婚約破棄ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)

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 翌朝、重い頭に呻きながら起きた。

 ぼ~っとする。

 そばに控えて侍女に果実水を手渡され、一気に飲み干す。若干はスッキリするが、身体も頭も重い。その後、侍女が用意してくれた野菜のスープを少しずつ飲んでいく。最初は飲むのが億劫だったが、飲み進む内に段々と普通に飲める様になっていく。

 スープを飲み終わり、一息ついたところで扉をノックされた。侍女が、父とキャスバル様が話があるので、部屋かティールームどちらが良いか聞いて来た。準備してからティールームに向かうと告げ、若干フラフラしながら支度した。



 ティールームに着くと既に父とキャスバル様は何か話しているようだった。遅くなった事を詫び、ソファーに、向かうが少しの距離を歩くだけでも疲れてしまい、身体がグラッと揺らいだ所をキャスバル様に支えられた。

 「キャスバル様、申し訳ありません・・・」

 キャスバル様にしがみつきながら謝る。

 「いや、こちらこそまだ体調が良くないのに呼び立ててすまないな」

 キャスバル様はローゼリアをしっかり支えながらソファーに、座らせてくれた。

 ローゼリアの横にキャスバル様は座った。

 「さて、昨日の顛末を話そうーーー」

 キャスバル様が話し始めだ。

 王都周辺で怪しげな仮面パーティが開かれているとの情報が3年位前からあり、王立の警備騎士達がコッソリと探っていた。極秘で行われていたようで、中々場所の特定が出来なかったのだが、シャーロック家の騒動の際、仮面パーティが行われている没落貴族の元に、離縁された妻が送られたらしい。その情報を得た警備騎士達は、その没落貴族を調べ始め、違法な香を使った犯罪行為の証拠を集めていた。近々摘発予定だったらしい。因みに昨日、ローゼリアを助けに入った時には、別の部屋に香で意識が無い女性や、錯乱した女性が数人いたらしい。カサブランカは香の吸い過ぎで錯乱が進み、通常の精神に戻る事は無いかもしれないと言う。

 「ローゼリアが最悪な状態にならなくて、ホントに良かった」

 話し終わると、キャスバル様はローゼリアの手をギュッと握った。

 「キャスバル様、本当にローゼリアを助けて頂きありがとうございます。あの時、屋敷にいて頂いたお陰で間に合いました。感謝しきれません」

 父は頭を低く下げお礼を告げている。

 「キャスバル様、助けて頂きありがとうございます。意識が朦朧としながらも、助けて頂いた事は覚えています。何とお礼を言って良いやら・・・」

 横にいるキャスバル様に、座ったままだが、頭を下げた。



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