6 / 10
兵士爆弾
しおりを挟む
セントブルグは、とても小さな国だった。
けど、どことなく嫌な空気を感じる。民の顔が死んでいるし、きっと貧しいんだと思う。
……目的を達成したら、さっさと帰ろう。
「ミストレスちゃん。全然兵士が見当たらないよ?」
「奴らは、変な兵器を使ってた。だから少人数でも、森は焼かれたんだと思う」
ミストレスちゃんの表情からは、強い憎しみが感じられた。まだ小さいこの子に、こんな顔をさせる兵士たちは……。さっさと殺さないとね。
「段を上ると水の空~」
歌いながら歩いていると、何やら怪しげな雰囲気の建物があった。どうやら兵器が格納してありそうだ。
見張りの兵士に声をかけた。
「ここ、入ってもいいかなぁ~」
「……何者だ?貴様ら」
「ららら~。私は歌うたいです。こっちはただの可愛い女の子」
「そのように血まみれの服を着て……。歌うたいとは聞き入れ難いな」
「血まみれ?あぁほんとだ」
私は魔法で、服を綺麗にした。ここに入る前にやっておかないといけなかったなぁ。
「白魔法か……。よかろう。入りたまえ」
あれ。意外と友好的……。多分、白魔法使いって、聖女やシスターが多いから、紛争地帯を救って歩く歌うたいだと勘違いしてもらえたのかも。ラッキー!
建物の中には、兵器がたくさんあった。ドラゴンほどの大きさのモノや、人型をしたモノまで……。小さい国にしては、結構整っている。
「すごいねぇ……」
「そうだろう。我が国は、着々と力をつけている。こないだも、モンスターが蔓延る森を、そのディザステンで焼き払ったのだ」
「ディザステン……」
大きな兵器だ。これがいきなり、平和な森に攻め入ってきたら、どんなに怖いだろう。
「ミストレスちゃん」
「……」
人を殺すような目で、ミストレスちゃんは兵器を見上げている。
……可愛い子に、こんな目をさせちゃあダメだよね。
私はディザステンの内部構造をじーっと見つめた。なんだ、意外と脆い。内部で何かを爆発させれば、すぐだ。
「兵士さん。一つ訊いてもいい?」
「あぁ」
「国のために命を落とすことについて、どう思う?」
「もちろん厭わない。そのために生きている」
「じゃあ、もし自分が死ぬことで、誰かの命を救うことができるとしたら、どうする?」
「受け入れるだろう」
「……ららら。午前三時の木の上で~」
「……どうした?っ、あっ?」
いきなり体が宙に浮いた兵士が、ばたばたと暴れ始めた。
まぁ、どう答えたところで、殺していたけどね。
私は彼を、ディザステンの内部に転移させた。そして。
「ミストレスちゃん。耳を塞いで?」
ミストレスちゃんが、耳を塞いだことを確認してから……。兵士を思いっきり破裂させた。
すると、ディザステンに、ミシミシとヒビが入り始め……。
大きな爆発音とともに、粉々に砕け散った。
建物の壁は全て吹き飛び、私たちを守るバリアにも、少しだけヒビが入っている。かなりの爆風だったみたいだ。やりすぎちゃった……。
「るーるる~。もう大丈夫だよ。ミストレスちゃん」
「……ありがとう」
「うん」
騒ぎを聞きつけた兵士たちが、何人かやってきたので、問答無用で心臓を止めた。彼らと話すことなんて何もない。
「じゃあ……。次は、あの人の家族だね」
ミストレスちゃんが、さっきよりも穏やかな表情で頷いてくれた。
けど、どことなく嫌な空気を感じる。民の顔が死んでいるし、きっと貧しいんだと思う。
……目的を達成したら、さっさと帰ろう。
「ミストレスちゃん。全然兵士が見当たらないよ?」
「奴らは、変な兵器を使ってた。だから少人数でも、森は焼かれたんだと思う」
ミストレスちゃんの表情からは、強い憎しみが感じられた。まだ小さいこの子に、こんな顔をさせる兵士たちは……。さっさと殺さないとね。
「段を上ると水の空~」
歌いながら歩いていると、何やら怪しげな雰囲気の建物があった。どうやら兵器が格納してありそうだ。
見張りの兵士に声をかけた。
「ここ、入ってもいいかなぁ~」
「……何者だ?貴様ら」
「ららら~。私は歌うたいです。こっちはただの可愛い女の子」
「そのように血まみれの服を着て……。歌うたいとは聞き入れ難いな」
「血まみれ?あぁほんとだ」
私は魔法で、服を綺麗にした。ここに入る前にやっておかないといけなかったなぁ。
「白魔法か……。よかろう。入りたまえ」
あれ。意外と友好的……。多分、白魔法使いって、聖女やシスターが多いから、紛争地帯を救って歩く歌うたいだと勘違いしてもらえたのかも。ラッキー!
建物の中には、兵器がたくさんあった。ドラゴンほどの大きさのモノや、人型をしたモノまで……。小さい国にしては、結構整っている。
「すごいねぇ……」
「そうだろう。我が国は、着々と力をつけている。こないだも、モンスターが蔓延る森を、そのディザステンで焼き払ったのだ」
「ディザステン……」
大きな兵器だ。これがいきなり、平和な森に攻め入ってきたら、どんなに怖いだろう。
「ミストレスちゃん」
「……」
人を殺すような目で、ミストレスちゃんは兵器を見上げている。
……可愛い子に、こんな目をさせちゃあダメだよね。
私はディザステンの内部構造をじーっと見つめた。なんだ、意外と脆い。内部で何かを爆発させれば、すぐだ。
「兵士さん。一つ訊いてもいい?」
「あぁ」
「国のために命を落とすことについて、どう思う?」
「もちろん厭わない。そのために生きている」
「じゃあ、もし自分が死ぬことで、誰かの命を救うことができるとしたら、どうする?」
「受け入れるだろう」
「……ららら。午前三時の木の上で~」
「……どうした?っ、あっ?」
いきなり体が宙に浮いた兵士が、ばたばたと暴れ始めた。
まぁ、どう答えたところで、殺していたけどね。
私は彼を、ディザステンの内部に転移させた。そして。
「ミストレスちゃん。耳を塞いで?」
ミストレスちゃんが、耳を塞いだことを確認してから……。兵士を思いっきり破裂させた。
すると、ディザステンに、ミシミシとヒビが入り始め……。
大きな爆発音とともに、粉々に砕け散った。
建物の壁は全て吹き飛び、私たちを守るバリアにも、少しだけヒビが入っている。かなりの爆風だったみたいだ。やりすぎちゃった……。
「るーるる~。もう大丈夫だよ。ミストレスちゃん」
「……ありがとう」
「うん」
騒ぎを聞きつけた兵士たちが、何人かやってきたので、問答無用で心臓を止めた。彼らと話すことなんて何もない。
「じゃあ……。次は、あの人の家族だね」
ミストレスちゃんが、さっきよりも穏やかな表情で頷いてくれた。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
あの日々に戻りたくない!自称聖女の義妹に夫と娘を奪われた妃は、死に戻り聖女の力で復讐を果たす
青の雀
恋愛
公爵令嬢スカーレット・ロッテンマイヤーには、前世の記憶がある。
幼いときに政略で結ばれたジェミニ王国の第1王子ロベルトと20歳の時に結婚した。
スカーレットには、7歳年下の義妹リリアーヌがいるが、なぜかリリアーヌは、ロッテンマイヤー家に来た時から聖女様を名乗っている。
ロッテンマイヤーは、代々異能を輩出している家柄で、元は王族
物語は、前世、夫に殺されたところから始まる。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
【完結】婚約破棄中に思い出した三人~恐らく私のお父様が最強~
かのん
恋愛
どこにでもある婚約破棄。
だが、その中心にいる王子、その婚約者、そして男爵令嬢の三人は婚約破棄の瞬間に雷に打たれたかのように思い出す。
だめだ。
このまま婚約破棄したらこの国が亡びる。
これは、婚約破棄直後に、白昼夢によって未来を見てしまった三人の婚約破棄騒動物語。
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる