転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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番外編まとめ

お年玉企画【番外編】:雪まつり4

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 遅くなってごめんなさい。
 番外編の続きになります。

--------キリトリ線--------


 いくらもハラスも塩を振りかけて食べられていた。しかもスプーンで掬ってそのまま口へ。パクパク食べて行く様子に私はビックリ。
 まさかつまみ感覚で食べられているとは……
 そういえば醤油もお米も食べられてないんだよね……と納得した。

 ギャチョー君は自分達がプレゼントしたものが気に入ってもらえたと終始ご機嫌だった。

◇ ◆ ◇

 それから数日、私が魔法瓶……二重構造の話をポロっとしたことで煮詰まっていた仕事の話は転機を迎えた。
 真空の説明が上手くできなくてかなり適当な内容だったけど、何か活路を見出したらしい……


 私達もお城へ戻り、天狐も通常のお仕事に戻ってしばらく……ゆっくりしつつも、ちょろちょろと動いていたらあっという間に約束の日を迎えた。
 今日は待ちに待った雪まつりなんだよ!

 ジィジ達も一緒に、全員揃ってニキーダの転移で飛ぶ。
 ニキーダはあっちの雪族の村に迎えに行ってくるとすぐに飛んで行った。

「おぉ! 結構人が来てるね!」
「そうですね。あちらのご婦人が持っているのはチラシではないでしょうか?」
「あ! ホントだ! 頑張って描いたかいがあったね!」

 お祭りがあっても知名度がなければ本末転倒だと思った私はチラシはもちろんポスターも作った。チラシは……ジィジや王様にも協力してもらって王城のスタッフに配り、両ギルドや買い物したことのあるお店にも置かせてもらった。ポスターも同様だ。
 ギルドで〝雪まつり観光ツアー〟も企画し、道中の村の宿の確保とか、案内人の確保とか、料理の調達とか……大変なこともあったけど、目に見えて成果を実感すると嬉しくなっちゃうね。


 村長宅前ではギャイオさん他数人が待ち構えていた。
 私達を見つけたギャイオさんは片手を上げてから寄って来た。
 初対面時と行動は似ているけど、格好は普通。それでもシャツにセーターと薄着だけど。

「おう、待ってたぜ。買い物エリアはあっちに作ってある。言ってた雪像は買い物エリアのところだ」
「ふむふむ」

 ギャイオさんの説明では会場は大きく分かれて四つ。
 スノボエリア、ショートスキーエリア、スケートエリア、雪像と買い物及び食べ物エリアだ。

「これが簡易地図で投票用紙はコレだ。んじゃ楽しんでくれ」
「はーい。ありがとう!」

 スノボのは完全にコースだし、ショートスキーの方はどちらかというとジャンプ台のないモーグルっぽい。
 午前中は道具をレンタルすれば体験が可能。もちろん販売もしている。
 お昼休憩を挟み、午後は村別対抗試合。観客は配られる用紙に上手いと思う選手の名前を記名して投票する。これは最後に集計され、どちらの村が優れているか……勝敗が決まる。
 雪像や氷像も一番好きな像に投票してナンバーワンを決める。
 最早雪まつりって言うか冬季オリンピックだよね……あ。冬の運動会でもいいかもしれない。


 なんでこうなったのかというと……発端はギャチョー君達に作ったスノーボードの盗難事件。
 保存庫制作の際に協力をお願いした隣村の人がそんなに楽しいなら自分達もやりたいと勝手に持って帰っちゃったんだよね。
 本人は「。返すつもりだった」なんて言ってたけど、聞いていないギャイオさんの村人達は大捜索するハメになった。
 しかも真似して作った初期型ボードで、大ケガを負ったそう。

 自業自得だとは思うけど、ケガ人が増えても困るし、私が与り知らぬところで粗悪品を製造販売されても困る。
 そんなワケでスノーボードは遊び道具としてレシピ登録することになった。
 ついでにショートスキーやスケート靴、肘当てに膝当ても登録。これはギャチョー君達が大喜びだった。
 ギャイオさんが「文句言ってきそうだ」って言うから、一応隣村にもレシピの使用許可を出してあげた。

