16 / 23
15
しおりを挟む
ヒョロリとした男性は議長に促され、証言席に着く。そして
「私・ランドラー・ラドンはこの貴族院議会の場で証言をする際、嘘・偽りを発言しないと誓います」
宣誓の言葉を発した後、レッキャスをチラ見し、すぐに議長の方に向き直った。
「さて、ランドラー・ラドン。ロクサーヌ・エルストン子爵令嬢に宛てたレッキャス・クロス公爵子息の手紙だが、そなたが代筆したので間違いはないか?」
「はい、間違いありません」
「何故、婚約者に宛てる手紙を何度も代筆する事になったのだ?」
「はい。レッキャスはロクサーヌ嬢の事を太っているからと嫌っており、自分の大切な時間を下らない返事に割くことはしたくないし、会って話しをすると口が腐ると言ってました」
「う、嘘だっ!俺はそんな事は言ってないっ!コイツは嘘をついているっ!!」
レッキャスが大声で叫ぶ。
「発言は認めていない。静かにしなさい、クロス公爵子息」
議長は静かな声で諭す。
「私の家はクロス公爵家に借金があり、当時はレッキャスに反対する事は出来ませんでした。私がレッキャスに命令されて代筆していた事は学生時代の友達が証明してくれます。その者達はあちらにおります」
ランドラー・ラドンが示した先には男性が2人おり、ランドラーの言葉に頷いた。
「さて、ロクサーヌ嬢の手紙が誠であると証明されたな」
「私も発言してよろしいでしょうか?」
「ギャラレイ殿下、どうぞ」
「はい、私はロクサーヌ嬢をデビュタントパーティーで見かけておりますが、婚約者であるクロス公爵子息にはエスコートされておりませんでした。また、その際、クロス公爵子息は別の令嬢をエスコートしておりました。婚約者に対する侮辱行為だと思った覚えがあります」
「ロクサーヌ嬢、これは事実か?」
「はい、誠でございます。レッキャス様には嫌われていると自覚がありましたが、まさかデビュタントパーティーでのエスコートを断られるとは思っておりませんでした。ですので、当日は父にエスコートをお願いする事になり、とても悲しいデビュタントパーティーでした」
「うむ、同情してしまう出来事だな。そして昨日の婚約破棄騒動か。昔から嫌っておるようだし既にクロス公爵子息の婚約破棄をエルストン子爵は認め、2度と婚約しないとの念押しにもクロス公爵子息は了承した挙句に、
『2度とするわけないだろ?ブタ令嬢なんかなっ!!』と発言した証言もかなりの貴族から聞かれておる。ソレを覆すなど、虫が良すぎるとは思わないか?貴族院はクロス公爵子息・レッキャスとエルストン子爵令嬢・ロクサーヌとの婚約破棄を認め、クロス公爵家には婚約破棄の慰謝料、並びに長年に渡るロクサーヌ嬢に対する侮辱行為の慰謝料、並びに婚約を結んだ際にエルストン子爵家からの借入金の返済を速やかに行う様に求める。もし、支払いが行われない場合は行政代執行がとり行われる。しかし、次の議題である『クロス公爵家のブタ男爵家降格』にも関連しうるので、まずは支払いは保留とし、『クロス公爵家のブタ男爵家降格』について話し合う事にする」
議長は新たな議題を宣言した。
「私・ランドラー・ラドンはこの貴族院議会の場で証言をする際、嘘・偽りを発言しないと誓います」
宣誓の言葉を発した後、レッキャスをチラ見し、すぐに議長の方に向き直った。
「さて、ランドラー・ラドン。ロクサーヌ・エルストン子爵令嬢に宛てたレッキャス・クロス公爵子息の手紙だが、そなたが代筆したので間違いはないか?」
「はい、間違いありません」
「何故、婚約者に宛てる手紙を何度も代筆する事になったのだ?」
「はい。レッキャスはロクサーヌ嬢の事を太っているからと嫌っており、自分の大切な時間を下らない返事に割くことはしたくないし、会って話しをすると口が腐ると言ってました」
「う、嘘だっ!俺はそんな事は言ってないっ!コイツは嘘をついているっ!!」
レッキャスが大声で叫ぶ。
「発言は認めていない。静かにしなさい、クロス公爵子息」
議長は静かな声で諭す。
「私の家はクロス公爵家に借金があり、当時はレッキャスに反対する事は出来ませんでした。私がレッキャスに命令されて代筆していた事は学生時代の友達が証明してくれます。その者達はあちらにおります」
