君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました

ゆきりん(安室 雪)

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 ライムの前ではいつも優しいマークの豹変にライムはびっくりしていた。

 こんなに怖い雰囲気を出しているのは初めてだわ・・・。

 ジギー様は、ライムに番婚約破棄した時の女性をエスコートしている。派手な出で立ちで、ライムを蔑む目で見ている。あれ?公園で会った女性は?二股?

 「ライム、俺はお前に騙されていたのに、まだ謝られていなかったよな?この場で謝れよ。『番は嘘です、申し訳ありませんでした』ってな!早くしろっ!!」

 「私は嘘を吐いてないわ。あなたが一方的に番だって言い張って婚約したんじゃないっ」

 マークに迷惑はかけられない、ちゃんと否定しなければっ。

 「嘘吐き下級貴族がっ!!ふざけるなっ!!」

 吐き捨てると、ジギー様がライムに掴みかかろうとする。一瞬早くマークが動き、その手を叩き落とす。
 
 「嘘吐きなのは、お前の方じゃないのか?ゴルバチョフ伯爵子息」

 マークが低い声で、ジギー様を睨みつけながらライムを後ろ手に庇い言う。

 「あ?俺に向かって『お前』だと!?お前こそ身を弁えろよっ!!」

 ククッとマークは笑う。

 「いつから王族の人間は、伯爵家に身を弁えなければ、ならなくなったんだ?ゴルバチョフ伯爵っ!あなたの腹の中は、いつも王家に対し、こう思っていたと言う事だと理解すれば良いのか!?」

 マークは少し離れた所にいた、ゴルバチョフ伯爵に向かって叫ぶ。すると、離れていたにも関わらず、ゴルバチョフ伯爵は叫びながら瞬時に近づいてきて、土下座をした。

 「マクリミリアン殿下っ!我が愚息が申し訳ございませんでしたっ!!」

 「コイツが殿下?」

 「ジギーっ!いい加減にしろっ!謝るんだっ!!」

 「俺は悪く無いだろっ」

 ジギー様は全く悪びれた様子が無い。

 マークが静かに口を開く。

 「お前は、ライム嬢に対し、『番』と嘘を吐き、自由を奪い無理矢理従わせていたな?一方的に伯爵家の立場を利用し、婚約届けまで出していたな。周りの学友にも威圧的な態度をしていたと報告を受けている」

 「そ、それは嘘だっ!!俺が無理矢理番だと婚約させられたんだ。学友にも何もした事は無いっ!」

 焦りながらもジギー様は否定する。

 「ホントだっ!騙されたのは俺だっ。俺は何も悪い事はしていないっ!」

 「ほう、それは本当か?」

 マークの目がギラリと光る。

 「ホントだっ」

 力のこもった声で叫ぶ。

 「ほ~う。・・・。シルビアッ!!」

 マークが叫ぶと、女性騎士が周りの人を掻き分け現れる。周りにはいつのまにか円状に人に囲まれていたのだ。

 シルビアと呼ばれ出てきた女性は、公園でジギー様と一緒にいた人だった。彼女の登場にジギー様の顔が引き攣る。




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