上 下
26 / 50

25

しおりを挟む
 雑貨屋さんの店員さん・ナオさんは実は雑貨屋さんのオーナーらしい。貴族令嬢なのだが、雑貨類が好きで両親にお願いし、午後のみを働かせてもらっているらしい。

 多分、気が合いそうな気がする。

「うわぁ!!王都で食べるよりもフワフワだわっ!!バターの風味もいいし、クルミも香ばしいわっ!!ソレと、このプリンっ!!もうプリンじゃないわっ!!」

 なおさんは興奮気味に一気に食べ、紅茶を一口飲み、

「あらっ?ローズティー程は匂わないけど、ふんわりと薔薇の香りが。お菓子の味を邪魔しない位で丁度いわ。このお茶は?」

 首を傾げながらナオさんは聞いてくる。

「紅茶にローズオイルを少し加えてあるんです。なおさんのお店の雰囲気で何となく好きそうかなって。実は私が好きな飲み方なんです」

 セイラは普通のローズティーも好きなのだが、お菓子の風味を損ねてしまうので、お菓子を食べる時にはこの飲み方なのだ。

「かなり好きだわっ!ねぇ、お店を開く予定なのよね?オープンはいつか決まってるの?」

「近々オープンさせようとは思っているのだけど、まだ未定で」

「私的には早目のオープンにして欲しいわ。とっても美味しいケーキだもん、多分常連になるわ」

 ナオさんはうふふっと笑い、

「オープン日が決まったら教えてねっ」

 と、元気に帰って行った。



 あ、ナオさんはデュークからの贈り物を持って来てくれたのよね?って、デュークいないしっ!!

 手元の可愛くラッピングされたリボンを解き、箱を開ける。壊れ物と言っていたが、箱の中も緩衝材を使い丁寧に包まれている。

 出て来たのは・・・、

「天使の花瓶っ!!しかもこんなに沢山!!もしかして全種類!?」

 そのタイミングでデュークは戻ってきた。

「デュークっ!!ありがとう!!嬉しいけど飾るお花が無いのが悔しいわっ!!て、その薔薇はどうしたの?」

 デュークの手には、まだ蕾のものや咲き誇っている薔薇が沢山だ。いかにも庭から切って来ました状態なのだが、裏の畑には野菜しか無いはず。

「あ~、なぜがタヌキが薔薇園を作ってたんだ。で、渡された」

 デュークはポツリと呟いた。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

転生少女は異世界でお店を始めたい

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,414pt お気に入り:1,704

異世界で合法ロリ娼婦始めました。聖女スカウトはお断りします。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:284pt お気に入り:122

勇者の幼なじみ

恋愛 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:397

不死王はスローライフを希望します

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:41,499pt お気に入り:17,440

温泉聖女はスローライフを目指したい

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,332pt お気に入り:154

【R18】高飛車王女様はガチムチ聖騎士に娶られたい!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:251

処理中です...