番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?

ゆきりん(安室 雪)

文字の大きさ
33 / 40

32

しおりを挟む
 昨夜と同じ小さめのダイニングで朝食を食べていると、メイドがやって来て伝言を伝える。

 「王妃様より、朝食が終わられましたらティールームにお2人でお越し下さいとの事です」

 「あ~、それって他の兄弟も?」

 「左様でございます」

 「わかった」

 返事をして、ガイナは溜息をついた。

 何だ、他の兄弟と何かあるのか!?




 朝食を終え、指定されたティールームに向かっていると思われる。ガイナは気が重そうだ。

 「ガイナ、イヤな兄弟がいるのか?」

 思わず聞いてみるが、ガイナは首を振る。そして繋いでいる手をギュッと握ってくる。

 「スミレ、『郷に入れば郷に従え』という言葉がある。従ってくれ」

 「何だそれは?そんなにイヤな事が待っているのか?」

 「俺は今はイヤじゃない。寧ろ大歓迎だ」

 話している内に指定の部屋に着いた。部屋の前には護衛騎士がいる。ガイナが室内に入るので、スミレも中に続く。

 「あ~、話しは何処からともなく聞いていると思うが、俺の番スミレだ」

 「スミレです」

 ペコリと頭を下げ、顔を上げて絶句する。

 座り方おかしいぞ?

 密着し過ぎじゃないか!?

 ガイナが進んだ先には椅子が1つしかない。そこにガイナは座った。そして、

 「おいで、スミレ」

 と手招きした。

 そう、その場にいた全員男性の上に女性が座っているのだ。この場に招いた王妃様もだ。王様が王妃様の尻に文字通り敷かれているのだ。他の2組もそうだ。多分、第1王子と第3王子だと思う。

 ガイナの横で立ち尽くしてしまったスミレを促し、ガイナは膝の上に座らせた。

 「ま、まじかっ!?」

 思わずスミレは為すがまま座らされてしまう。コレがさっき言ってた『郷に入れば郷に従え』か・・・。ガイナは今はイヤじゃないと言っていたな、大歓迎だと。まあ、座るしか無いなら座っておく。

 家族が揃った所でそれぞれ挨拶し、全員の顔と名前を覚える。

 「スミレちゃんは『闘剣令嬢』なんて通り名が付いちゃうくらい、強いのよね?ほら~、コモドンドラゴンをガイナと一緒に4匹ずつ倒したんでしょ?凄いわねっ」

 王妃様が楽しそうに話すが、スミレはそれどころじゃ無い。男性が皆、膝の上の奥さんにせっせとお茶を飲ませたり、お菓子を食べさせているのだ。ガイナもスミレの口元にティーカップを持ってきて、スミレに飲まそうとしている。

 「ほら、スミレ。王宮の紅茶は美味いぞ?多分ヌワラエリアだ」

 「本当かっ!?んっ、本当だ美味いなっ!」

 通常の口調で喋ってから『あ、』と気がつくが、口から出た言葉は戻って来ない。

 「スミレさんは自警団に所属して男の中で働いていたから、男言葉になるのも仕方ないよな?」

 第3王子・マークがフォローを入れてくれる。

 「そうだな、なるよな?」

 第1王子のフレッドも賛同した後、

 「ドラゴンの涙いっぱいで羨ましいな。今着けてる指輪もそうでしょ?」

 と聞いてくる。

 「ええ、ガイナから婚約指輪で」

 気づいてもらえて思わず笑顔で答える。

 「婚約指輪っ!!ドラゴンの涙をっ!!ダイヤモンドじゃ無いあたり、凄いなガイナ」

 「スミレさんも喜んでるし」

 「ああ、お似合いの2人だよな」

 何故か皆に頷かれてしまった。




しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

番など、今さら不要である

池家乃あひる
恋愛
前作「番など、御免こうむる」の後日談です。 任務を終え、無事に国に戻ってきたセリカ。愛しいダーリンと再会し、屋敷でお茶をしている平和な一時。 その和やかな光景を壊したのは、他でもないセリカ自身であった。 「そういえば、私の番に会ったぞ」 ※バカップルならぬバカ夫婦が、ただイチャイチャしているだけの話になります。 ※前回は恋愛要素が低かったのでヒューマンドラマで設定いたしましたが、今回はイチャついているだけなので恋愛ジャンルで登録しております。

彼女は白を選ばない

黒猫子猫
恋愛
ヴェルークは、深い悲しみと苦しみの中で、運命の相手とも言える『番』ティナを見つけた。気高く美しかったティナを護り、熱烈に求愛したつもりだったが、彼女はどうにもよそよそしい。 プロポーズしようとすれば、『やめて』と嫌がる。彼女の両親を押し切ると、渋々ながら結婚を受け入れたはずだったが、花嫁衣装もなかなか決めようとしない。 そんなティナに、ヴェルークは苦笑するしかなかった。前世でも、彼女は自分との結婚を拒んでいたからだ。 ※短編『彼が愛した王女はもういない』の関連作となりますが、これのみでも読めます。

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します

ちより
恋愛
 侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。  愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。  頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。  公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。

異母姉の身代わりにされて大国の公妾へと堕とされた姫は王太子を愛してしまったので逃げます。えっ?番?番ってなんですか?執着番は逃さない

降魔 鬼灯
恋愛
やかな異母姉ジュリアンナが大国エスメラルダ留学から帰って来た。どうも留学中にやらかしたらしく、罪人として修道女になるか、隠居したエスメラルダの先代王の公妾として生きるかを迫られていた。 しかし、ジュリアンナに弱い父王と側妃は、亡くなった正妃の娘アリアを替え玉として差し出すことにした。 粗末な馬車に乗って罪人としてエスメラルダに向かうアリアは道中ジュリアンナに恨みを持つものに襲われそうになる。 危機一髪、助けに来た王太子に番として攫われ溺愛されるのだか、番の単語の意味をわからないアリアは公妾として抱かれていると誤解していて……。 すれ違う2人の想いは?

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

私のことが大好きな守護竜様は、どうやら私をあきらめたらしい

鷹凪きら
恋愛
不本意だけど、竜族の男を拾った。 家の前に倒れていたので、本当に仕方なく。 そしたらなんと、わたしは前世からその人のつがいとやらで、生まれ変わる度に探されていたらしい。 いきなり連れて帰りたいなんて言われても、無理ですから。 そんなふうに優しくしたってダメですよ? ほんの少しだけ、心が揺らいだりなんて―― ……あれ? 本当に私をおいて、ひとりで帰ったんですか? ※タイトル変更しました。 旧題「家の前で倒れていた竜を拾ったら、わたしのつがいだと言いだしたので、全力で拒否してみた」

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

処理中です...