婚約破棄ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)

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 カイルと相談した数日後、領地をまとめ束ねてもらう人達を屋敷に集め、説明をした。もちろん役職手当の様なものを出す話もする。まあ、『相応の金額を払うからしっかりやってね』の意味が強いのだが。

 商業地・農業地帯・馬の葉加工品の3部門に分け、各部門ごとに3人選出し、メインでそれぞれ運営してもらう。更にその9人を取りまとめるのがカイルだ。各部門は毎週1度はカイルと打ち合わせをし、問題があればローゼリアに相談する。なければローゼリアは月に1度セイレンに来るのみで、基本はスノーランドにいる。まずはその方向で始める事にした。

 ローゼリアの基盤作りが上手く行っていたのど、カイルが比較的早い時期から人選をし、コッソリ育てていたようで、問題は起きなかった。なので、ローゼリアは自分の時間に余裕が出来、キャスバル様に誘われて出かける事も増えた。



 因みに今日は王妃様のお茶会に呼ばれている。お茶会と言っても、2人だけなのだが。

 「それで、ローゼリアはいつになったらキャスバルと婚約してくれるの?」

 『ブフッ』

 丁度お茶を飲もうとしていた所で、吹き出しそうになってしまった。

 「お、王妃様・・・」

 「だってね~、キャスバルはずっと10年以上も指を咥えて待ってたのよ~。で、ローゼリアがキャスバルを拾って、婚約の申し込みをしてからだいぶ経ったでしょ?もうそろそろキャスバルを貰ってくれてもいいんじゃない?」

 「王妃様、貰ってくれてもって、逆じゃないですか?」

 普通は女性が貰われるはず。

 「だって、ローゼリア以外に貰い手が無いのよ~。そろそろ貰って?ね?」

 「はぁ。前向きに検討します」

 「うふふっ。頼んだわよ?じゃあ、キャスバルが庭にいるから行ってもらえる?」

 王妃様は、パチッとウィンクをした。




 メイドに案内されて行くと、薔薇のアーチのそばにキャスバル様はいた。

 「キャスバル様、お待たせしました」

 「いや、すまないね。また母上のゴリ押しで。でもね、この機会に・・・。ローゼリア嬢、俺と結婚して下さい」

 キャスバル様は片膝をつき、ローゼリアに手を伸ばしている。

 「はいっ、喜んでお受けします」

 ローゼリアの手をとり、薬指にダイヤモンドの付いた指輪を嵌め、その指輪の上にチュッとキスを落とした。

 「ローゼリア、ありがとう」

 キャスバル様は立ち上がり、ローゼリアを抱きしめた。

 「こちらこそ、キャスバル様、ありがとうございます。幸せです」

 2人は見つめ合い、そしてゆっくり唇が近づいた所でーーー、

 「キャーッ!!」

 叫び声と共に、王妃様と数人のメイドが生垣に倒れ込んでいた。

 「あ、あはっ。邪魔するつもりはなかったのよ?うふふっ」

 王妃様が去り、メイド達も走り去った。

 残された2人は、モジモジしながらキスをしたのだった。




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