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ゆっくりと目を開けると、見覚えの無い天井が見える。
ここ、どこ!?
「目が覚めたか?いきなり気を失うからびっくりしたぞ?」
ソフィアの頭を撫でながら、グレイが話しかける。その瞬間、一気に記憶が戻る。
「ひゃっ、ぐ、グレイ様、離れてくださいっ」
グレイから距離を取ろうと、ソフィアはベッドの上でゆっくりと後ずさる。
「あ?何でだ?ほら、もう少し休め」
グレイはベッドに乗り上げて、ソフィアを抱きしめた頭をポンポンする。少しパニックしていたソフィアだが、頭を撫でられるのが気持ちよく、瞼を閉じると再び眠りに落ちる。
再びソフィアが目を冷ますと部屋に1人だけだったが、何かいい匂いがする。匂いの元を辿ると、サイドボードの上には何かが載っていて、布がかけてある。フワリと布をめくるとまだ湯気がたっているスープとお粥とお茶が載っていた。寝起きでも胃に優しそうだ。
スープを一口飲んでみると、野菜の優しい味でスルスルと飲めてしまう。お粥もサツマイモが入っていて甘くて美味しい。全部食べ終わり、一息ついていると、グレイが部屋に入ってくる。
「気分は悪くないか?」
「はあ、機嫌は悪いですが気分は悪くないです」
「ふっ、7日間パートナーなんだから機嫌は治せ」
「努力はしますが、保証致しかねます」
そう言って、私は自分の部屋に戻って行った。
とりあえずは1人で落ち着きたい。
翌朝、小鳥のさえずりで目が覚めた。しかし、それは自然の鳥ではなく館内放送による鳥のさえずりだった。部屋の中にはパンのいい匂いが漂っている。
そう、ティーセットが置いてある棚は、部屋に入らずに廊下から棚の中身を入れ替える事が出来るようになっていて、日に何度か入れ替えられている。朝、昼、夜の3食に加えティーセットやお茶菓子もだ。
朝食をのんびり食べ、窓の外を見るとどうやらベランダになっているようで、少しだけ外に出られそうだ。窓を開けると心地良い風が室内に流れ込んでくる。
しかし、それも束の間の幸せ。
無粋なアナウンスが流れてくる。
『皆様おはようございます。9時より講習会が始まります。5分前迄に隣室にお入り下さい』
ソフィアはそのアナウンスに思わず溜息が出てしまう。
何故、父母がこの講習会に参加させたのか理解不能だった。
ここ、どこ!?
「目が覚めたか?いきなり気を失うからびっくりしたぞ?」
ソフィアの頭を撫でながら、グレイが話しかける。その瞬間、一気に記憶が戻る。
「ひゃっ、ぐ、グレイ様、離れてくださいっ」
グレイから距離を取ろうと、ソフィアはベッドの上でゆっくりと後ずさる。
「あ?何でだ?ほら、もう少し休め」
グレイはベッドに乗り上げて、ソフィアを抱きしめた頭をポンポンする。少しパニックしていたソフィアだが、頭を撫でられるのが気持ちよく、瞼を閉じると再び眠りに落ちる。
再びソフィアが目を冷ますと部屋に1人だけだったが、何かいい匂いがする。匂いの元を辿ると、サイドボードの上には何かが載っていて、布がかけてある。フワリと布をめくるとまだ湯気がたっているスープとお粥とお茶が載っていた。寝起きでも胃に優しそうだ。
スープを一口飲んでみると、野菜の優しい味でスルスルと飲めてしまう。お粥もサツマイモが入っていて甘くて美味しい。全部食べ終わり、一息ついていると、グレイが部屋に入ってくる。
「気分は悪くないか?」
「はあ、機嫌は悪いですが気分は悪くないです」
「ふっ、7日間パートナーなんだから機嫌は治せ」
「努力はしますが、保証致しかねます」
そう言って、私は自分の部屋に戻って行った。
とりあえずは1人で落ち着きたい。
翌朝、小鳥のさえずりで目が覚めた。しかし、それは自然の鳥ではなく館内放送による鳥のさえずりだった。部屋の中にはパンのいい匂いが漂っている。
そう、ティーセットが置いてある棚は、部屋に入らずに廊下から棚の中身を入れ替える事が出来るようになっていて、日に何度か入れ替えられている。朝、昼、夜の3食に加えティーセットやお茶菓子もだ。
朝食をのんびり食べ、窓の外を見るとどうやらベランダになっているようで、少しだけ外に出られそうだ。窓を開けると心地良い風が室内に流れ込んでくる。
しかし、それも束の間の幸せ。
無粋なアナウンスが流れてくる。
『皆様おはようございます。9時より講習会が始まります。5分前迄に隣室にお入り下さい』
ソフィアはそのアナウンスに思わず溜息が出てしまう。
何故、父母がこの講習会に参加させたのか理解不能だった。
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