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厄介な団体
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「ユレイナ様! ユレイナ様~!!!」
ユレイナが、自室で紅茶を飲んでいたところ、名前も覚えていないような、見習いのメイドが、ノックもせず部屋に入ってきた。
「何よ……。騒がしいわね」
「ユレイナ様! 大変です! アージリオン教が!!」
「……アージリオンが?」
「ユレイナ様に、どうしてもお会いしたいと!」
「ちょっと……。シブリエは何をしているの?」
「それが……。どこかに出かけているみたいでして!」
「はぁ……。全くもう」
ユレイナは、メイドを手で追い払った。
淹れたばかりの紅茶が冷えることが、とても気に食わなかったが、本を閉じて、すぐに外へ向かった。
「早くあの女を出しなさい! 罪人を!」
すぐに、門の向こうで、門番ともみ合っている男が目に入った。
アージリオン教の教祖である、リンデスだった。
非常に背が高く、やせ細っており、まるで骸骨のような、気味の悪い男。
ユレイナは、ため息をついたあと、門へと駆け寄った。
「あなた、一体どういうつもりなの?」
ユレイナを視界に捉えたリンデスは、目玉をぎょろりと動かした。
……こういう相手は、ある程度話を聞いてしまった方が、早く事が済む傾向にある。
ユレイナは、門番に、リンデスを離すように指示を出した。
「はぁ……はぁ……。あなたという人は……」
「どうしたのよ。さっさと話しなさい。私が何をしたと言うの?」
「とぼけるな! 幸運の女神を、この街から追い出したであろう!」
「……幸運の女神?」
まさか、ライロットのことだろうか。
アージリオン教は、この国が戦争状態にあった時、人々の心に寄り添うことを目的として、結成された団体だ。
戦争が終わってからは、軍人に裁きを求める活動を行うなど、非常に厄介な動きが目立っている。
……特に、教祖のリンデスは、行き過ぎた平和主義者であり、時折発言に意味不明な部分が混ざるせいもあってか、民から煙たがられている。
「ライロットが、なぜ幸運の女神だと思うの?」
「彼女の右腕には……。薄い痣がある。古来より伝わる、救いの女神……幸運の女神にも、それがあったとされているのだ!」
「そうなのね……。わかったから、ここでそれを叫ばないでくれるかしら。彼女を追い出したのは、国王なのよ?」
「あなたは……。王子の婚約者だろう? 今すぐ国王に、彼女を連れ戻すように言いなさい!」
「……はぁ」
「そうしなければ、必ずこの王都に、不幸の雨が降り注ぐのだ!!」
リンデスは、細い体を目いっぱいに振り乱し、訴えている。
しかし、いくら必死で訴えようとも、ユレイナの心に響くことはなかった。
「あの痣は、彼女が二十二歳の誕生日を迎えた時、女神の紋章に変わるのだ!」
「……まぁわかったわ。それが正しいとして、どうしてあなたたちは、そんな重要なことを、今日まで黙っていたのよ。平和を愛するアージリオン教なんでしょ? 女神なんだから、痣に気が付いた段階で、迎え入れて、崇め奉るべきだったんじゃないの?」
「……できないのだ。女神が、女神であることを、誕生日の前に自覚してしまうと、痣は消えてしまう」
「何よその、都合の良い話は……」
「彼女がこの街に来て、十年が経とうとしている! 戦争で得た資金を使い潰し、発展に陰りが見えたのは、ちょうど十年前だ! 彼女がこの街に来たことで、エージャリオンと、王都プロメリアは、膨大な資源を発見することに成功した! いや、彼女が資源を呼んだのだ!」
穏便に、ことを済ませようとしたユレイナだが、さすがに腹が立っていた。
イラつきながら、リンデスに尋ねる。
「矛盾が酷いのよ。まだ、女神の紋章が出ていないのに、どうして十年前から、幸運の女神としての効力を発揮してるのかしら」
「違う! 紋章は単なる証だ! それが出る前から……。女神は国に、幸運をもたらす!」
「どうして二十二歳なのよ」
「かつての女神が、力に目覚めた年齢が……、二十二歳だからだ」
「それなのに、ライロットは十二歳のころから、力を発揮していたというの?」
「人によるのだ! とにかく! 彼女のおかげで、このプロメリアは――」
「はいはい……。もういいわ」
これ以上聞いていると、頭がおかしくなりそうだ。
そう思ったユレイナは、門番に指示を出し、リンデスを殴らせた。
気絶するまで殴られ続けたリンデスは、馬車に乗せられ、運ばれて行った。
「……何が幸運の女神よ。馬鹿らしい」
アージリオン教は、手を出すと厄介だと考え、これまで触れずに過ごしてきたが、これからも噛みついてくるのであれば、さすがに面倒だ。
「あの人たちも、追い出そうかしらね……」
