指輪に導かれて

ゆきりん(安室 雪)

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 翌朝、優がダイニングに向かうと、すでにマークが起きていた。

「マークおはよう、早起きだね」

 挨拶しながら優は朝食を出していく。

「昨日はみんな揃って寝坊だったから、今日は気合い入れて起きた」

 とマークは苦笑いする。

「でも、優。いきなり大人になったね。綺麗になり過ぎてびっくりした」

「私もびっくりした」

「優とアレク様はその・・・、何でもない」

 そい言いながら、もぐもぐ朝食を食べはじめる。なんだろう?



 騎士達が朝食を食べ終わる前に、優とライ様は先に出る。森と昨日の農村を見て回るのだ。森は変わりないが、その周辺に変化が出てきた。森から川へ水が少し流れ出てきたのは先日確認したが、その水が少し増えて来ているのだ。そしてその水を吸い、川の水が流れている周りには草が生えはじめている。

「ライ様、森に少しだけ雨降らせますか?」

「そうだな~、大量にはいらないと思うから少し降らせるか。七色じゃない普通の雨」

「はぁ~い」

 ライ様の言葉に、優は普通の雨を降らせる。成長を促す訳じゃないので、普通の雨で充分だ。

 今日作業をする予定の農村に向かいながら、昨日作物を育てた農村にも雨を降らせる。そして、目的の農村に着くとライ様は、種や苗を畑に植え、優は七色の雨を降らせる。昨日この、作業を何回も繰り返したおかげで、皆コツが掴めてきた。午前・午後とも順調に進み、何日か経つと農村部は劇的に回復し、何と雨も少量ながら自然に降るようになった。

「かなり上手く行ったんじゃないか?」

 ライ様の声に『うんうん』と皆頷く。

「明日の午前で農村は終わり。午後は点在する小さな森の再生を優とするけど、午後は騎士達どうする?」

 農村部は騎士達の手助けが必要だが、森には必要ないのだ。

「そうだな、じゃあ午後は国王に経過報告と、間も無く完了する旨を伝えに行こうかな。他の皆は午後、休んでもらっていいから」

 とアレク様が言うと、

「そんな、休むなんて出来ません。傷んでいる橋がいくつかあったので、それの復旧作業の手伝いをしに行っても良いでしょうか?」

 騎士から提案が上がる。

「それは構わないが。いいのか?全然休めてないだろう?」

「早く元の様に戻って欲しいから、出来る限り手伝いたいんです」

 と力強く言われてしまう。アレク様は無理をしない約束で許可を出す。



 翌日の最期の農村部の作業・小さな森の再生をいくつかこなし、夕方には全ての作業が終わる。

「乾杯っ!!」

 その日の夕食にはこの遠征初のワインが出た。いつも通り夕食を出していたらワイン瓶がゴロゴロ出て来たのだ。日頃アルコールを飲まない優も、皆に付き合って少し飲む。案外、飲みやすい味かも、と2杯目も飲んでしまった。




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