転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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17章

でも、お高いんでしょう?

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 去年は大変お世話になりました。今年もマイペースに更新していく所存です。
 少々忙しく、お年玉としての番外編は更新できませんでした。(ネタを数日で膨らませられなかったともいう)
 番外編よりは本編かなということで本編の更新です。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

--------キリトリ線--------


 時間的にこれから宿を探すのは大変だろうと、サーシャさんが領主邸に泊めてくれるとのこと。
 各それぞれ一部屋でも構わないと言われたものの、これから準備しなきゃいけないスタッフさんに申し訳ないので、私達三人、ガルドさんとコルトさん、ジュードさんとモルトさんの三部屋に分かれた。全員が泊まれる大部屋はなかったのよ。

 夕飯もご馳走になったんだけど、シンプルすぎる味付けにグレンは物足りなかったみたいで、お昼ご飯時に作り置きとして確保していた三品を出すことになった。
 それを食べたサーシャさんが「美味い。先ほど便利道具の説明を受けたときに思ったが、貴殿らは料理が上手いんだな」とジュードさんを褒めたのに、当の本人は「セナっちのレシピだからねー」だって。レシピ登録してくれた主婦さんがすごいのであって、私が考案したワケじゃない。それに作ったのはジュードさんなんだから素直に受け取っていただきたいものである。だから「ジュードさんのご飯が一番好き」と話題を振り直した。毎度私を持ち上げなくていいんだよ。

◇ ◆ ◇

 朝食後、私達はぞろぞろと商業ギルドへと赴いた。丘に迎えに来た男性騎士とサーシャさんもいたりする。
 サーシャさんは領主だから、騎士団長は別人が担っている。この男性騎士は団長でないけど、顔見知りだからって理由で騎士団の代表として来たっぽい。サーシャさんの護衛の役割もあるのかも?
 何故彼女達も一緒なのかといえば、昨日ベビーカステラを作っている途中だったから。「商業ギルドに行くけど、時間があったらサーシャさんも一緒にどう?」と誘ったら、男性騎士も付いて来た感じ。

 キアーロ国、シュグタイルハン国、ヴィルシル国の王都やテルメの街からも連絡がきていたらしく、商業と冒険者ギルドのギルマスとサブマスの四人に丁寧に迎えられてサーシャさんと騎士が驚いていた。
 サーシャさんもいることだし、口だけで説明するよりはわかりやすいだろうと、応接室よりも先に調理室に案内してもらう。

 昨日と同じようにジュードさんに助手をお願いしようとしたら、ジルはもちろんのこと、何故かモルトさんとコルトさんに両腕を捕まえられているガルドさんも連行されてきた。

「どうしたの?」
「昨日、ジュードさんに聞いて面白そうだったので参加させてもらおうと思いまして」

 昨夜解散した後にジュードさんが他のメンツに話していたらしい。ガルドさんの表情が「俺も?」って予想外であることを物語っていた。
 前に料理が壊滅的って言ってたけど大丈夫なんかな? あ、ガルドさんはお肉スライサーをよく担当してくれてるからそれでかも。

 グレンはグレンで作ったものが食べられることがわかっているからか、ヒマ潰しにリバーシをやらなくてもいいらしい。近くで腕を組んで見守る体勢に。立ち姿や表情が後方彼氏面ってやつっぽい。

 調理台の前に並べられたイスにギルマス達六人が座ったら商品の紹介開始だ。
 昨日途中になっちゃったからベビーカステラからかな~なんて私がたこ焼きプレートを手に取って言葉を発するより先に、モルトさんが口を開いていた。

「いつも料理を担当してもらってますが、野営などの時間がないときも素早く作ってくれますよね? 何かコツなどあるんですか?」
「それはねー、オレっちの実力! って言いたいところなんだけどー、今のオレっちには魔法みたいな便利道具があるんだよねー」
「魔法みたいな便利道具……ですか?」
「そう! このピーラーがあれば、野菜の皮剥きが早く終わるんだよー。料理が苦手な人でも簡単に剥けちゃうスグレモノなんだー。すごいでしょー?」

 え、なんか昨日よりもテレビ通販感の強い実演販売が始まったんですけど。私こんな寸劇をやるなんて聞いてないぞ。
 まさかのピーラーからの通販番組アゲイン。しかもモルトさんまで参加のレベルアップバージョンだ。確かに昨日はギルマス達いなかったけどさ……
 私が驚いているのもお構いなしにジュードさんとモルトさんのコント調のトークは進んでいく。
 ジュードさん、ホントにピーラー好きだよね。サーシャさん、ごめん。私には止められないわ。

「そんなにすごいモノなんですか? 料理が苦手なガルドさんやコルトでもできるんですか?」
「もちろんだよー。剥きにくいポテ芋だってキレイに剥けるんだからー」
「とても信じられませんね」
「なら試してみるー?」
「……やる……」
「普通ならこうやってー、ポテ芋の皮を剥いていくでしょー? ほら、コルトもやってるんだからガルドさんも剥いて」
「は?」

 有無を言わさぬジュードさんの圧に負けたガルドさんは「そういうことかよ……」と、先に動き出したコルトさんの隣で渡された包丁を手に取り、苦々しい顔でじゃが芋の皮を剥き始めた。
 なるほど。料理が苦手な人のモデルとして連行されてきたのか。ドンマイ、ガルドさん。

