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親殺し
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「おい親殺しぃ!なにしに帰って来たぁ!」
「奴隷になったんじゃないのかぁ!?」
「帰れ!この穢れがぁ!」
酷い罵声を浴びせられながら、私は大広場に向かっている。この国の城下町は、何か催し事がある時に、必ず大広場を使用するからだ。
「それにしたって、うるさいよね~」
私は、石やガラス瓶を投げてくる民の中から、適当に家族を探し始めた。
いたいた。子供を抱いた父親が……。これでいいや。
急に歩みを止めた私に、群衆共がざわつき始めた。
「あなたたちを見てるんだよ?」
父親の次に、子供。それぞれ目を向けた。憎しみに満ちた目をしている。まるで悪魔でもやって来たかのような扱い。私、令嬢なのに。
「……私の両親はね。こうやって死んだの」
私は父親に、黒魔法をかけた。数秒で呼吸が止まり、死ぬ魔法だ。
異変に気が付いた父親が、自分の首を抑えた。抱いていたはずの子供が地面に落下する。
「がっっ……はっ……」
父親は、泡を吹いて死んでしまった。
「……るんるんる~ん。そうです私は親殺し~」
「パパぁ~!!!」
娘の泣き叫ぶ声が聞こえる。そうだよね悲しいよね。親が死んで悲しまない子供はいないの……。まして、自分で殺めようなんて。
「う、うわああ!!!!」
恐怖に駆られたのだろうか、勇敢な若者が、私に斧を持って切りかかってきた。
その斧を軽く取り上げ、若者の脳天に突き刺して返してあげた。
頭が真っ二つになった若者を見て、さすがに群衆たちは、一斉に逃げ出した。大声をあげながら……。
残ったのは、私とミストレスちゃん。それから二つの死体と、茫然としている娘のみ。
私は娘の元へ歩み寄り、頭を撫でた。
……ミストレスちゃんと違う。人間臭い匂いがした。おそらく三日程度、風呂には入れてない。貧乏の子供だ。
「ごめんね。お金がないのに、親まで奪って。あなたもここで殺してあげようか?」
ミストレスちゃんに、服の裾を引っ張られた。振り返ると、首を横に振っている。
「わかってるよ……。冗談じゃん」
「本気の目をしてた」
「もう……。怖いねぇお嬢ちゃん」
「……許せない」
「え?」
気が付くと、さっきまで光を失っていたはずの目に、怒りが灯っていた。
「パパを返してよ!」
「あなた、随分勇敢なんだね」
「……エイル様は、両親が倒れた時、泣いてなかったって聞いた」
……誰が流したんだろう。そんな嘘。吐きそうなくらい泣いてたよ。
「不屈の力を選びし男は言いました~。館に鍵は無いと~」
「……何で歌ってるの?」
「そうしてないと、気が狂うからね」
「気持ち悪い……」
「私はこれから、この国を破壊する……。無事で生きていられたら、また会おうね。バイバイ!」
私は娘を蹴飛ばして、誰もいない大広場の舞台に立った。
「私はエイル・プラロッサ!エスメリア・セバーリの元婚約者です!今からこの国を破壊します!目につく命は全て奪います!嫌だったら逃げてください!必死で逃げてください!容赦はしません!最も残酷な殺し方を選択します!以上!」
舞台の上にあった、声を遠くまで届ける機械を使ったから、聞こえなかった人はいないと思う。
「あっ。しまった。抵抗力の無い人は殺さないよ~って、言うべきだったね?」
またミストレスちゃんに怒られてしまう。そう思って様子を伺ったら、何か考え事をしているようだった。
「どうしたの?ミストレスちゃん」
「昔、本で読んだ魔王の残酷な支配よりも、上を行ってる」
「……そうなの?」
「人の心ほど、怖いものは無い。これもパパが言ってた」
「なるほどね~」
興味が無い。けど、大好きなミストレスちゃんが教えてくれたことだし、記憶にとどめておこう。
「奴隷になったんじゃないのかぁ!?」
「帰れ!この穢れがぁ!」
酷い罵声を浴びせられながら、私は大広場に向かっている。この国の城下町は、何か催し事がある時に、必ず大広場を使用するからだ。
「それにしたって、うるさいよね~」
私は、石やガラス瓶を投げてくる民の中から、適当に家族を探し始めた。
いたいた。子供を抱いた父親が……。これでいいや。
急に歩みを止めた私に、群衆共がざわつき始めた。
「あなたたちを見てるんだよ?」
父親の次に、子供。それぞれ目を向けた。憎しみに満ちた目をしている。まるで悪魔でもやって来たかのような扱い。私、令嬢なのに。
「……私の両親はね。こうやって死んだの」
私は父親に、黒魔法をかけた。数秒で呼吸が止まり、死ぬ魔法だ。
異変に気が付いた父親が、自分の首を抑えた。抱いていたはずの子供が地面に落下する。
「がっっ……はっ……」
父親は、泡を吹いて死んでしまった。
「……るんるんる~ん。そうです私は親殺し~」
「パパぁ~!!!」
娘の泣き叫ぶ声が聞こえる。そうだよね悲しいよね。親が死んで悲しまない子供はいないの……。まして、自分で殺めようなんて。
「う、うわああ!!!!」
恐怖に駆られたのだろうか、勇敢な若者が、私に斧を持って切りかかってきた。
その斧を軽く取り上げ、若者の脳天に突き刺して返してあげた。
頭が真っ二つになった若者を見て、さすがに群衆たちは、一斉に逃げ出した。大声をあげながら……。
残ったのは、私とミストレスちゃん。それから二つの死体と、茫然としている娘のみ。
私は娘の元へ歩み寄り、頭を撫でた。
……ミストレスちゃんと違う。人間臭い匂いがした。おそらく三日程度、風呂には入れてない。貧乏の子供だ。
「ごめんね。お金がないのに、親まで奪って。あなたもここで殺してあげようか?」
ミストレスちゃんに、服の裾を引っ張られた。振り返ると、首を横に振っている。
「わかってるよ……。冗談じゃん」
「本気の目をしてた」
「もう……。怖いねぇお嬢ちゃん」
「……許せない」
「え?」
気が付くと、さっきまで光を失っていたはずの目に、怒りが灯っていた。
「パパを返してよ!」
「あなた、随分勇敢なんだね」
「……エイル様は、両親が倒れた時、泣いてなかったって聞いた」
……誰が流したんだろう。そんな嘘。吐きそうなくらい泣いてたよ。
「不屈の力を選びし男は言いました~。館に鍵は無いと~」
「……何で歌ってるの?」
「そうしてないと、気が狂うからね」
「気持ち悪い……」
「私はこれから、この国を破壊する……。無事で生きていられたら、また会おうね。バイバイ!」
私は娘を蹴飛ばして、誰もいない大広場の舞台に立った。
「私はエイル・プラロッサ!エスメリア・セバーリの元婚約者です!今からこの国を破壊します!目につく命は全て奪います!嫌だったら逃げてください!必死で逃げてください!容赦はしません!最も残酷な殺し方を選択します!以上!」
舞台の上にあった、声を遠くまで届ける機械を使ったから、聞こえなかった人はいないと思う。
「あっ。しまった。抵抗力の無い人は殺さないよ~って、言うべきだったね?」
またミストレスちゃんに怒られてしまう。そう思って様子を伺ったら、何か考え事をしているようだった。
「どうしたの?ミストレスちゃん」
「昔、本で読んだ魔王の残酷な支配よりも、上を行ってる」
「……そうなの?」
「人の心ほど、怖いものは無い。これもパパが言ってた」
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興味が無い。けど、大好きなミストレスちゃんが教えてくれたことだし、記憶にとどめておこう。
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