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助太刀
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「ありがとうサンダルシア様!おかげで子が元気になりました!」
「ありがとう聖女様!」
「いえいえ。当然のことをしたまでです」
家の階段で足を踏み外し、大けがを負った子供を、少し撫でただけで回復させてしまった。聖女の力は……。我ながら恐ろしい。
「サンダルシア様。今日はどちらに?」
「えぇ。国の外に、結界を張りに向かおうかと」
「結界ですか?」
「はい。それがあれば……。他国の侵略を、防ぐことができますから」
書庫にあった本に、そう書いてあった。魔法とは違う、不思議な力により作ることができるらしい。
ダントレイは、これから豊かになっていく国だ。今、攻め込まれることは考えたくない。
リルと一緒に、国の外へ出た。さて、結界を……。
「……サンダルシア様」
「はい?」
祈りを捧げようとしたところ、リルが話しかけてきた。
「どうされました?」
「見えますか。兵士です」
「えっ……」
そんな。言ったそばから。
「結界を張るためには、どのくらい時間がかかりますか?」
「そうですね。一分もあれば……」
「そのくらいなら、僕に任せてください。これでも剣には自信があります」
「そんなっ。あれだけの数を?」
十……。いや、二十はいる。おそらく、私が聖女になったことに気が付いて、連れ戻しにきたのだろう。
「たまには、夫らしいことをさせてください」
不安だけど……。私はリルを信じることにした。
国に向けて、祈りを捧げる。兵士たちの足音が耳障りだ。剣同士がぶつかり合う音がする。
「サンダルシア!国へ帰れ!命までは取らん!」
「勝手なことを言うな!サンダルシア様は、僕の妻だ!」
「ふんっ!この結婚は、元々エルモバルアから持ち掛けたもの……。破棄もこちらが自由に行える!」
「そんな身勝手が許されるか!」
内容まではわからないが、言い争っていることがわかった。あと少し……。リル。頑張って!
「さ、サンダルシア様!」
ようやく祈りを唱え終わり、結界を張ることに成功した私は、リルの様子を見ようと振り返った。
――目の前にいたのは、リルではなく、兵士だった。
剣を構え、こちらを睨んでいる。
「殺しはせんが……。動かぬようになるまで、斬りつけてやる!」
「いやああああ!!!!」
「サンダルシア様ぁ!!!」
リルの叫びが、遠く聞こえた。あれだけの数を相手にして、一分持ちこたえただけでも、すごいことだ。
きっと、私は祖国ではりつけにされる。偽物の聖女だと言われ、民に石を投げられる。
だけど、結界は張ることができた。これが民を……。リルを守ってくれる。
「覚悟おおお!!」
兵士が、剣を振り降ろした。
しかし、その剣が、いきなり吹き飛んだ。
――いや、剣だけじゃない。兵士の腕ごと、吹き飛んだのだ。
「えっ……」
兵士は、状況を理解する前に、その場に倒れこんだ。
「間に合ってよかった……」
「……あなたは、リーマス?」
リルが言うと、リーマスと呼ばれた青年は頷いた。
「説明は後だ。リル、あとは任せろ!サンダルシア様を結界の中に!」
「は、はい!」
リルがこちらに駆け寄ってきて、私を結界の中まで運んでくれた。
リルの胸に顔を埋める。涙が止まらなかった。
「リルぅ……。よかったぁ。生きてて……」
「それはこっちのセリフです。……リーマスがいなければ、どうなっていたことか」
「あの方は?」
「サンティーカの王子です」
「さ、サンティーカの?」
「事情はわかりません。僕も加勢してくるので、サンダルシア様は、絶対にこの結界から出ないでくださいね!」
「う、うん!」
リルは微笑んだ後、表情を引き締め、リーマス様の元へ向かった。
「ありがとう聖女様!」
「いえいえ。当然のことをしたまでです」
家の階段で足を踏み外し、大けがを負った子供を、少し撫でただけで回復させてしまった。聖女の力は……。我ながら恐ろしい。
「サンダルシア様。今日はどちらに?」
「えぇ。国の外に、結界を張りに向かおうかと」
「結界ですか?」
「はい。それがあれば……。他国の侵略を、防ぐことができますから」
書庫にあった本に、そう書いてあった。魔法とは違う、不思議な力により作ることができるらしい。
ダントレイは、これから豊かになっていく国だ。今、攻め込まれることは考えたくない。
リルと一緒に、国の外へ出た。さて、結界を……。
「……サンダルシア様」
「はい?」
祈りを捧げようとしたところ、リルが話しかけてきた。
「どうされました?」
「見えますか。兵士です」
「えっ……」
そんな。言ったそばから。
「結界を張るためには、どのくらい時間がかかりますか?」
「そうですね。一分もあれば……」
「そのくらいなら、僕に任せてください。これでも剣には自信があります」
「そんなっ。あれだけの数を?」
十……。いや、二十はいる。おそらく、私が聖女になったことに気が付いて、連れ戻しにきたのだろう。
「たまには、夫らしいことをさせてください」
不安だけど……。私はリルを信じることにした。
国に向けて、祈りを捧げる。兵士たちの足音が耳障りだ。剣同士がぶつかり合う音がする。
「サンダルシア!国へ帰れ!命までは取らん!」
「勝手なことを言うな!サンダルシア様は、僕の妻だ!」
「ふんっ!この結婚は、元々エルモバルアから持ち掛けたもの……。破棄もこちらが自由に行える!」
「そんな身勝手が許されるか!」
内容まではわからないが、言い争っていることがわかった。あと少し……。リル。頑張って!
「さ、サンダルシア様!」
ようやく祈りを唱え終わり、結界を張ることに成功した私は、リルの様子を見ようと振り返った。
――目の前にいたのは、リルではなく、兵士だった。
剣を構え、こちらを睨んでいる。
「殺しはせんが……。動かぬようになるまで、斬りつけてやる!」
「いやああああ!!!!」
「サンダルシア様ぁ!!!」
リルの叫びが、遠く聞こえた。あれだけの数を相手にして、一分持ちこたえただけでも、すごいことだ。
きっと、私は祖国ではりつけにされる。偽物の聖女だと言われ、民に石を投げられる。
だけど、結界は張ることができた。これが民を……。リルを守ってくれる。
「覚悟おおお!!」
兵士が、剣を振り降ろした。
しかし、その剣が、いきなり吹き飛んだ。
――いや、剣だけじゃない。兵士の腕ごと、吹き飛んだのだ。
「えっ……」
兵士は、状況を理解する前に、その場に倒れこんだ。
「間に合ってよかった……」
「……あなたは、リーマス?」
リルが言うと、リーマスと呼ばれた青年は頷いた。
「説明は後だ。リル、あとは任せろ!サンダルシア様を結界の中に!」
「は、はい!」
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「リルぅ……。よかったぁ。生きてて……」
「それはこっちのセリフです。……リーマスがいなければ、どうなっていたことか」
「あの方は?」
「サンティーカの王子です」
「さ、サンティーカの?」
「事情はわかりません。僕も加勢してくるので、サンダルシア様は、絶対にこの結界から出ないでくださいね!」
「う、うん!」
リルは微笑んだ後、表情を引き締め、リーマス様の元へ向かった。
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