 で、出したら出したで、何を思ったのか「うちの村が優先だ」なんて言いだす始末。
 まぁ、それはグレンが「盗人風情が調子に乗るな。全てセナのおかげだ。許可を取り消してもいいんだぞ」って黙らせたんだけどね。
 私は隣村の人となるべく関わらないようにしていたけど、ジルの布教活動で少しマシになったみたい。
 その結果、いつの間にか雪まつりを共同開催ってことになっていた。
 それで元々雪まつりのことを話していた私が意見を聞かれた。

 ……っていうのが真相。
 正直ここまで立派なものになるとは思ってなかったけど。

「セナちゃ~ん!」
「天狐、おかえり。おばさん達は久しぶりだね」
「「そうね! 会えて嬉しいわ!」」
「私も嬉しい! 買い物エリアはあっちだって」

 天狐によって転移で連れられて来たのは私の大好きな雪族の村……のおばさん二人。私達に服をプレゼントしてくれた人達だ。
 ぞろぞろと目当ての場所を目指して移動する。
 

 買い物エリアは広場のように開かれた場所に雪像が並んでいて、それを取り囲むように服や雑貨、食べ物に辛味酒、スノボにショートスキーにスケート用の靴……と雑多な屋台が広がっていた。
 ムードはないけど、ちゃんと暗くなったとき用にライトは設置してあった。

「セナ様、この場所のようです」
「わお。結構いい場所じゃない?」
「あら! 素敵じゃない!」
「でも売れるかはわからないわよ」
「そうね。それは期待しないでおきましょ」
「大丈夫だよ。可愛いもん!」
「「まあ! 相変わらずいい子ね!」」

 おばさん達用にギャイオさんが確保してくれていたのは、数ある中でも一際目を引く、どデカ~いハートと天使の雪像にほど近い。
 おばさん二人は、さぁお仕事だと既に設置されている屋台に品物を出していく。

 今日売るのは……ノルディック柄の服。昔とは違って売れないって言ってたから、良さがわかれば売れるんじゃないかと今回声を掛けさせてもらった。
 おばさん二人は「セナちゃんが言うなら……」と、参加を決めてくれたんだ。

 日本の動くマネキン――ショップ店員のように、グレンとジルと私だけではなく、ジィジもアチャもスタルティもニキーダも今日はモデル。
 ジィジはサングラスかけてるから〝流血王〟ってわからないし、スタルティも王族スタイルじゃないからバレないハズ。
 グレンの上着は私がちょっといじらせてもらって、全体がカイロのように暖かくなるようにした。電気毛布仕様って言えばわかりやすかな? これなら寒さに弱いグレンでも大丈夫そうでしょ?
 ちゃんとマネキンも用意して男性、女性、子供とコーディネート済み。

「じゃ、セナちゃん行きましょ?」
「うん!」
「またお昼頃戻ってくるわ」

 お店番するおばさん達に手を振り、私達は各エリアを回る。
 まずやってきたのは買い物エリアから一番近いショートスキーエリア。
 レンタル装備プラス、私制作の雪山用ゴーグルを装着したみんなに軽くレッスン。その後それぞれ滑ってもらった。
 グレンは服のおかげで寒さにやられずに済み、ジルやスタルティと共に周りの人の視線をかっさらっている。
 やっぱみんな根本的な運動神経がいいんだね。

 ここでの驚きはリフトならぬ電動椅子――階段昇降機が設置されていたこと。足が不自由な人が座って階段なんかを昇り降りするアレね。
 この雪まつりのために開発したんだって。

「おい、そんなところを掴むな。滑りにくい」
「あわわわわ! 怖いですぅぅ! ジャレッド様ぁぁ、手を、手を離さないで下さいぃぃぃ……!」
「ほら、アリシアちゃん大丈夫?」
「天狐さぁぁぁん……」

 泣きそうなアチャを両側から支えるジィジとニキーダは仕方なさそうに笑っている。
 ストックがあるスキーの方がよかったかね?


