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第四章[キセキのタネ]結Side
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“星に願いを”
一日の終わりの締めくくりとして、娘の為にかけてあげるオルゴールミュージック。
私自身も幼い頃、母が毎晩聴かせてくれた。一回り年下の弟の時も。これが木野家の子守歌。
私にとって、今でも大切で大好きな曲。
小さな頃は、願えばなんでも叶うと想ってた。だって、まず願わなければ。望まなければ何事も生まれない。
願い事があって、それを叶えたいと強く願うことによって、その願いを“叶える為”に頑張ったり努力をする。
そうやって、叶えてゆく。
時には“なにか”や“誰か”の力を借りながら。それでも“自身”で叶えるもの。
それが、私にとっての“願う”ということ。
星に願う時。それは、私の力では成し遂げられない願い事が生まれてしまった時。
どうしようもないけれど“叶えたい”と願って、望んでしまうこと。その願いを“諦められない時”。
そんな、心に強く想う願い事が生まれてしまった時に、夜空を見上げる。
“どうか…この願いが叶いますように…。”心の中で唱える。
流れ星に願い事を乗せるように。そっと託すように。唇から放たれた独り言のような願いの欠片。
フェアリーゴッドマザーがどこかで聞き耳を立ててくれているかもしれない。ブルーフェアリーが姿を現してくれるかもしれない。妖精の存在を心の何処かで信じてる。
だって、信じなければ、望まなければ、願わなければ、叶わないから。
届かないけど確かにそこにあって。
その神秘的な輝きには、魔法みたいな不思議な力が宿っていると信じられた。
幼い頃は特にそれが顕著で。
純心に願いの象徴に祈りを捧げていた。
人目には“夢見がち”に映ってしまうかもしれない。だけど、私は…いつまでも、そんな“夢”を見ていたいのかもしれない。
目を開けたまま見る夢を。
現実世界を、望んだままに。思い描いたようにかたちづくっていく。そんな夢を。
「おやすみなさい。素敵な夢をみてね…。」
かわいらしい静かな寝息をたてながら眠る、小さなお姫様のおでこに、そっと触れるようなキスをして願いを込めた。
これが母親である私の、毎日の幸せのルーティーンの一つ。
愛する娘を寝かしつけ、そっと階段を降り、リビングへ戻ると、そこには愛する夫の姿があった。
「和人さん、おかえりなさい。創介のこと、ありがとう。」
大きな音を立てないように、そっと駆け寄ると、自然と迎え入れるように手を広げ、その胸の内に抱きしめてくれる。
私はこの瞬間が大好き。あたたかくて優しくて、安心する腕の中。柔らかい薫りに包まれて、心から満たされる。
「ふふ。ただいま。」
この、優しい眼差しの瞳の色。微笑みの表情そのもの。朗らかな声色も。夫の放つ雰囲気までもが。全て、心の底から大好きだと感じる。
「僕の宝物が大切にしている子だからね。僕が君の宝物を大切に想うのは当たり前のことだよ。」
言葉にはしていない。ほんの少し、創介のことで和人さんに無理をさせてしまったのではないかと…申し訳なさを感じた瞬間、彼は私の瞳を見つめて囁いた。
「本当に…ありがとう。」
心からそう想い、ぎゅっと抱きつく腕に力がこもる。
「お風呂して来る?それとも、一息入れてからにする?」
「うん。先にお風呂してきちゃうよ。」
本当は、ずっとこうしていたいけれど…。名残惜しそうに少しだけ距離をとる。背の高い夫を仰ぎ見ると、とびきり甘い笑みを浮かべ見つめられた。
「すぐに出てくるから。そしたら、ゆっくり可愛がらせて……。」
頬をそっと撫でられ、とびきり甘い声色で囁かれると、それだけで赤面してしまう。
「たくさん歩いて疲れてるでしょ?ゆっくり湯船に浸かってきてください。珈琲入れる準備をしておきますね。ゆったりしましょ?」
照れてしまい、少し慌てた態度をとる。
「ふふふ。君と珈琲。楽しみにしておくね。」
少し含みをもたせた愉しそうな笑い声をこぼし、頭を撫でると、和人さんは脱衣所に向かった。
何十年経っても、彼との触れ合いはドキドキしてしまう。妻になっても。母になってからも。
