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弘斗が来てくれたおかげで、お料理は見事に完食できた。
なんかいいなあ、楽しいなあ、こういう食卓。そう思いながら私も大満足だった。
「すっごーーーい! あれぜんぶ食べちゃったね!」
「十人前くらいあったのにね!」
「弘斗のおかげ!」
「さすが運動部!」
「てかマジでヤバいくらいうまかったよ」と普段無口な弘斗も言ってくれた。
「ねえねえ、これ定期的にやろうよ」
「うん、やりたい!」
「おいおい、俺も呼んでくれよ」
「うんうん、もちろん来て、食後のデザートとして!」
「なんの集まりだよ!」
「ねえ愛衣奈、いいでしょ?」
「うんうん、ぜんぜんいい!」私は答えた。私としても、パパが出張に行くたびに寂しい思いをしなくて済む。まったく願ったりだ。
八時ごろになると、弘斗は帰って行った。やり残した宿題があるそうだ。けれど三十分ほどして戻ってくると、「これ、メシのお礼」と言って近くの有名なケーキ屋さんのケーキを差し入れてくれた。
「さすが男ができてるわ」と香奈子が言った。香奈子は少し言うことがおばちゃんぽいとこがある。
「あとで映画観ながら食べようよ!」
「賛成!!!」とみんな同意した。
「お風呂どうする?」と私が聞くと、「お風呂見たい!」と梨花が言い、「入るんじゃなくて見るんかーい!?」と酔っぱらった結衣が笑いながら叫んだ。
「うわーーー、さすがお風呂もひろーい!」と三人は感嘆の声を上げ、「ねえねえ、四人で一緒に入らない?」とまるでエロおやじのように香奈子が言った。
私はそれはちょっといくらなんでもあのその恥ずかしすぎて……、と拒否したかったのだけれど、他の三人が「きゃーーー、エロい!」とかなんとか言いながらも嬉しそうだったので断れなくなってしまった。
湯船に二人が浸かっている間、他の二人が体を洗うと言う交代制でお風呂に入った。けれどそんなに大人しくお風呂に入る四人ではない。私と香奈子が背中を流し合っていると、梨花と結衣がおっぱいの触り合いを始め、それが香奈子と私にも波及し、もう何が何だかわからなくなるほどぐっちゃぐちゃになった。
お風呂から上がるとまたみんなでチューハイを開け、私の部屋になだれ込んだ。
「お宝さがしー!」「探検だー!」と小学生みたいなことを香奈子たちは言い、「愛衣奈、とりあえず卒アル!」「私たちも持ってくれば良かったね!」「うんうん、次来る時持ってこよう!」などと言ってはしゃいだ。
「それよりこのベッド大きい!」
「セミダブル?」そんなことを言いながら三人は私のベッドに横になった。
「ねえねえ愛衣奈、ちょっとドア閉めて電気消してみて?」香奈子が言った。
言われたとおりにすると、部屋が真っ暗になった。目の前にかざした自分の手さえ見えない。
「愛衣奈、早くはやく! こっちきな?」と結衣の声が聞こえた。
私も三人に並んでベッドに入ると、さっきのお風呂の続きが始まった。
「ちょ、ちょっと今だれ、私のお尻触ったの!」「きゃっ! 胸、もまれた!」「きゃあああ!!!」「ちょ、ちょ、パジャマの中はヤバい!」「いやあ!」「くすぐったあい!」「誰の手、これ!」「私そこ駄目!!!」と四人で大暴れした。
一時間は騒いだだろうか、私はフラフラになりながらベッドから抜け出し、明かりをつけた。ベッドを振り返ると、色気の抜け切った三人の女子高生の抜け殻が肩で息をしながら変な笑みを浮かべていた。
「わけわかんないけど面白かったーーー!!!」と梨花が叫んだ。
「それよりねえねえ、その写真の人、愛衣奈のお父さん?」と、体を起こした結衣がめざとく机の上の私とパパの写真を見つけて言った。
「う、うん。そう」
「どれどれ?」