ユレイナは、不敵な笑みを浮かべながら、自室へと戻って行った。
ユレイナが、自室で紅茶を飲んでいたところ、名前も覚えていないような、見習いのメイドが、ノックもせず部屋に入ってきた。
「何よ……。騒がしいわね」
「ユレイナ様! 大変です! アージリオン教が!!」
「……アージリオンが?」
「ユレイナ様に、どうしてもお会いしたいと!」
「ちょっと……。シブリエは何をしているの?」
「それが……。どこかに出かけているみたいでして!」
「はぁ……。全くもう」
ユレイナは、メイドを手で追い払った。
淹れたばかりの紅茶が冷えることが、とても気に食わなかったが、本を閉じて、すぐに外へ向かった。
「早くあの女を出しなさい! 罪人を!」
すぐに、門の向こうで、門番ともみ合っている男が目に入った。
アージリオン教の教祖である、リンデスだった。
非常に背が高く、やせ細っており、まるで骸骨のような、気味の悪い男。
ユレイナは、ため息をついたあと、門へと駆け寄った。
「あなた、一体どういうつもりなの?」
ユレイナを視界に捉えたリンデスは、目玉をぎょろりと動かした。
……こういう相手は、ある程度話を聞いてしまった方が、早く事が済む傾向にある。
ユレイナは、門番に、リンデスを離すように指示を出した。
「はぁ……はぁ……。あなたという人は……」
「どうしたのよ。さっさと話しなさい。私が何をしたと言うの?」
「とぼけるな! 幸運の女神を、この街から追い出したであろう!」
「……幸運の女神?」
まさか、ライロットのことだろうか。
アージリオン教は、この国が戦争状態にあった時、人々の心に寄り添うことを目的として、結成された団体だ。
戦争が終わってからは、軍人に裁きを求める活動を行うなど、非常に厄介な動きが目立っている。
……特に、教祖のリンデスは、行き過ぎた平和主義者であり、時折発言に意味不明な部分が混ざるせいもあってか、民から煙たがられている。
「ライロットが、なぜ幸運の女神だと思うの?」
「彼女の右腕には……。薄い痣がある。古来より伝わる、救いの女神……幸運の女神にも、それがあったとされているのだ!」
「そうなのね……。わかったから、ここでそれを叫ばないでくれるかしら。彼女を追い出したのは、国王なのよ?」
「あなたは……。王子の婚約者だろう? 今すぐ国王に、彼女を連れ戻すように言いなさい!」
「……はぁ」
「そうしなければ、必ずこの王都に、不幸の雨が降り注ぐのだ!!」
リンデスは、細い体を目いっぱいに振り乱し、訴えている。
しかし、いくら必死で訴えようとも、ユレイナの心に響くことはなかった。
「あの痣は、彼女が二十二歳の誕生日を迎えた時、女神の紋章に変わるのだ!」
「……まぁわかったわ。それが正しいとして、どうしてあなたたちは、そんな重要なことを、今日まで黙っていたのよ。平和を愛するアージリオン教なんでしょ? 女神なんだから、痣に気が付いた段階で、迎え入れて、崇め奉るべきだったんじゃないの?」
「……できないのだ。女神が、女神であることを、誕生日の前に自覚してしまうと、痣は消えてしまう」
「何よその、都合の良い話は……」
「彼女がこの街に来て、十年が経とうとしている! 戦争で得た資金を使い潰し、発展に陰りが見えたのは、ちょうど十年前だ! 彼女がこの街に来たことで、エージャリオンと、王都プロメリアは、膨大な資源を発見することに成功した! いや、彼女が資源を呼んだのだ!」
穏便に、ことを済ませようとしたユレイナだが、さすがに腹が立っていた。
イラつきながら、リンデスに尋ねる。
「矛盾が酷いのよ。まだ、女神の紋章が出ていないのに、どうして十年前から、幸運の女神としての効力を発揮してるのかしら」
「違う! 紋章は単なる証だ! それが出る前から……。女神は国に、幸運をもたらす!」
「どうして二十二歳なのよ」
「かつての女神が、力に目覚めた年齢が……、二十二歳だからだ」
「それなのに、ライロットは十二歳のころから、力を発揮していたというの?」
「人によるのだ! とにかく! 彼女のおかげで、このプロメリアは――」
「はいはい……。もういいわ」
これ以上聞いていると、頭がおかしくなりそうだ。
そう思ったユレイナは、門番に指示を出し、リンデスを殴らせた。
気絶するまで殴られ続けたリンデスは、馬車に乗せられ、運ばれて行った。
「……何が幸運の女神よ。馬鹿らしい」
アージリオン教は、手を出すと厄介だと考え、これまで触れずに過ごしてきたが、これからも噛みついてくるのであれば、さすがに面倒だ。
「あの人たちも、追い出そうかしらね……」
ユレイナは、不敵な笑みを浮かべながら、自室へと戻って行った。
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