婚約破棄ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)

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 キャスバル様とオペラを観終わり、手を繋いだままで劇場のエントランスへと降りてきた。すると、もう2度と会う事は無いだろうと思っていた人物と目が合う。

 元義母のカサブランカだ。

 胸が見えそうなほど開きが大きく、脚には深いスリットが入った、真っ赤なドレスを着ている。ハッキリ言って下品だ。化粧も濃く、離れてはいるが臭いが漂ってきそうな程だ。その顔が、ローゼリアを捉えた。そして横のキャスバル様の顔を見て、もう1度ローゼリアを見て、ニヤリと口元を歪め、カサブランカは連れ立っていた、脂ぎっている中年の男性とその場を後にした。

 カサブランカが去ると、ローゼリアは詰めていた息を吐き出した。

 「ローゼリア嬢、大丈夫か?顔色が悪い」

 握っていた手に力を込められる。

 「まあ、あんな顔を見せられたら気分も悪くなるがな。しばらくは身辺に気を配った方がいいか・・・。その後、セイレンの警備はキチンといるのか?」

 「一応、形だけですが6人雇い、門を24時間体制で見てもらってます」

 まあ、もう来ないとは思ったのだが一応伯爵家だし。門の警備くらいはいてもらってもいいのかなと、最低限の人数を置いたのだ。

 「もう少し、増やした方がいいと思うが。スノーランドの屋敷はもっと大掛かりだろ?」

 「そうですが、あまりにモノモノしくしてしまうと、領民が不快に思わないかと。比較的屋敷の近くに領民の家がありますから」

 「う~む、どうするかな」

 キャスバル様は、屋敷に送り届けてくれながら、ブツブツ呟いていた。



 
 あまり思い出す事も無かったが、彼ら・・のその後を父にたずねてみた。


 ダンとアイシャは領地で領民と共に畑仕事をしているが、不満タラタラで領民とは2人とも上手くいっていないようだが、領主・夫人は何とか溶けこみそれなりに頑張っている様だ。

 そしてカサブランカは、仮面パーティの屋敷に送られた後、そこに来ていた男爵の妾になり、相変わらず適当に遊んで暮らしているらしい。母とは真逆の性格はどうやったら形成されたのか、疑問に思う。

 父に素朴な疑問をぶつけてみる。

 「お父様は、キチンとした方とは再婚はされないのですか?私は反対しませんよ?」

 『ぶふぉっ!!ぶふぉっ!!』

 と、飲んでいた紅茶をむせてしまったようです、大丈夫ですか?

 「ろ、ローズっ!いきなり何をっ!」

 「いえ、老後1人は寂しいじゃないですか?どなたかいらっしゃらないのかなと思いまして」

 「うむ、いない事はないが・・・、なあ?」

 「会わせて頂けるのを楽しみにしてますわ」

 ふふっ、どんな方かな?

 ホントに楽しみだわ。



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