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証明

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翌日、騎士団長のリアスが、わざわざ家まで来てくれた。

「どうでしたか?」
「……かなり良くない兆候です」
「そう……」
「ベアードが、偵察部隊の目視だけでも、ざっと数十匹……。おそらく、他国と協力して特別隊を組み、挑む必要があるでしょう」

思っていたよりも、事態は深刻だった。

「ミュシー様が気が付いていなければ、きっと被害者が出ていました。本当に感謝します」
「いえいえ……。ですが、これはかなりの緊急事態ですね。国王にも報告せねば」
「これから向かうところです。是非、ミュシー様の力もお借りしたいと考えております。準備ができましたら、王宮へいらしてください」
「わかりました。すぐに」

リアスを見送ってから、私は剣を磨き始めた。
久々に、強い魔物との戦闘が始まる。

気を引き締めて、望まなければ。

☆ ☆ ☆

王宮に向かうと、すでに大勢の騎士が集まっていた。

そこに……。
ギルガム様と、ヒーナの姿もあった。

「おお、ミュシー。来てくれたか」
「はい。遅れてしまって、申し訳ございません。剣を磨いておりました」
「構わないさ。準備を怠り、命を落とすなどということがあってはいけないからね」

ライブレン王子が、にこやかに微笑んでくれた。

「あらミュシー。何しにここへ?」
「ヒーナ……」

……お姉様、ではなくなったのか。

「あなたの力なんて、必要ないわよ。聖女である私がいるのだから」
「……邪魔をするつもりはないわ」
「ふんっ……」
「こ、こらこらヒーナ……」

間に、ギルガム様が割って入った。

ここにいる人たちは、みんな事情を知っている。
気まずい空気が流れた。

「え、えっと! ライブレン王子! 隣国のサリバーラから連絡がありまして、すぐにでも協力してくださるとのお話です!」

リアスが、あえて大きな声で、報告した。
気を使ってくれたのだろう。

「そうか。心強い。では、サリバーラの隊を待ってから――」
「いいえ。その必要はありませんわ」

ヒーナが、自信満々に言った。

「ヒーナ……。それは一体、どういう意味だい?」
「私一人いれば、ベアードなど、楽に倒すことができますから」
「……いや、そんなことは」
「聖女の力を、ご存じないのですか?」

ヒーナ……。
王子に対して、なんてものの言い方をするの?

少し、調子に乗りすぎている。
私が注意しようとした、その時。

外で、大きな音が鳴った。

「な、何事だ!?」

王宮の中にいた全員が、外に出た。

すると……。
地面に、大きな穴が空いていた。

まさか……。これを、ヒーナが?

「すぐに戻します」

そう言って、地面に向かって、手を伸ばす。

またしても、大きな音が鳴って……。
地面が、元通りになった。

「ね?」

とんでもない力だ……。
これなら、確かに、ベアードを倒すことなど、容易かもしれない。

「……念のため、サリバーラの隊は待つことにしよう。もう、要請しているから。途中で帰ってもらうわけにはいかない」
「そうですね。隣国の兵の方々にも、見せつけて差し上げますわ」

ヒーナが、大声で笑った。

……態度が大きくなる理由も、わかってしまう。
そのくらい、圧倒的な力を見せつけられた。
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