ランドラー・ラドンが示した先には男性が2人おり、ランドラーの言葉に頷いた。
「さて、ロクサーヌ嬢の手紙が誠であると証明されたな」
「私も発言してよろしいでしょうか?」
「ギャラレイ殿下、どうぞ」
「はい、私はロクサーヌ嬢をデビュタントパーティーで見かけておりますが、婚約者であるクロス公爵子息にはエスコートされておりませんでした。また、その際、クロス公爵子息は別の令嬢をエスコートしておりました。婚約者に対する侮辱行為だと思った覚えがあります」
「ロクサーヌ嬢、これは事実か?」
「はい、誠でございます。レッキャス様には嫌われていると自覚がありましたが、まさかデビュタントパーティーでのエスコートを断られるとは思っておりませんでした。ですので、当日は父にエスコートをお願いする事になり、とても悲しいデビュタントパーティーでした」
「うむ、同情してしまう出来事だな。そして昨日の婚約破棄騒動か。昔から嫌っておるようだし既にクロス公爵子息の婚約破棄をエルストン子爵は認め、2度と婚約しないとの念押しにもクロス公爵子息は了承した挙句に、
『2度とするわけないだろ?ブタ令嬢なんかなっ!!』と発言した証言もかなりの貴族から聞かれておる。ソレを覆すなど、虫が良すぎるとは思わないか?貴族院はクロス公爵子息・レッキャスとエルストン子爵令嬢・ロクサーヌとの婚約破棄を認め、クロス公爵家には婚約破棄の慰謝料、並びに長年に渡るロクサーヌ嬢に対する侮辱行為の慰謝料、並びに婚約を結んだ際にエルストン子爵家からの借入金の返済を速やかに行う様に求める。もし、支払いが行われない場合は行政代執行がとり行われる。しかし、次の議題である『クロス公爵家のブタ男爵家降格』にも関連しうるので、まずは支払いは保留とし、『クロス公爵家のブタ男爵家降格』について話し合う事にする」
議長は新たな議題を宣言した。
124
あなたにおすすめの小説
妹よりも劣っていると指摘され、ついでに婚約破棄までされた私は修行の旅に出ます
キョウキョウ
恋愛
回復魔法を得意としている、姉妹の貴族令嬢が居た。
姉のマリアンヌと、妹のルイーゼ。
マクシミリアン王子は、姉のマリアンヌと婚約関係を結んでおり、妹のルイーゼとも面識があった。
ある日、妹のルイーゼが回復魔法で怪我人を治療している場面に遭遇したマクシミリアン王子。それを見て、姉のマリアンヌよりも能力が高いと思った彼は、今の婚約関係を破棄しようと思い立った。
優秀な妹の方が、婚約者に相応しいと考えたから。自分のパートナーは優秀な人物であるべきだと、そう思っていた。
マクシミリアン王子は、大きな勘違いをしていた。見た目が派手な魔法を扱っていたから、ルイーゼの事を優秀な魔法使いだと思い込んでいたのだ。それに比べて、マリアンヌの魔法は地味だった。
しかし実際は、マリアンヌの回復魔法のほうが効果が高い。それは、見た目では分からない実力。回復魔法についての知識がなければ、分からないこと。ルイーゼよりもマリアンヌに任せたほうが確実で、完璧に治る。
だが、それを知らないマクシミリアン王子は、マリアンヌではなくルイーゼを選んだ。
婚約を破棄されたマリアンヌは、もっと魔法の腕を磨くため修行の旅に出ることにした。国を離れて、まだ見ぬ世界へ飛び込んでいく。
マリアンヌが居なくなってから、マクシミリアン王子は後悔することになる。その事実に気付くのは、マリアンヌが居なくなってしばらく経ってから。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
婚約破棄?私の婚約者はアナタでは無い リメイク版 【完結】
翔千
恋愛
「ジュディアンナ!!!今この時、この場をもって、貴女の婚約を破棄させてもらう!!」
エンミリオン王国王妃の誕生日パーティーの最中、王国第2王子にいきなり婚約破棄を言い渡された、マーシャル公爵の娘、ジュディアンナ・ルナ・マーシャル。
王子の横に控える男爵令嬢、とても可愛いらしいですね。
ところで、私は第2王子と婚約していませんけど?
