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動き出す公爵家
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「なるほどね。それは酷い話だわ」
「うぅう……」
公爵家令嬢、リンダ・ベネロップに抱きしめられ、涙を流しているのは、伯爵家令嬢シェリー・ディアスである。
昨日、シェリーは王子に婚約破棄をされたのだ。
その原因は……、浮気だった。
「全てあなたのせいにするつもりなのね。絶対に許せない」
シェリーの話では、婚約破棄の原因を伯爵家に押し付け、反撃の芽を摘むために、伯爵家を潰すつもりなのだという。
そんな身勝手な話を、公爵家の令嬢は許すはずもなかった。
「大丈夫よシェリー。……実はね。あの馬鹿な王子とその家族を、今の立場から引きずり降ろす計画を立てていたの」
「え……?」
ゆっくりと顔を上げるシェリー。
リンダは、どことなく恐ろしい笑みを浮かべていた。
「私の父、ジェイド・ベネロップは、王族ということをご存じでしょう?」
「はい……。国王様の弟が、ジェイド様ですよね?」
「その通り。今は王を示すアイバーンの名を奪われているけれど……。私はお父様こそ、王の名にふさわしいと思っているわ」
リンダはシェリーの頭を優しく撫でた後、ゆっくりとシェリーの体を離した。
「あなたはしばらくこの屋敷で過ごしなさい。すでにご家族の元にも、うちの執事たちが向かっているわ。何があっても、伯爵家に手出しはさせないから」
「リンダ様……」
「ふふっ。だからもう泣かないで。――お父様のところへ行ってくるわね」
◇
「なるほど。時は来たか……」
公爵家当主、ジェイド・ベネロップは、静かに笑みを浮かべた。
「お前の築き上げてきたもの。そして、公爵家の力を示すには、ちょうどいい頃合いだろう」
「私もそう思います。……では、任せていただいても?」
「あぁ。諸連絡は任せなさい。これから王宮に?」
「はい。事実確認は大事ですから……」
「ははっ、恐ろしい娘だ」
「お父様に似たのでしょう」
リンダはジェイドに頭を下げた後、部屋を出た。
「うぅう……」
公爵家令嬢、リンダ・ベネロップに抱きしめられ、涙を流しているのは、伯爵家令嬢シェリー・ディアスである。
昨日、シェリーは王子に婚約破棄をされたのだ。
その原因は……、浮気だった。
「全てあなたのせいにするつもりなのね。絶対に許せない」
シェリーの話では、婚約破棄の原因を伯爵家に押し付け、反撃の芽を摘むために、伯爵家を潰すつもりなのだという。
そんな身勝手な話を、公爵家の令嬢は許すはずもなかった。
「大丈夫よシェリー。……実はね。あの馬鹿な王子とその家族を、今の立場から引きずり降ろす計画を立てていたの」
「え……?」
ゆっくりと顔を上げるシェリー。
リンダは、どことなく恐ろしい笑みを浮かべていた。
「私の父、ジェイド・ベネロップは、王族ということをご存じでしょう?」
「はい……。国王様の弟が、ジェイド様ですよね?」
「その通り。今は王を示すアイバーンの名を奪われているけれど……。私はお父様こそ、王の名にふさわしいと思っているわ」
リンダはシェリーの頭を優しく撫でた後、ゆっくりとシェリーの体を離した。
「あなたはしばらくこの屋敷で過ごしなさい。すでにご家族の元にも、うちの執事たちが向かっているわ。何があっても、伯爵家に手出しはさせないから」
「リンダ様……」
「ふふっ。だからもう泣かないで。――お父様のところへ行ってくるわね」
◇
「なるほど。時は来たか……」
公爵家当主、ジェイド・ベネロップは、静かに笑みを浮かべた。
「お前の築き上げてきたもの。そして、公爵家の力を示すには、ちょうどいい頃合いだろう」
「私もそう思います。……では、任せていただいても?」
「あぁ。諸連絡は任せなさい。これから王宮に?」
「はい。事実確認は大事ですから……」
「ははっ、恐ろしい娘だ」
「お父様に似たのでしょう」
リンダはジェイドに頭を下げた後、部屋を出た。
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