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リンダの協力者

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「……なるほど」

 ギルダスから事情を聞いた国王――カイサル・アイバーンは、立派に蓄えた髭を撫でながら、余裕の笑みを浮かべた。

「さすがは我が弟の娘だ。多少は頭が働くようだな」
「ありがとうございます」

 笑いもせず礼を言ったリンダを、カイサルが睨みつける。

「いくら欲しいんだ。よほど金に困っていなければ、このような国家を揺るがしかねない行動をとるはずもなかろう」

 ギルダスと違って、カイサルはリンダの思惑に気が付いていた。
 
「事業に失敗したか? それとも奴隷を逃がしてしまったとか。あるいは優秀な魔法使いに家を燃やされただとかも良いな」
「はっはっは! 父上! そんなことが起きていたら、今頃大騒ぎでございますよ!」
「がっはっは!」

 リンダはため息をついた。 
 このバカな親子は、笑いのツボもおかしい上に、頭が悪い。
 カイサルは多少勘が働くが、基本的な能力は非常に低い男だ。

「はした金など、必要ありません。……もっとも、国家の予算と同じほどの額でしたら、話は別ですが」

 今度はリンダが、皮肉を言った。
 ニヤっと、口角を不気味に上げる。
 ギルダスはリンダの醸し出す雰囲気に、少し恐れをなした様子。

 一方カイサルは、髭から手を離し……。
 玉座の横に忍ばせてあった短剣を手に取った。

「死ぬぞ。貴様」

 短剣の切っ先をリンダに向け、低い声で威圧する。

「魔法使いの水晶? 呆れる。そのような物に映し出された映像など、民は偽造した映像としか思わぬよ」
「なるほど! さすが父上!」
「うむ。冷静に考えればわかる話だろう?」
「……ふふっ」
「……何がおかしい」

 リンダはしなやかな手の動きで、煽るように拍手をした。
 完全な挑発だ。

「どうやら、死ぬ覚悟があるらしいな」
「えぇ。だって……ははっ! 水晶に映像を閉じ込めたのは、一体誰のなのか……。お教えしないといけませんから」
「なにぃ?」

 リンダが使用人に合図すると、使用人が部屋を出た。
 そして――。

 一人の老人を連れて戻ってきた。
 老人と言っても、背筋は真っすぐに伸びており、カイサルよりもさらに立派な髭を蓄えている。

「……大魔導士――ジャレン!」

 カイサルが、悔しそうに短剣を床へ叩きつけた。
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