 一時間ほどトライしたもののアチャだけは恐怖が拭えなくて、私達はスノボエリアへ。
 スノボは私よりジルの方が上手いので、ジルが先生となりレッスン。
 アチャは板の太さで安心感があると、ショートスキーよりは少しだけマシになっていた。

 ジルは少し慣らした後すぐにジャンプ台で回転ジャンプを成功させ、その度に周りの人から歓声が上がっている。
 そんなジルに〈ジルベルト! われにそれを教えろ!〉とグレンが訴えている声が聞こえてきた。

「流石ジルベルトはすごいな……セナは滑らないのか?」
「すごいよねぇ。私はジルほど上手くは滑れないんだよね」
「それ、アリシアが聞いたらヘコむぞ」

 スタルティの言葉でアチャの方に視線を向けると、ちょうど天狐を巻き込んで転んだタイミングだった。

「ふふっ。そうだね。ちょっと滑ろうかな?」
「うん。なら競走しよう。行くぞ……!」
「え!? ちょっと! ズルい!」

 笑いながら滑り始めたスタルティを急いで追いかける。
 そこそこ人はいるものの、ジルとグレンが滑っていたからかコース上には人がいない。
 転んでも大丈夫そうだと安心したとき、突如として子供が横から飛び出してきた。

「!」
《セナちゃん!》
「キャアアアア!」
「しゃがんでぇぇぇぇ!」

 親や目撃者が叫ぶ中、子供に向かって声を張り上げる。
 なんとか避けないと大事故を起こしてしまう。
 焦った私はジャンプ台ではない場所で身体強化と風魔法を使ってオーリーからノーズを掴み、テールを跳ねさせて何とかジャンプ。

 ギリギリで大惨事は免れたとホッとしたのもつかの間、眼前にはジャンプ台が迫っていた。
 ジャンプなんかできないから避けて通ろうと思ってたのに!
 勢いのままジャンプ台に突入した私は派手に転んでも大丈夫なように体全体に風魔法を纏わせて体を任せる。
 それが功を奏したのか……クルクルと回転して前後左右が危うくなったものの、ダン! とキレイに着地。
 放心状態のまま下まで滑り降りた。

「し、死ぬかと思った……」

 極度の緊張から解放された私の足はガクガク、心臓はバックバク。
 へたりこんだ私の許へスタルティが滑り降りてきた。

「セナ! 大丈夫か?」
「全然大丈夫じゃない……腰抜けた……」
「…………ハハハハ! 咄嗟にあれだけできればすごいと思うよ」
「……必死だよ、必死。笑いごとじゃないよ、スタルティ……」
「ハハハ。ごめん、ごめん。セナもあの子も無事でよかった」

 スタルティと話している間にグレン、ジル、ジィジ達……と順番に集合した。

「流石セナ様です!」
〈あんな技ができるとは!〉
「心臓が止まるかと思っただろうが」
「セナちゃん、すごいわ! 三回転もしてたわよ!」
「セナ様、おケガはありませんか?」
「たまたま上手くいっただけだよ……アチャは心配してくれてありがとう。大丈夫」

 あんなにへっぴり腰だったのに、アチャは私が事故りそうになった途端、普通に滑れるようになったらしい。
 私もアチャも……人間、切羽詰まったらなんとかできるもんだね……
 くだんの親子が焦ったようにこちらへ向かってきた。

「ごめんなさい! 大丈夫ですか?」
「私は大丈夫だけど、あの子はケガしてない?」
「あたしより小さいのにすごーい! フワッてしたんだよ! フワッて! 鳥さんみたいだった!」
「この通りピンピンしてます」
「ならよかった。危険もあるから周りはちゃんと確認してね」

 興奮して眩しい笑顔を振りまきながら両手を広げる女の子はどれだけ危険だったかわかっていないみたい。
 母親がペコペコと謝り、そんな母親に促された女の子はブンブンと手を振って去っていった。

〈大歓声だったからな。われも負けられん〉
「へ?」

 グレンに言われて周りを見回し、ものすごく注目を浴びていることに気が付いた。

〈気付いてなかったのか?〉
「それどころじゃなかったよ……やっぱ大人しくしとけばよかった……」

 こうも視線を集めているのは居心地が悪い。
 それにあんなことがあった後で滑りたくない。
 グレンはまだ滑りたいみたいだけど、お願いしてそそくさとその場を後にした。

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