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「俺には実体がもう無いと、話したよな?」

「うん、昨日聞いた」

「実体が無いって事は、他のモノに入り込んで同化する事が出来るんだ。お前はコイツが好きなのか?」

 耀はコイツと言って、自分を指す。

「好きって言うか、素敵な人だなぁって。雲の上の憧れの人。だから、耀っ!副社長を操ったりしないで?」

「ん~?操ってる訳じゃないぞ?コイツが美亜ともっと話したいたいなぁと思ったから、少し後押ししてやっただけだ。じゃあ、頑張れよ」

 耀がそう言ったかと思うと、副社長の顔つきが少し変わる。

「ああ、秋元さん。来てくれたんだね。お土産、ありがとう。初めて食べたけど、凄く美味しかったよ。アレは癖になりそうだね」

「ええ。私も出雲で味見して、凄く気に入ってお土産にしたんです。1人で色々なお土産食べて1番だったんです。副社長にも喜んで頂いて良かったです」

「えっ?出雲に1人で行ったの?」

「はい、独り身だし。平日は友達と予定合わなくて」

 いや、今回は1人で行きたかったからなんだけどね。

「じゃあまた、俺が食事に、誘っても付き合ってもらえるかな?イヤかな?」

「イヤなんて、滅相もないっ!嬉しいです」

「ふふっ、ありがと。あと、会社じゃないから普通に話して?俺の事もイヤじゃなければ隼人って呼んでくれると嬉しい」

「分かりました!・・・あ、分かった、隼人さん。じゃあ、私も美亜って呼んで?」

「ああ、何食べようか?美亜ちゃん?」

 目を合わせ、クスッと2人で笑う。

 何だかくすぐったい。



 隼人さんとの食事はとても楽しかった。副社長だからと最初は緊張したけど、話しやすいし、話しも聞いてくれる。

「ご機嫌だな、美亜」

「耀っ!うさぎじゃないの?」

「お前ね・・・、うさぎは神社で楽だったからだ。それより、ちょっと食事させろよ久々に人に入ったら力使い過ぎた」

 そう言って美亜の顎に指をかけると、上を向かせ、唇に触れてくる。

 !?

 ゆっくり啄ばみ次第に角度を変え、深いものになる。そして、美亜の唇を割り、舌が入り込んでくる。ゆっくりと舐られ、美亜の頭はぼうっとしてくる。しばらくすると、耀は唇を離す。

「ふむ。コレでしばらくは大丈夫だ。なんだか美亜、もっとして欲しいのか?」

「なっ?何するのよっ!?」

「力の補給だ。何だ、隼人に入ってる時にして欲しかったのか?」

「耀の馬鹿っ!」

 クッションを投げつけるが、ヒョイと避けられ、うさぎになってしまう。

 うう~っ。うさぎに八つ当たりは出来ないっ。


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