転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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15章

餅つき大会

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 グレンとジュードさんは早く新しい料理が食べたかったみたいなんだけど、準備もあるし、先に似顔絵が欲しいってワガママ言っちゃった。
 ジィジが集めてくれたのは、それぞれ得意分野の違う五人の画家さんだった。うち二人は平民で、日本でも観光地とかショッピングモールとかで見かけたデフォルメ似顔絵を得意としているらしい。
 ただ、そろいもそろってジィジに呼ばれたことで顔面蒼白だったけどね。
 ジィジにはこの中から好きな人を選べばいいって言われたけど、過去の作品を見せてもらい、話を聞いてから全員にお願いすることにした。

 各人とスケジュールを調整して、それぞれ得意分野の絵を描いてもらう。
 いつもお留守番状態のシュティーとカプリコも呼び、従魔大集合バージョンも依頼。
 大きなシュティー達を見た画家さんはもれなくぶっ倒れ、言葉を交してようやくちょっとだけ警戒心を解いた。ガクガクブルブルだったものの、断られなかったから大丈夫でしょう。「出来次第によっては城に飾ることもありえる。報酬は弾む」ってジィジが言った瞬間、目の色変わってたし。
 着色に時間がかかるそうで、あとは完成を待つだけだ。
 精霊達や妖精達、神様ズは関係者以外には会わせられないから、スタルティに頼んじゃった。契約してることも知ってるし、何より身内だからね。


 完成品を待つ間に、カリダの街で杵と臼、ヌイカミさんには麦を煎る用の大釜、ソイヤ村では大型せいろの製作を依頼した。
 全部自分達……いや、精霊達が作れるモノだけど、ジィジいわく「流行らせるなら後学のためにも人に作らせた方がいい」とのこと。
 一応詳しい説明書きと一緒に、こんな感じって手乗りサイズのモデルを送っておいた。



 徐々に飾られていくマイファミリーの絵も全て揃い、頼んでいた道具類も微調整が終わった日から一週間、ついにこの日がやってきた。
 いっぺんにお披露目しようと、麦茶との製造は一足先にしておいた。おかげで時間がかかっちゃったよ。
 最初はやっぱり家族でしょ! ってことで、場所はキヒターの教会だ。

「さて、ついにお餅をつきます。今日は餅つき大会です!」
「マルコメ!? マルコメだよねー!?」
「ふふっ。そうそう。遅くなってごめんね。でも準備はバッチリだよ」
「ずっと楽しみだったんだよねー」

 教会前の広場で宣言した私に前のめりで反応したのは、もち米を持ってきてくれたジュードさん。瞳をキラキラとさせ、ソワソワとワクワクしているのが見ていてわかる。

〈セナ早く〉
「美味しく食べるために、これからみんなで作るんだよ」
〈む? ずっとキッチンにいたではないか〉
「あれは準備。きっとグレンが大活躍だと思うよ」
われが?〉
「そう、力持ちのグレンにピッタリなんだよ。……ジャジャーン! これでーす!」
「おや、こちらはカリダの街で依頼していたモノですよね?」
「……トイレ……?」
「違うぅぅ! 確かに背もたれ付けたらそれっぽいけど、それ言っちゃダメ。食べ物に関係してるから!」

 出した杵と臼に反応したモルトさんとコルトさんに注意する。
 そんなこと言われたら食べづらくなっちゃう。今の発言は忘れなければ。
 私が強めに言ったせいか、コルトさんがショボーンと肩を落としてしまった。

「……ごめん……」
「大丈夫、その思考を吹き飛ばすくらい美味しいから! ……たぶん」
「セナっち、これはどうやって使うのー? 湯気出てるよー?」

 ジュードさんの目は杵と臼に釘付けで、トイレ発言なんて聞こえていなかったかのよう。
 コルトさんと目が合って、二人してプッと吹き出しちゃったよ。

「一応、寸前までは準備してあるんだ。ガルドさん達はそっちのやつで私達のマネしてくれる?」
「わかった」
「えっとね……まずは~、グレン、この杵持って。で、臼の方に蒸したもち米を入れます」
「マルコメねー」
「そしたらグレン、その杵で入れたもち米をグイグイ潰して」
「マルコメねー」
〈こうか?〉
「そうそう、うまいうまい。ガルドさんも上手」
「結構力いるな」
「………………あ、二人共もうよさそう。ある程度潰れたら、このもち米をついていくんだけど……グレン、一回杵の重さだけで振り下ろして」
「マルコメだよー」
〈こ、うか?〉
「イエス! そしたら横にいる人がこうやってお手手を濡らして、このもち米を外側から内側に折り込むの。熱いから気を付けてね」
「マルコメだってー」
「もち米の粒感がなくなって、なめらかになったら完成だよ。つく人と手水やる人と連携が取れれば、スピードが上がるから、早くお餅ができるの」
〈なら、どっちが早くできるか勝負だな〉
「制限時間を設けた方がよさそうですね。時間内にどれだけなめらかにできるか……の方がわかりやすいでしょう」
「何それ面白そう! オレっちやりたい! モルト代わってー!」

