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幸運の訪れ
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王家がピンチになっていたころ……。
婚約破棄をされた伯爵令嬢――クレア・ウィンセントは、森を訪れていた。
「妖精。聞こえますか」
魔女は特殊な力を持っており、森の妖精と会話することができる。
「……はい。そうです。えぇ。はい。それで……。ふふっ」
クレアは嫌なことがあると、ここでこうして、妖精と会話することで、ストレスを紛らわせていた。
「はい。その通りです。婚約破棄で発動する呪いは、同時に私に幸運をもたらします」
言った後、クレアは自嘲気味に笑った。
魔女である自分が、幸運になることなどあるのだろうかと、そう言った疑問を持っているからだ。
「え? 馬の足音……?」
妖精に言われて、クレアは耳を澄ませた。
確かに……。遠くから馬車が向かってくる音が聞こえる。
せっかく妖精との会話を楽しんでいたのに……。
深いな気持ちになっていたクレアだったが、妖精の一言で態度を改めた。
「隣国の王子……?」
噂には聞いたことがあった。
自国の残念王子とは違い、隣国の王子は背が高く声も低い、クレアと同じ17歳でありながら、かなりの美男子であると……。
そんな王子がここを訪れるのであれば、話は変わってくるだろう。
クレアは妖精に別れを告げ、潮らしく石に腰かけた。
徐々に馬車が見えてくる。
「……おや、こんなところで何をしていらっしゃるのですか?」
近づいてきた馬車から――隣国の王子が降りてきた。
「僕はリスター・マーチネス――○○国の王子です」
「わ、私は……クレア・ウィンセントです」
「クレア……。綺麗な名前ですね」
「うっ……そ、そうでしょうか」
魔女として、日々魔法の修行に勤しんできたクレアは、美少女でありながらも、異性に対しての耐性はそこまで強くなかった。
前の婚約者(バカ王子)とは、恋愛らしきことをした覚えも無い。
そのせいか……。より一層、目の前の美男子が綺麗に見えて、心臓の鼓動が早まってしまう。
「もし道に迷ったのであれば、国まで送り届けます」
「い、えっと……。その……」
「あるいは、自国に案内いたしましょうか? これも何かの縁ですから」
「そ、そんな滅相も無い!」
「ん? よく見れば……。それは杖ですね。もしやあなたは、魔法を嗜んでおられるのですか?」
リスターが距離を詰めてきて、クレアの緊張はより高まっていく。
震える声で、なんとか説明をすることにした。
「た、嗜む、というよりは、家の方針で……」
「……いや。この杖の溝は、並々ならぬ魔力を感じます」
「……うぅ」
杖をまじまじと見られることは、魔女にとって、顔を覗かれることと同意だった。
恥ずかしい思いをしながらも、杖に夢中になっているリスターの横顔を見つめている。
(どうしよう……。本当に幸運が巡ってきたわ)
その後、魔法についての会話を楽しみ……。
クレアはリスターの国へ招待されることになった。
婚約破棄をされた伯爵令嬢――クレア・ウィンセントは、森を訪れていた。
「妖精。聞こえますか」
魔女は特殊な力を持っており、森の妖精と会話することができる。
「……はい。そうです。えぇ。はい。それで……。ふふっ」
クレアは嫌なことがあると、ここでこうして、妖精と会話することで、ストレスを紛らわせていた。
「はい。その通りです。婚約破棄で発動する呪いは、同時に私に幸運をもたらします」
言った後、クレアは自嘲気味に笑った。
魔女である自分が、幸運になることなどあるのだろうかと、そう言った疑問を持っているからだ。
「え? 馬の足音……?」
妖精に言われて、クレアは耳を澄ませた。
確かに……。遠くから馬車が向かってくる音が聞こえる。
せっかく妖精との会話を楽しんでいたのに……。
深いな気持ちになっていたクレアだったが、妖精の一言で態度を改めた。
「隣国の王子……?」
噂には聞いたことがあった。
自国の残念王子とは違い、隣国の王子は背が高く声も低い、クレアと同じ17歳でありながら、かなりの美男子であると……。
そんな王子がここを訪れるのであれば、話は変わってくるだろう。
クレアは妖精に別れを告げ、潮らしく石に腰かけた。
徐々に馬車が見えてくる。
「……おや、こんなところで何をしていらっしゃるのですか?」
近づいてきた馬車から――隣国の王子が降りてきた。
「僕はリスター・マーチネス――○○国の王子です」
「わ、私は……クレア・ウィンセントです」
「クレア……。綺麗な名前ですね」
「うっ……そ、そうでしょうか」
魔女として、日々魔法の修行に勤しんできたクレアは、美少女でありながらも、異性に対しての耐性はそこまで強くなかった。
前の婚約者(バカ王子)とは、恋愛らしきことをした覚えも無い。
そのせいか……。より一層、目の前の美男子が綺麗に見えて、心臓の鼓動が早まってしまう。
「もし道に迷ったのであれば、国まで送り届けます」
「い、えっと……。その……」
「あるいは、自国に案内いたしましょうか? これも何かの縁ですから」
「そ、そんな滅相も無い!」
「ん? よく見れば……。それは杖ですね。もしやあなたは、魔法を嗜んでおられるのですか?」
リスターが距離を詰めてきて、クレアの緊張はより高まっていく。
震える声で、なんとか説明をすることにした。
「た、嗜む、というよりは、家の方針で……」
「……いや。この杖の溝は、並々ならぬ魔力を感じます」
「……うぅ」
杖をまじまじと見られることは、魔女にとって、顔を覗かれることと同意だった。
恥ずかしい思いをしながらも、杖に夢中になっているリスターの横顔を見つめている。
(どうしよう……。本当に幸運が巡ってきたわ)
その後、魔法についての会話を楽しみ……。
クレアはリスターの国へ招待されることになった。
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