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罰金……?
「山に向かう途中で、ブレッザ家とすれ違ったんだ」
ブレッザ家は、この街を支配している貴族だ。
一年前、突如引っ越してきてから、勝手に様々な街のルールを作り始めた、勝手な奴らで、町民全員から嫌われている。
「そこで、令嬢のセレノー様に、挨拶をしたんだけど……。どうやら、僕の態度が気に食わなかったみたいでね。この有様だ」
「……意味がわからないわ。挨拶をしただけでしょう?」
「多分、ムカついていたんだと思うよ。最近、色々上手くいってないみたいだし」
「それで……。ここまで酷い目に、遭わされないといけないの?」
「ははっ……。運が悪かったね」
「そんな話で済ませてはダメよ!」
キリアは優しすぎる!
こんなの……。許されるわけがない。
私の怒りを、まるで宥めるかのように、キリアは穏やかな表情を浮かべていた。
「でも、この傷が、姉さんの回復魔法の練習の材料に、なってくれればいいかなぁって……」
「キリア。よく考えなさい。あなた、顔面に傷を負わされているのよ? もしかしたら、完全には治らないかもしれない。跡が残ってしまうかもしれない。それに……。当たりどころが悪ければ、あなたは死んでいたかもしれないの。仕方ないで済ませていいはずがないでしょう?」
「……もちろん、それだけだったら、僕もさすがに、何かしら行動を起こしたかもしれない」
「え……?」
「もう一つ、複雑な事情が、絡んでしまって……」
キリアが、服のポケットから、ボロボロの紙を、一枚取り出した。
「……なによ、これ」
その内容に、私は愕然とする。
『キリア・モルバレスは、セレノー・ブラッザに怪我を負わせたので、ここに罰金を命ずる』
「どうして……? 怪我をさせられたのは、キリアの方じゃない」
「彼女を守っていた、大柄の男数人に、まず僕は殴られた。そこへ……。セレノー様がやってきて、僕の顔を切りつけたんだ」
「なんでよ。全然意味がわからないわ」
「……これも同じ理由さ。ムシャクシャしてて、たまたまそこに、ナイフがあった。それだけの話だよ」
どうしてそんなに、穏やかに語ることができるの……?
「その時、バランスを崩したらしくてね。セレノー様は、足をくじいてしまったらしい」
「そんなの、自分の責任じゃ……」
「……この街では、ブレッザ家の言うことは絶対だから」
「……ありえないわ。こんなこと。私が今すぐ抗議に――」
「それだけはやめてくれ」
キリアに、腕を強く掴まれた。
一度だって、喧嘩したことない私たち。
いきなり、キリアの男としての強い部分を見せつけられて、私は怯んだ。
「は、離して」
「じゃあ、座ってくれ」
「わかったから……。痛いのよ」
「ごめん……」
私は自分の腕を撫でながら、キリアに問う。
「本当に、このまま泣き寝入りするつもりなの?」
「その方が、全部丸く収まるからね」
「払えないわよ。罰金なんて」
「だから、病院は辞めようって言ったんだ」
「おかしい……。こんなこと……。あっていいの?」
キリアは、何も答えてくれなかった。
その代わりに、ゆっくりと席を立ちあがった。
「キリア……。ねぇ、キリアってば」
「ブレッザ家は、大ごとにするつもりは無いと思うよ。だから……。借金の取り立ても、しないだろうさ。ゆっくり返していけばいい」
それだけ言って、部屋に戻ってしまった。
……そんな簡単に、引き下がってたまるか。
なんとかして、やり返してやりたいけど……。
全く、打つ手が無い。
今日は、親友に会いに行く日だ。
ちょっと、相談してみようかな……。
ブレッザ家は、この街を支配している貴族だ。
一年前、突如引っ越してきてから、勝手に様々な街のルールを作り始めた、勝手な奴らで、町民全員から嫌われている。
「そこで、令嬢のセレノー様に、挨拶をしたんだけど……。どうやら、僕の態度が気に食わなかったみたいでね。この有様だ」
「……意味がわからないわ。挨拶をしただけでしょう?」
「多分、ムカついていたんだと思うよ。最近、色々上手くいってないみたいだし」
「それで……。ここまで酷い目に、遭わされないといけないの?」
「ははっ……。運が悪かったね」
「そんな話で済ませてはダメよ!」
キリアは優しすぎる!
こんなの……。許されるわけがない。
私の怒りを、まるで宥めるかのように、キリアは穏やかな表情を浮かべていた。
「でも、この傷が、姉さんの回復魔法の練習の材料に、なってくれればいいかなぁって……」
「キリア。よく考えなさい。あなた、顔面に傷を負わされているのよ? もしかしたら、完全には治らないかもしれない。跡が残ってしまうかもしれない。それに……。当たりどころが悪ければ、あなたは死んでいたかもしれないの。仕方ないで済ませていいはずがないでしょう?」
「……もちろん、それだけだったら、僕もさすがに、何かしら行動を起こしたかもしれない」
「え……?」
「もう一つ、複雑な事情が、絡んでしまって……」
キリアが、服のポケットから、ボロボロの紙を、一枚取り出した。
「……なによ、これ」
その内容に、私は愕然とする。
『キリア・モルバレスは、セレノー・ブラッザに怪我を負わせたので、ここに罰金を命ずる』
「どうして……? 怪我をさせられたのは、キリアの方じゃない」
「彼女を守っていた、大柄の男数人に、まず僕は殴られた。そこへ……。セレノー様がやってきて、僕の顔を切りつけたんだ」
「なんでよ。全然意味がわからないわ」
「……これも同じ理由さ。ムシャクシャしてて、たまたまそこに、ナイフがあった。それだけの話だよ」
どうしてそんなに、穏やかに語ることができるの……?
「その時、バランスを崩したらしくてね。セレノー様は、足をくじいてしまったらしい」
「そんなの、自分の責任じゃ……」
「……この街では、ブレッザ家の言うことは絶対だから」
「……ありえないわ。こんなこと。私が今すぐ抗議に――」
「それだけはやめてくれ」
キリアに、腕を強く掴まれた。
一度だって、喧嘩したことない私たち。
いきなり、キリアの男としての強い部分を見せつけられて、私は怯んだ。
「は、離して」
「じゃあ、座ってくれ」
「わかったから……。痛いのよ」
「ごめん……」
私は自分の腕を撫でながら、キリアに問う。
「本当に、このまま泣き寝入りするつもりなの?」
「その方が、全部丸く収まるからね」
「払えないわよ。罰金なんて」
「だから、病院は辞めようって言ったんだ」
「おかしい……。こんなこと……。あっていいの?」
キリアは、何も答えてくれなかった。
その代わりに、ゆっくりと席を立ちあがった。
「キリア……。ねぇ、キリアってば」
「ブレッザ家は、大ごとにするつもりは無いと思うよ。だから……。借金の取り立ても、しないだろうさ。ゆっくり返していけばいい」
それだけ言って、部屋に戻ってしまった。
……そんな簡単に、引き下がってたまるか。
なんとかして、やり返してやりたいけど……。
全く、打つ手が無い。
今日は、親友に会いに行く日だ。
ちょっと、相談してみようかな……。
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