私、今から婚約破棄されるらしいですよ!舞踏会で噂の的です

ゆきりん(安室 雪)

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 ヒョロリとした男性は議長に促され、証言席に着く。そして

 「私・ランドラー・ラドンはこの貴族院議会の場で証言をする際、嘘・偽りを発言しないと誓います」

 宣誓の言葉を発した後、レッキャスをチラ見し、すぐに議長の方に向き直った。

 「さて、ランドラー・ラドン。ロクサーヌ・エルストン子爵令嬢に宛てたレッキャス・クロス公爵子息の手紙だが、そなたが代筆したので間違いはないか?」

 「はい、間違いありません」

 「何故、婚約者に宛てる手紙を何度も代筆する事になったのだ?」

 「はい。レッキャスはロクサーヌ嬢の事を太っているからと嫌っており、自分の大切な時間を下らない返事に割くことはしたくないし、会って話しをすると口が腐ると言ってました」

 「う、嘘だっ!俺はそんな事は言ってないっ!コイツは嘘をついているっ!!」

 レッキャスが大声で叫ぶ。

 「発言は認めていない。静かにしなさい、クロス公爵子息」

 議長は静かな声で諭す。

 「私の家はクロス公爵家に借金があり、当時はレッキャスに反対する事は出来ませんでした。私がレッキャスに命令されて代筆していた事は学生時代の友達が証明してくれます。その者達はあちらにおります」

 ランドラー・ラドンが示した先には男性が2人おり、ランドラーの言葉に頷いた。
 
 「さて、ロクサーヌ嬢の手紙が誠であると証明されたな」

 「私も発言してよろしいでしょうか?」

 「ギャラレイ殿下、どうぞ」

 「はい、私はロクサーヌ嬢をデビュタントパーティーで見かけておりますが、婚約者であるクロス公爵子息にはエスコートされておりませんでした。また、その際、クロス公爵子息は別の令嬢をエスコートしておりました。婚約者に対する侮辱行為だと思った覚えがあります」

 「ロクサーヌ嬢、これは事実か?」

 「はい、誠でございます。レッキャス様には嫌われていると自覚がありましたが、まさかデビュタントパーティーでのエスコートを断られるとは思っておりませんでした。ですので、当日は父にエスコートをお願いする事になり、とても悲しいデビュタントパーティーでした」

 「うむ、同情してしまう出来事だな。そして昨日の婚約破棄騒動か。昔から嫌っておるようだし既にクロス公爵子息の婚約破棄をエルストン子爵は認め、2度と婚約しないとの念押しにもクロス公爵子息は了承した挙句に、
『2度とするわけないだろ?ブタ令嬢なんかなっ!!』と発言した証言もかなりの貴族から聞かれておる。ソレを覆すなど、虫が良すぎるとは思わないか?貴族院はクロス公爵子息・レッキャスとエルストン子爵令嬢・ロクサーヌとの婚約破棄を認め、クロス公爵家には婚約破棄の慰謝料、並びに長年に渡るロクサーヌ嬢に対する侮辱行為の慰謝料、並びに婚約を結んだ際にエルストン子爵家からの借入金の返済を速やかに行う様に求める。もし、支払いが行われない場合は行政代執行がとり行われる。しかし、次の議題である『クロス公爵家のブタ男爵家降格』にも関連しうるので、まずは支払いは保留とし、『クロス公爵家のブタ男爵家降格』について話し合う事にする」

 議長は新たな議題を宣言した。



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