転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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番外編まとめ

【番外編】第三巻刊行記念︰【酒好き】side②

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 ジョバンニの話を聞いた【酒好き】メンバーはセナが育った環境を想像し、一様に苦い表情を浮かべた。
 魔法の扱いについて英才教育されている貴族の子供もいるが、所詮は子供レベル。それも魔物と戦う実地向けではない。今五歳だというのならば、それこそ物心つく前から相応にキツい生活を強いられていたに違いない。

「あー……とりあえずワケありの子だってことはわかった。だが、子供相手なら俺達より適任がいるんじゃないか? 俺達は子供の扱いに慣れていない」
「はい。だからこそ【酒好き】に指名依頼を出したのです」
「……どういうことだ?」
「セナ様はとても純真で無垢な方でいらっしゃいます。しかし、おそらくは育った環境によるものだと思いますが……他の一般的なお子様とは一線を画してると言っていいでしょう。基本的には落ち着いていて、頭の回転が早く、話す内容は大人と引けを取りません。子供だと侮ったり、変に構ったり、根掘り葉掘り聞き出そうとしたり、知り得た情報を吹聴するような方々は適任ではないと判断いたしました」
「……なるほど。えらく信頼されたもんだな。まぁ、俺達は噂の子をわざわざ見に行くような真似も、個人的な情報を誰彼構わず話す、なんてことしもないが……それで、今更その子のことを話したのはわざとか?」

 フィズィに鋭い目を向けられたジョバンニは度々たびたび脱線した話からようやく本題に入れると、果実水で喉を潤してから口を開いた。

「遅くなったことは申し訳ありません。本来、セナ様は向かう予定ではありませんでした。話題に上がってはいたので、念のためにわたくしがあなた方に依頼を出しました。わたくしの力及ばず、指名依頼として強制的にセナ様の参加が決定。本日の夕刻前、セナ様にご了承いただいたため、この時間ならば依頼から帰還されているだろうと、時間を指定させていただいた次第です」
「遅くなった理由は理解した。だがそれならギルドでもいいと思うが……」
「領主でしょ」

 イマイチ納得しきれていないフィズィを遮ったのはフクス。頬杖をつき、反対の手は手元にあったフォークをクルクルと遊ばせている。

「領主とギルマスって兄弟って話じゃない。あの金にガメつい、性根腐った領主と冒険者を道具としか思ってないギルマス。警戒するのも当然よ。きな臭いってそういうことでしょ?」
「そういえば、ジャースチ商会が騎士団に潰されたって」
「あそこは元々いい噂なかっただろ。それを言ったら貴族と金持ちが何人か捕まったって聞いたぞ」

 フクスの発言の流れで、エルフェルンとブルインも自身が耳にした風聞を口にする。
 鋭いのに話がまたわき道にそれたな……とジョバンニが思うのと同時に、フィズィがため息を吐いた。同じことを思ったらしい。

「ハァ……まぁいい。どうせもう受けてるんだし、この話を聞いたら拒否もしづらい。それで、結局俺達に何を望む? ……要点をまとめてくれ」

 何か他にもあるんだろうと予想したフィズィの発言に、ジョバンニは笑みを零した。この人選をした自分を褒めてやりたいくらいだ。

「本当に話が早くて助かります。まず一つ目、討伐隊にセナ様が同行することは誰にも言わないでください。二つ目――」

 セナの行動を制限しないこと。セナのを信用すること。セナの従魔に許可なく触れないこと。ブラン達以外には警戒を解かないこと。過去を含め、根掘り葉掘り聞き出そうとしないこと……と、ジョバンニは一本、二本……と指を立てながら羅列していく。
 最後に、「道中衝撃的なことを目撃することになると思いますが、秘密厳守でお願いいたします」と締めくくった。
 聞いていた【酒好き】メンバーは最後の最後で揃って顔を引きつらせた。