「えっ、これってこないだの……」
「あっ! 授業参観のイケメン!」
「愛衣奈のお父さんだったの!?」
私は頷いた。
実は見つかるの覚悟で机の上に置いていた。ちょっと三人には後ろめたかったのだ。千春には写メまで見せてちゃんと話したのに、この三人にはパパの顔さえ内緒にしてた。
「あーーー、でもなんかわかる気がするー」
「うん。この父親にして、この子ありだよね」と三人はパパの写真と私を見比べて言った。
「でもさ、お父さんがこんなイケメンなら、なかなか好きな人とかできないのもわかる気がする」
「なるほどねー、言われてみればそうだわ。このお父さんを越える人を見つけるなんて学校じゃ無理だわ」
「私だったらお父さんに恋する」
「あっは、ありえるありえる! え、もしかして愛衣奈、そう言う状態?」
「え、な、なにが?」私は思わず口ごもった。
「またごまかして、もしかしてさっき弘斗が言ってた愛衣奈の好きな人って、お父さんのことなんじゃないの?」
「え、そ、そんな! まさか!」
「あ、愛衣奈赤くなった!」
「ほんとほんと、ヤバい! 図星だ!」
「可愛い、愛衣奈!」
「襲っちゃえ!」
そう言うと三人は私をベッドに押し倒し、パジャマの上から中から体中をくすぐりまわした。
元気すぎる三人にへろへろにされながら、私たちはリビングに場所を移すと、弘斗にもらったケーキを食べながら映画を観た。
「テレビ、でかっ!?」
「このケーキ超可愛いんですけど!」
「どれどれ、あ、マロンもある!」
「ねえねえ、まだお酒ある?」
「えーーー、まだ飲むの!?」
「だって楽しすぎるんだもん!」何て言いながら部屋を暗くし、一本目のコメディーで笑い、二本目のヒューマンドラマに涙しながら夜は更けていった。
なんだか最高に楽しい一日だったなあ、なんて思いながら、みんなで肩を寄せ合い、背もたれを倒したソファーで重なり合うように眠りに落ちて行った。
なんかいいなあ、楽しいなあ、こういう食卓。そう思いながら私も大満足だった。
「すっごーーーい! あれぜんぶ食べちゃったね!」
「十人前くらいあったのにね!」
「弘斗のおかげ!」
「さすが運動部!」
「てかマジでヤバいくらいうまかったよ」と普段無口な弘斗も言ってくれた。
「ねえねえ、これ定期的にやろうよ」
「うん、やりたい!」
「おいおい、俺も呼んでくれよ」
「うんうん、もちろん来て、食後のデザートとして!」
「なんの集まりだよ!」
「ねえ愛衣奈、いいでしょ?」
「うんうん、ぜんぜんいい!」私は答えた。私としても、パパが出張に行くたびに寂しい思いをしなくて済む。まったく願ったりだ。
八時ごろになると、弘斗は帰って行った。やり残した宿題があるそうだ。けれど三十分ほどして戻ってくると、「これ、メシのお礼」と言って近くの有名なケーキ屋さんのケーキを差し入れてくれた。
「さすが男ができてるわ」と香奈子が言った。香奈子は少し言うことがおばちゃんぽいとこがある。
「あとで映画観ながら食べようよ!」
「賛成!!!」とみんな同意した。
「お風呂どうする?」と私が聞くと、「お風呂見たい!」と梨花が言い、「入るんじゃなくて見るんかーい!?」と酔っぱらった結衣が笑いながら叫んだ。
「うわーーー、さすがお風呂もひろーい!」と三人は感嘆の声を上げ、「ねえねえ、四人で一緒に入らない?」とまるでエロおやじのように香奈子が言った。
私はそれはちょっといくらなんでもあのその恥ずかしすぎて……、と拒否したかったのだけれど、他の三人が「きゃーーー、エロい!」とかなんとか言いながらも嬉しそうだったので断れなくなってしまった。