 ジュードさんはモルトさんの勝負案に惹かれたのか、このときだけはマルコメ注意報が入らなかった。

『お嬢様、この道具はもう一つあったりするの?』
「ん? 五セット作ってもらったからあるよ。シュティー達もやる?」
『えぇ、待ってるだけなのは申し訳ないもの』
『そうね。力なら負けてないわ』
「あ、あの、メイドですし、わたしも参加した方がよろしいのでしょうか?」
「アリシアにはキツいだろう。やるならうぬがやる。天狐手伝え」
「えぇ? アタシ? いいけど、手に下ろさないでよね」

 シュティーとカプリコも勝負に乗ることが決まったと思ったら、アチャの一言でジィジとニキーダまで参戦することになった。
 さらに一部始終を聞いていたモルトさんとコルトさんまでも参加が決定。
 さらにさらに、恐縮したアチャ、スタルティ、キヒター、ゾーノにまで手持ち無沙汰と言われ、彼らには上新粉製作をお願いするハメになった。
 私はといえば、万が一のケガを心配したジルと交代したため、タイム計測係です。
 まさか五つフル稼働するとは……なんとなく頼んだ数だったんだけど、正解だったね。もち米もいっぱい蒸しておいてよかった。

「では始めま~す。よーい、スタート!」

 ネラース達が見守る中、私の掛け声で本格的な餅つき大会が始まった。
 最初は探り探りだったものの、五分もすればコツを掴んだのかスピードが上がった。
 ガルドさんとジュードさんは合いの手を入れてタイミングを計っているし、グレンとジルは完全にジルがグレンに合わせている。シュティー達は普通の会話をしながらだし、ジィジ達はニキーダが主に「ちょっと危ないでしょ!」と怒っていて、コルトさん達は無言だ。それぞれ仲よし同士なだけあって速い。

「はい、終わりだよ~。ストップしてね~」

 手を叩いて時間を知らせる。
 優勝は……ガルドさんペア。グレン達とは僅差だったんだけど、これはジュードさんのもち米の回し方が上手かったんじゃないかな? ってのが私の予想。
 とりあえず、誰もケガをしなくてよかったよ。

「みんないい感じだから、食べやすいように小さくまとめよう」

 アチャ達に作ってもらった上新粉を使い、適当な大きさに千切ったものを丸めていく。
 ねぇ、上新粉って普通の白米から作られてるって知ってた? 私は今回調べるまで知らなかったよ。もち米がなくてもお餅モドキ食べられたし、モチモチ米粉パンだって可能だった。さらに言えばせんべいだって作れたじゃんね……


 全ての準備が終わったら、いざ、実食!
 それぞれ好きなものを口に含んだ瞬間、男性陣の「うまい!」と女性陣の「おいしい!」が大音量で被った。
 内容は……最初はオーソドックスなモノをってことで、きな粉、あんこ二種、ずんだ餡、砂糖醤油、おしるこ、ぜんざい。飲み物は麦茶にした。ちゃんとジィジのは甘さ控えめにしてある。
 やっぱ海苔が欲しいよね。磯辺焼き食べたい。

 今回の事件は、セキズスライムの【セキスラ粉】はだったのに……核を煮たらになったこと。どっから出てきた粒! って感じだよね。
 大量についたハズの餅の残りが少なくなってきたころ、ガルドさんに料理とは関係ない話題を振られた。

「そういやぁ前にヴィルシル国行くってなったとき、火山通って東に抜けるって言ってなかったか?」
「言ってたけど、護衛依頼のことがあったからねぇ……」

 戻ったら戻ったで松本城建ってたし……

「行くのか?」
「そのつもりだけどガルドさんは嫌?」
「違ぇよ、ただの確認だ。先に言っておくが、俺達はお前さんから離れるつもりはないからな」
「むぅ……」

 最近先読みされることが増えてる気がするゾ。そんなに私ってわかりやすいのかな?

「新しい食材あるかなー?」
は東の海にあるっておばあちゃんが言ってたよ」
「美味しいのー!?」
「それ自体は美味しくないかな? とある美味しい食材を作るのに、必要なの」
「おぉー! それは楽しみだねー!」

 ジュードさんは餅つきをしてからずっとテンションが高い。流石元料理人。
 ジィジ達と離れるのは寂しいけど、ガルドさん達やジィジ達が用意してくれたものを見て、余計にまだ見ぬ食材に期待がかかってしまったのだよ。
 でもやっぱり淋しいから、ニキーダに魔力で送れる手紙のやり方を教えてもらうつもり。そうすれば道中いつでも手紙でやり取りできるからね。
 動き回って食材を見つけつつ、ジィジやタルゴーさんと取引できるような商会、もしくは人材を探し当てるのが理想。

 この世界は東に向かえば向かうほど暑くなる。環境が違えば、生えている植物や生息する魔物も変わる。
 あぁ、が楽しみすぎるよね。

「ふふっ」
「ほらセナちゃん、考え事もいいけど、ちゃんと食べなきゃダメよ」
「そうですよ。セナ様はただでさえ食が細いんですから」
「はい、あーん」
「あーん」

 私がニキーダに食べさせられている間に、グレンとジュードさんがラストおしるこをどちらが飲むかケンカしている。
 賑やかさもあるこの空間の雰囲気が幸せを感じるよね。
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