「え……衝撃的なことって何よ……」
「先ほども申しました通り、セナ様はご自身に対して過小評価のきらいがありますので」
「だからって……」
「セナ様は多才でいらっしゃいます。行動を共にすれば、自ずとわたくしが言う意味を理解することになると思います。えぇ、それはそれは痛感することになるでしょう」

 ジョバンニは物思いに耽るかのようにフィズィ達から視線を外した。
 それを見たフィズィ達はものすごく気にはなるものの、何も言えなくなってしまった。聞いたら後悔に襲われる気がするのだ。
 数秒ほど沈黙が支配したところで、ジョバンニが食事を促したため、フィズィ達はようやく食事を再開させた。



 ジョバンニとの極秘会談を終えた【酒好き】一行は寝泊まりしているまで帰ってきた。帰路は誰も何も喋らず、それぞれが依頼について思いを馳せていて、いっそ不気味なほどに無言であった。

 ここは平屋型の賃貸。この街に拠点を置くことを決めた際、宿に泊まるより安く済むと四人で入居した物件だ。
 食事はもっぱら屋台や食堂、酒場といった外食であるが、荷物を好きに置けるところや、他の冒険者がいない分、気が休まるところが気に入っている。

 もう夜中だというのに誰も自室に戻ることはなく、なんとなく集まったリビングで、エルフェルンがおずおずと口を開いた。

「ね、ねぇ……すごいことに気が付いちゃったんだけど……」
「……なによ?」
「セナって子、呪淵じゅえんの森で保護されたって言ってたわよね……? この国の出自じゃないとも言ってたのに、なんで呪淵じゅえんの森にいたの?」
「「「……」」」
「も、もし近隣国だとして、呪淵じゅえんの森を通ってこの国まで来たってこと?」
「「「……」」」
「ま、まさか、育ての親に呪淵じゅえんの森に捨て………ううん。置いていかれたとか言わない、わよね……?」
「「「……」」」
「だから過去を含め詮索するなって言ってたの? 生みの親どころか育て親にまで…………?」
「「「……」」」

 エルフェルンの疑問の数々には誰も何も答えられなかった。まさかと笑い飛ばすことも出来なかった。他国出身のハズが呪淵じゅえんの森で保護されたらしいのだから。
 隣国といえど、森を歩いての国境越えはかなりの距離だ。もちろん街や村は存在しない。しかも場所は呪淵じゅえんの森。そこらの魔物とは比べ物にならないほどの強敵が生息する危険な森である。
 ジョバンニの説明を思い返せば思い返すほど、エルフェルンの説が濃厚になっていく気がした。

 スラム出身で一日一食の食事すらままならなかったブルインは、自身の幼い頃と比べて体にゾクりと震えが走った。仮に食事の心配がないとしても、三、四歳で魔物と戦わされたくないし、五歳で呪淵じゅえんの森に放り出されたくはない。当時、食に苦労はしたものの、スラムを取り仕切る頭によって最低限は守られていた。別に不幸だとは思っていなかったが、恵まれているとは思えなかった。しかしどうだ? 自分の境遇はマシだったのだと思う他ない。
 フィズィ、フクス、エルフェルンの三人も育った環境は違えど、似たようなことを考えていた。
 親に捨てられたのか? なんて気軽に聞ける内容ではない。自分達が出来ることは戦うことと見守ることくらいである。あのサブマスが絶賛するくらいだ。噂の容姿どころか、性格や態度もよいのだろう。自分達ができる範囲にはなるが、迫りくる魔の手を払ってやることもやぶさかではない。

 ――ジョバンニが転移魔法陣や高性能なマジックバッグの話をしたくなかったがための言葉の取捨選択で、また一つ、大きな勘違いが生まれていた。それと同時に保護者が一組誕生してしまった――


--------キリトリ線--------


 以上で今回の番外編は終わりです。
 保護者爆誕のお話でした。
 その後の話まで書くと長くてダレそうだったのでここまでにしておきます。
 少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。
 
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