彼の掌は、女性として“木野結”という一人の人として。いつでも私を“私”らしくしてくれる魔法をもっている。
一日の終わりの締めくくりとして、娘の為にかけてあげるオルゴールミュージック。
私自身も幼い頃、母が毎晩聴かせてくれた。一回り年下の弟の時も。これが木野家の子守歌。
私にとって、今でも大切で大好きな曲。
小さな頃は、願えばなんでも叶うと想ってた。だって、まず願わなければ。望まなければ何事も生まれない。
願い事があって、それを叶えたいと強く願うことによって、その願いを“叶える為”に頑張ったり努力をする。
そうやって、叶えてゆく。
時には“なにか”や“誰か”の力を借りながら。それでも“自身”で叶えるもの。
それが、私にとっての“願う”ということ。
星に願う時。それは、私の力では成し遂げられない願い事が生まれてしまった時。
どうしようもないけれど“叶えたい”と願って、望んでしまうこと。その願いを“諦められない時”。
そんな、心に強く想う願い事が生まれてしまった時に、夜空を見上げる。
“どうか…この願いが叶いますように…。”心の中で唱える。
流れ星に願い事を乗せるように。そっと託すように。唇から放たれた独り言のような願いの欠片。
フェアリーゴッドマザーがどこかで聞き耳を立ててくれているかもしれない。ブルーフェアリーが姿を現してくれるかもしれない。妖精の存在を心の何処かで信じてる。
だって、信じなければ、望まなければ、願わなければ、叶わないから。
届かないけど確かにそこにあって。
その神秘的な輝きには、魔法みたいな不思議な力が宿っていると信じられた。
幼い頃は特にそれが顕著で。
純心に願いの象徴に祈りを捧げていた。
人目には“夢見がち”に映ってしまうかもしれない。だけど、私は…いつまでも、そんな“夢”を見ていたいのかもしれない。
目を開けたまま見る夢を。
現実世界を、望んだままに。思い描いたようにかたちづくっていく。そんな夢を。
「おやすみなさい。素敵な夢をみてね…。」
かわいらしい静かな寝息をたてながら眠る、小さなお姫様のおでこに、そっと触れるようなキスをして願いを込めた。
これが母親である私の、毎日の幸せのルーティーンの一つ。
愛する娘を寝かしつけ、そっと階段を降り、リビングへ戻ると、そこには愛する夫の姿があった。
「和人さん、おかえりなさい。創介のこと、ありがとう。」
大きな音を立てないように、そっと駆け寄ると、自然と迎え入れるように手を広げ、その胸の内に抱きしめてくれる。
私はこの瞬間が大好き。あたたかくて優しくて、安心する腕の中。柔らかい薫りに包まれて、心から満たされる。
「ふふ。ただいま。」
この、優しい眼差しの瞳の色。微笑みの表情そのもの。朗らかな声色も。夫の放つ雰囲気までもが。全て、心の底から大好きだと感じる。
「僕の宝物が大切にしている子だからね。僕が君の宝物を大切に想うのは当たり前のことだよ。」
言葉にはしていない。ほんの少し、創介のことで和人さんに無理をさせてしまったのではないかと…申し訳なさを感じた瞬間、彼は私の瞳を見つめて囁いた。
「本当に…ありがとう。」
心からそう想い、ぎゅっと抱きつく腕に力がこもる。
「お風呂して来る?それとも、一息入れてからにする?」
「うん。先にお風呂してきちゃうよ。」
本当は、ずっとこうしていたいけれど…。名残惜しそうに少しだけ距離をとる。背の高い夫を仰ぎ見ると、とびきり甘い笑みを浮かべ見つめられた。
「すぐに出てくるから。そしたら、ゆっくり可愛がらせて……。」
頬をそっと撫でられ、とびきり甘い声色で囁かれると、それだけで赤面してしまう。
「たくさん歩いて疲れてるでしょ?ゆっくり湯船に浸かってきてください。珈琲入れる準備をしておきますね。ゆったりしましょ?」
照れてしまい、少し慌てた態度をとる。
「ふふふ。君と珈琲。楽しみにしておくね。」
少し含みをもたせた愉しそうな笑い声をこぼし、頭を撫でると、和人さんは脱衣所に向かった。
何十年経っても、彼との触れ合いはドキドキしてしまう。妻になっても。母になってからも。
彼の掌は、女性として“木野結”という一人の人として。いつでも私を“私”らしくしてくれる魔法をもっている。
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