 嫌がっていたガルドさんよりもやる気を見せていたコルトさんの方が手付きが覚束ない。
 ギルマス達も同じようで、ハラハラしているのが伝わってくる。
 わかる、わかるよ。剥いた皮が飛んでって周りに散乱してるもんね。勢いのまま手をザックリ……なんてなりそうで怖いよね。

 十分以上かけて剥き終わった皮の厚さは……五ミリ以上。一回りどころか、およそ半分ほどの大きさになっていた。ガルドさんはコルトさんほどじゃないものの、コルトさんより時間がかかっていた。
 それでもコルトさんは「今まで一番上手くできた」と無表情のドヤ顔を披露しているし、ガルドさんは神経を張り巡らせていたのかじゃが芋一つで疲れを滲ませている。

「こうやって時間がかかるでしょー? でもこれなら簡単。こうやって持ってー、手前に引くだけー。はい、やってみてー。手に刃を当てないように気を付けてねー」

 ジュードさんにピーラーを渡された二人はシャッシャッとスライドさせて新しいじゃが芋の皮剥き。
 先ほど十分以上かかっていたのと比べれば格段に速い。そして薄い。

「はい、お疲れ様ー。さっきより楽に剥けたでしょー?」
「……うん……」
「すごいですね。たった一つでこんなにもかかる時間が変わるとは。量があればあるほどそれを実感できそうです」
「でしょー? これ一つで皮剥き名人になれちゃうー」
「……でも……高そう……」
「そうです。これだけの素晴らしい品でしたらそれ相応の値段でしょう。高いモノなんてそんな気軽に買えませんよ」

 通販番組のオハコと似たセリフがコルトさんの口から出てきたことに驚き。どうせなら本家の決めゼリフである「でも、お高いんでしょう?」を聞きたかった。っていうかそれを言うのはモルトさんじゃないんだね。

「――そして皮剥きが終わっても、これを薄く切るのも慣れてないと大変なんだよねー。でも、そんなときにはコレ!」
「おや、また違う道具ですか?」
「これはねー、スライサーっていう便利道具ー」

 ピーラーから流れるようにスライサーの宣伝に移っている。
 もしかして、売り込む道具類全部そうやって紹介していく感じ?
 私の予想通り、スライサーでスライス。そのスライスしたものをまとめて再びスライサーへ通してじゃが芋を千切り状に。さらにそれをフライパンで炒め始めた。
 そうして出来上がったのはじゃが芋ともやしの塩コショウ炒めである。
 もやしの宣伝までしてくれるんですね。

 炒めものをギルマス達に配ったジュードさんは続けてガルドさんにお肉スライサーでブロック肉を薄切りにさせ、ホットプレートでスライス野菜と共に焼いていく。
 これの宣伝文句は「野営中、風が強くて焚き火ができない状況でも肉や野菜が焼ける」だった。
 昨日は「宿で小腹が空いたときとかー、料理したいのに魔導コンロは高くて買えないって人にはもってこいだよー」だったハズだ。セリフまで考えてくれたん? でも、ここに冒険者ギルドのギルマス達がいるから、セリフは逆の方がよかったんじゃないかな?

 ラップサンドやフライドポテト、スムージーなんかも作って、「これはセナっちのレシピねー。登録してあるから許可がないと作っちゃダメだからねー」って注意までしてくれました。

 最後に「しょっぱいものを食べると甘いものも食べたくなるよねー」と魔導ハンドミキサーとたこ焼きプレートを使ってベビーカステラ作りへ。
 ベビーカステラを作り終わったジュードさんは「セナっちのレシピ、すごいでしょー?」と自慢気だ。
 いやいや、すごいのはジュードさんの方。私、この実演販売中、一言も喋ってないからね。今度からギルドでの説明のときは二人にお願いしようかな?



 料理系の便利道具と魔導具の実演を終えた私達は応接室へと移動した。
 契約書と〝そろばん〟の使い方の説明のためである。
 そろばんのことを気にしていたサーシャさんに「待たせてごめんね」と謝ったら、「いや、楽しませてもらった。昨日も見事だと思ったが、今日はさらに上をいったな」とクスクス笑っていた。
 予想外すぎたけど楽しんでくれたのならよかった。サーシャさんもそう思うんだね。私も二人は実演販売の才能があると思います。

 そろばんはジルの方が得意なのでジルにお任せ。
 王都でそろばん教室を経験した恩恵か、教え方がめちゃくちゃ上手かった。ギルマス達だけじゃなく、サーシャさんや男性騎士まで一通りできるようになるっていう。
 やっぱりこの世界の人ってポテンシャル高くない?? 私が初めて触ったのって小学校の授業だったけど、一、二時間でこんなに出来るようにならなかったよ。
 そろばんはガルドさん達も「丁度いいから教えてくれ」と一緒に授業を受けていた。

 私、そろばんでちょいちょい質問に答えた程度。自分のことなのに特に何もしないまま終わってしまったわ。今日のMVPは間違いなくジュードさん達だろう。労をねぎらう意味で夜ご飯は豪勢にしゃぶしゃぶなんてどうだろうか? 後でみんなに聞こう。

 ちなみに、ジュードさん達やジルのおかげで持ってきた以上に注文を受けることになり、タルゴーさんに追加発注の手紙を送ることになったことをお知らせしておきます。
 特にジュードさんのお気に入りのピーラー。男性騎士からは「騎士団でも購入したいです」と言われ、商業ギルマスからも「これは絶対に売れます!」と断言されてジュードさんが怖いぐらいご機嫌になっていた。


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