよ」
「……は!? ……え? 家!?」
「イーッヒッヒ! 騎士団の宿舎辺りかと思っていましたか? それだと他の人の目に付く可能性が否定できませんのでねぇ」
「そりゃそうだけど……」
「詳しいことは後ほどジャレッド様に聞いてください。さぁ、戻りましょう」

 戸惑う私の手を引くインプは前髪で顔が窺えないのに上機嫌なのが手に取るようにわかる。
 ドコに繋がっているかなんて考えてなかったけど、これは予想外すぎるよ……


 放心状態のまま続いて案内されたのは、昨日私が驚きに声を上げた松本城。
 少し離れた場所に移動していて、周りには昨日はなかったハズの堀が掘られていた。
 移動したせいか、二の丸と天守の距離が縮んでいて、天守からさほど離れていない場所に二の丸はあった。
 天守から続く庭? が小さいから、本物のお城ほど敷地は広くない。
 一応木立で隠されてはいるものの、三階から上は普通に外から見えるから目立つっちゃ目立つ。

 堀に架けられた橋を渡って二の丸へ。
 馬車置き場や簡易厩舎もあり、ここは来客の使用人が泊まれるようになっているらしい。
 問題は天守の方。城っぽい雰囲気を残しつつのホテル様式でエレベーター付き。それはまだいい。
 一番の問題は……トラップよ!
 罠や仕掛けを足しまくったらしく、最早危険な魔城だ。
 インプに言わせれば「怪しげな動きをしたときのみ発動する」とのことだけど、笑うだけで何が起こるのか教えてくれないの!
 めちゃくちゃ怖くない!? そんなことする人泊めたりしないよ!

「以上です。……あ、そうそう。イッヒッヒ。セナ様方の家は隠蔽がかかっておりますので、関係者以外はセナ様が招かない限り入れません。昨日、ニキーダさんより〝壊れない実験場〟、ジルベルトさんより〝薬草を育てるための温室〟、ジャレッドさんより〝花を育てる畑〟との希望がありましたので、それらはセナ様の家からほど近い場所に造っておきましたよ。イッヒッヒ」
「え……三人してそんなこと頼んでたの?」
「イッヒッヒ。セナ様も希望があれば叶えますよ」

 急にそんなこと言われても何も思い浮かばない。っていうか、こんなに至れり尽くせりなのに他に何を望めと?
 そう伝えると「無欲ですねぇ」と楽しそうに笑われた。

「そう言うと思って造った部屋がありますよ。イッヒッヒ」

 付いてこいと言うインプに続くと、着いたのは首里城の左側の建物だった。
 ズンズンと先へ進むインプが立ち止まったのはとあるドアの前。
 中には……音楽室のようにピアノ・バイオリン・ドデカハープ・ドラム……など日本で見たことあるものから、この世界のものと思わしき知らないもの……といろいろな楽器が置かれていた。

「おぉー! すごいねぇ! 音楽室?」
「イーッヒッヒ! 喜んでいただけて何よりですよ。主にセナ様の世界のものと似ているものを準備しておきました。隣りの部屋を覗いてみてください」

 言われた通りドアの横にある窓から中を覗くと、これまた予想だにしないものが壁に付いていた。

「え!? あれテレビ? 見られるの!?」
「イッヒッヒ。残念ながら。あれはですねぇ……セナ様の音楽スキルと連動されていまして……まあ、使えばすぐにわかるかと。試されますか?」
「え……なんか怖いんだけど」
「イッヒッヒ。まあ、騙されたと思って一思いに一度どうぞ」

 さあ、さあと急かされ、音楽スキルを再生させる。
 すると、テレビの明かりが付いて曲名が表示された。
 これは見覚えがあるぞ! これは……これは……

「……カラオケ!?」
「イーッヒッヒ! スキルに入っている曲のみですがねぇ」
「マジか!」

 まさか異世界でカラオケを拝めるとは……
 インプいわく、これはお詫びではなく、パパ達からのプレゼントらしい。
 この家にいるときに使わせてもらおう。


 一人連れ回されていた私がみんなの下へ戻ると、みんなは朝ご飯を食べ終わってくつろいでいるところだった。
 インプに先に食べていろと言われていたみたい。

「……大丈夫?」
「うん……なんかいろいろと情報処理が追いついてないだけだから大丈夫だよ」

 着替えた私がボーッとしながらご飯を食べていたからか、コルトさんに心配されてしまった。

「ねぇ、ジィジ。カリダの街になんで私の家があるの?」
「行ったのか?」
「うん」
「少々込み入った理由がある。近々城に行くことになるだろうが、セナのためだ」

 ジィジはそれ以上話すつもりはないようで、「移動に便利な別荘だと思えばいい」と続けた。
 私のあずかり知らぬところでことが進んでるのはなぜ?
 家が増えることが私のためって意味がわからないよ……
 説明してくれてもよくない?

「そんな顔をしなくても大丈夫だ。ギルドへ行くんだろう? うぬらも行く」
「はーい……」

 食べ終わっていた私はジィジに言われて重い腰を上げた。

しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

4/10コミック1巻発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
2026/01/20追記 『魔王様、溺愛しすぎです!』のコミカライズ情報、解禁となりました! TOブックス様から出版、1巻が4/10発売予定です。 キャラクターデザインに『蒼巳生姜(@syo_u_ron)』先生! 以前表紙絵をお願いした方です(*ノωノ) 漫画家は『大和アカ(@asanyama)』先生です° ✧ (*´ `*) ✧ ° 連載については改めて発表させていただきますね_( _*´ ꒳ `*)_ 「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2026/01/20 1巻発売日(4/10)発表! ※2025/12/25 コミカライズ決定! ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。