諸事情で少しリメイクさせてもらいました。
皆様の御目に止まっていただけたら幸いです。
【完結】義家族に婚約者も、家も奪われたけれど幸せになります〜義妹達は華麗に笑う
鏑木 うりこ
恋愛
お姉様、お姉様の婚約者、私にくださらない?地味なお姉様より私の方がお似合いですもの!
お姉様、お姉様のお家。私にくださらない?お姉様に伯爵家の当主なんて務まらないわ
お母様が亡くなって喪も明けないうちにやってきた新しいお義母様には私より一つしか違わない双子の姉妹を連れて来られました。
とても美しい姉妹ですが、私はお義母様と義妹達に辛く当たられてしまうのです。
この話は特殊な形で進んで行きます。表(ベアトリス視点が多い)と裏(義母・義妹視点が多い)が入り乱れますので、混乱したら申し訳ないですが、書いていてとても楽しかったです。
婚約破棄をした相手方は知らぬところで没落して行きました
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢だったアンネリーは婚約者であり、侯爵でもあるスティーブンに真実の愛がどうたらという理由で婚約破棄されてしまった。
悲しみに暮れたアンネリーだったが、偶々、公爵令息のジョージと再会し交流を深めていく。
アンネリーがジョージと楽しく生活をしている中、真実の愛に目覚めたらしいスティーブンには様々な災厄? が降りかかることになり……まさに因果応報の事態が起きるのであった。
復縁は絶対に受け入れません ~婚約破棄された有能令嬢は、幸せな日々を満喫しています~
水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のクラリスは、婚約者のネイサンを支えるため、幼い頃から血の滲むような努力を重ねてきた。社交はもちろん、本来ならしなくても良い執務の補佐まで。
ネイサンは跡継ぎとして期待されているが、そこには必ずと言っていいほどクラリスの尽力があった。
しかし、クラリスはネイサンから婚約破棄を告げられてしまう。
彼の隣には妹エリノアが寄り添っていて、潔く離縁した方が良いと思える状況だった。
「俺は真実の愛を見つけた。だから邪魔しないで欲しい」
「分かりました。二度と貴方には関わりません」
何もかもを諦めて自由になったクラリスは、その時間を満喫することにする。
そんな中、彼女を見つめる者が居て――
◇5/2 HOTランキング1位になりました。お読みいただきありがとうございます。
※他サイトでも連載しています
婚約破棄された令嬢が呆然としてる間に、周囲の人達が王子を論破してくれました
マーサ
恋愛
国王在位15年を祝うパーティの場で、第1王子であるアルベールから婚約破棄を宣告された侯爵令嬢オルタンス。
真意を問いただそうとした瞬間、隣国の王太子や第2王子、学友たちまでアルベールに反論し始め、オルタンスが一言も話さないまま事態は収束に向かっていく…。
天才少女は旅に出る~婚約破棄されて、色々と面倒そうなので逃げることにします~
キョウキョウ
恋愛
ユリアンカは第一王子アーベルトに婚約破棄を告げられた。理由はイジメを行ったから。
事実を確認するためにユリアンカは質問を繰り返すが、イジメられたと証言するニアミーナの言葉だけ信じるアーベルト。
イジメは事実だとして、ユリアンカは捕まりそうになる
どうやら、問答無用で処刑するつもりのようだ。
当然、ユリアンカは逃げ出す。そして彼女は、急いで創造主のもとへ向かった。
どうやら私は、婚約破棄を告げられたらしい。しかも、婚約相手の愛人をイジメていたそうだ。
そんな嘘で貶めようとしてくる彼ら。
報告を聞いた私は、王国から出ていくことに決めた。
こんな時のために用意しておいた天空の楽園を動かして、好き勝手に生きる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる