指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 その夜。

 うぅ~っ、陛下のバカっ!!声には出せないけど、心の中で盛大に怒鳴る。

「ほら、優。しょうがないだろ。それとも城で監視されて寝たいか?」

 ブンブンッと首を振り、とぼとぼアレク様のベッドに向かう。紅のカゴもこの部屋に持って来たが、紅は既に爆睡している。人の気も知らないで・・・。

 アレク様を見ると、ベッドをポンポンと叩き、微笑みながら優を促す。うっ、アレク様のその顔。一般女子が見たら悶絶寸前だよ。



 朝起きると、優はまたもやアレク様に抱きしめられて起きるのだ。ちゃんと間を空けて寝たはずなのに・・・。何で抱きしめられちゃうんだろ・・・。

「ん・・・、優、おはよ」

「アレク様、おはようございます」

 そう返すと、寝ぼけているのかアレク様は、優の唇に『チュッ』とキスするのだ。啄ばむ様に何度も。優が吐息を漏らすと、更に深くなる。

「アレク様・・・っ」

「優、もう少しだけ」

 キスしながら、アレク様の手が優の頭や背中を撫でる。頭がぼんやりし始めた頃、優の身体に変化が起きる。

「きゃっ!?」

 また、身体が光り始めたのだ。

「アレク様っ」

 ぎゅっとアレク様の身体を抱きしめる。

「あっ、右手がっ」

 右手に少し痛みが走り、全身の光が右手に集中し、右手のみが光る様になる。その光が、ゆっくりと治り痛みも引いてくる。

 何だったの!?

「大丈夫か、優?」

 アレク様に問われ、頷く。身体を起こされ、痛い所は無いかと心配される。痛い所は無いけれど・・・、右手に違和感がある。

 目の前に翳し、掌を見た後、ひっくり返し手の甲を見る。

「うわぁ!」

 何これ、何これっ!?

「どうしたの、優?・・・、これは?」

 アレク様が唖然とした声を出し、優の手をとる。すると、手の甲のソレがキラキラと光り出すのだった。

 

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