出雲に行ったら神様(うさぎ→イケメン)を拾いました。

ゆきりん(安室 雪)

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 バタバタと日々は過ぎていく。課長の所には相変わらず副社長がたまにやって来て、帰り際に美亜に微笑んで行く。周りの女子達は誰に微笑んでいるのか、薄々感づいてきているようだ。

 

 そして、土曜日。

 ついにこの日がやって来た!!待ち合わせはスマホでやり取りして、表参道の花屋さんの前にしていた。お店の前で花を眺めていると、ガラスに隼人さんが映る。

「お待たせしたかな?」

「いえっ、私も今から着いたばかりですよ」

「じゃあ、車に乗って?移動するから」

 すぐ側に停めてあった車に案内され、助手席のドアを開けてくれる。

『うわぁ~、こんな事されたの初めてだよ』

 隼人さんは慣れているのか、動きがかなりスマートだ。運転席に乗った隼人さんは美亜を見てクスッと笑う。

「美亜ちゃんはあんまり車に乗らない?」

「うん。運転しないし、周りも車持ってる人いないし」

 笑いながら隼人さんは美亜に手を伸ばしてくる。かなり近い距離に顔が迫ってくる。

 何事っ!?と美亜が固まると、スッとシートベルトを引き出して固定する。

「あっ、シートベルト。すっかり忘れてた」

 えへっと笑う美亜に

「忘れてたら、毎回着けてあげるよ?」

 『ついでに美亜にキスさせるか?』

  隼人さんの言葉の後に、耀が口を挟んでくる。

「だめっ!!」

「ん?美亜ちゃん?」

「な、なんでもないっ」

 隼人さんは不思議な顔をしている。

 くぅ~っ、突然耀が入るのやめて欲しいっ!!どうすればいいのっ?

 それ以降、耀は入って来ず、隼人さんとは出雲神社の話でそれなりに盛り上がり、タワーマンションの地下の駐車場に車を停める。

「ここの1階のイタリアンのランチが美味しくてね。店自体も落ち着いてて。俺のお気に入りなんだ」

 「たのしみっ。パスタ好きなの?」

「ああ。外で食べるのも自分で作るのも好きだな。美亜ちゃんは?」

「私もパスタ好き。トマトとモッツァレラチーズの組み合わせがお気に入りです」

「定番だね。俺も定番のカルボナーラだけどね」

 話しているとお店に着き、ランチセットにそれぞれ好みのパスタをチョイスする。

「最近は『チャイ』に凝っててね。自分でスパイスをブレンドして飲んでるんだ。まあ、日によって味が違うんだけどね」

「私も『チャイ』好き!でも、お砂糖が甘すぎるのは苦手で。なかなかいいお店無いかも」

 「ふふっ。じゃあ俺がご馳走しようかな?俺の家、上だから。あ、変な事はしないから安心してね?」

「はい、じゃあ『チャイ』頂きにいきます」

「腕によりをかけて、スパイス入れるよ。簡単だから美亜ちゃんも出来るよ?」

「じゃあ、隼人先生の作り方見て覚えよ~っと」

 2人は目を合わせ、クスクスと笑ってしまうのだ。



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