湯船に二人が浸かっている間、他の二人が体を洗うと言う交代制でお風呂に入った。けれどそんなに大人しくお風呂に入る四人ではない。私と香奈子が背中を流し合っていると、梨花と結衣がおっぱいの触り合いを始め、それが香奈子と私にも波及し、もう何が何だかわからなくなるほどぐっちゃぐちゃになった。
お風呂から上がるとまたみんなでチューハイを開け、私の部屋になだれ込んだ。
「お宝さがしー!」「探検だー!」と小学生みたいなことを香奈子たちは言い、「愛衣奈、とりあえず卒アル!」「私たちも持ってくれば良かったね!」「うんうん、次来る時持ってこよう!」などと言ってはしゃいだ。
「それよりこのベッド大きい!」
「セミダブル?」そんなことを言いながら三人は私のベッドに横になった。
「ねえねえ愛衣奈、ちょっとドア閉めて電気消してみて?」香奈子が言った。
言われたとおりにすると、部屋が真っ暗になった。目の前にかざした自分の手さえ見えない。
「愛衣奈、早くはやく! こっちきな?」と結衣の声が聞こえた。
私も三人に並んでベッドに入ると、さっきのお風呂の続きが始まった。
「ちょ、ちょっと今だれ、私のお尻触ったの!」「きゃっ! 胸、もまれた!」「きゃあああ!!!」「ちょ、ちょ、パジャマの中はヤバい!」「いやあ!」「くすぐったあい!」「誰の手、これ!」「私そこ駄目!!!」と四人で大暴れした。
一時間は騒いだだろうか、私はフラフラになりながらベッドから抜け出し、明かりをつけた。ベッドを振り返ると、色気の抜け切った三人の女子高生の抜け殻が肩で息をしながら変な笑みを浮かべていた。
「わけわかんないけど面白かったーーー!!!」と梨花が叫んだ。
「それよりねえねえ、その写真の人、愛衣奈のお父さん?」と、体を起こした結衣がめざとく机の上の私とパパの写真を見つけて言った。
「う、うん。そう」
「どれどれ?」
「えっ、これってこないだの……」
「あっ! 授業参観のイケメン!」
「愛衣奈のお父さんだったの!?」
私は頷いた。
実は見つかるの覚悟で机の上に置いていた。ちょっと三人には後ろめたかったのだ。千春には写メまで見せてちゃんと話したのに、この三人にはパパの顔さえ内緒にしてた。
「あーーー、でもなんかわかる気がするー」
「うん。この父親にして、この子ありだよね」と三人はパパの写真と私を見比べて言った。
「でもさ、お父さんがこんなイケメンなら、なかなか好きな人とかできないのもわかる気がする」
「なるほどねー、言われてみればそうだわ。このお父さんを越える人を見つけるなんて学校じゃ無理だわ」
「私だったらお父さんに恋する」
「あっは、ありえるありえる! え、もしかして愛衣奈、そう言う状態?」
「え、な、なにが?」私は思わず口ごもった。
「またごまかして、もしかしてさっき弘斗が言ってた愛衣奈の好きな人って、お父さんのことなんじゃないの?」
「え、そ、そんな! まさか!」
「あ、愛衣奈赤くなった!」
「ほんとほんと、ヤバい! 図星だ!」
「可愛い、愛衣奈!」
「襲っちゃえ!」
そう言うと三人は私をベッドに押し倒し、パジャマの上から中から体中をくすぐりまわした。
元気すぎる三人にへろへろにされながら、私たちはリビングに場所を移すと、弘斗にもらったケーキを食べながら映画を観た。
「テレビ、でかっ!?」
「このケーキ超可愛いんですけど!」
「どれどれ、あ、マロンもある!」
「ねえねえ、まだお酒ある?」
「えーーー、まだ飲むの!?」
「だって楽しすぎるんだもん!」何て言いながら部屋を暗くし、一本目のコメディーで笑い、二本目のヒューマンドラマに涙しながら夜は更けていった。
なんだか最高に楽しい一日だったなあ、なんて思いながら、みんなで肩を寄せ合い、背もたれを倒したソファーで重なり合うように眠りに落ちて行った。
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