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その後 1
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「……お姉ちゃん」
「どうしたの? バリオ」
「お腹空いた……」
「ごめんね? 今から、食べられるもの、探しに行くから。今は……。我慢して?」
「うぅうう……」
泣き出してしまった、バリオの頭を撫でながら。
私も、空腹で、吐きそうだった。
何も胃に入れていないせいで、胃酸が暇をしているのかな……。
吐いたところで、その胃酸しか、出てこないと思う。
「じゃあ、私、行ってくるから……」
死にかけのバリオを置いて、今日も私は、食料を手に入れるため、彷徨う。
フラフラと歩いていると、牧場が見えた。
優しそうなおじさんに、声をかける。
「何回も言ってるだろ? お前は大罪を犯した。食事を与えたら、俺まで罰せられちまう」
「お願いします。何でもいいんです。何でも……」
「……出て行ってくれ」
一か月前は、それでも、腐った牛乳を、分けてくれたのに……。
今は、それすらもらえなくなった。
「……シズリー?」
「……えっ」
牧場の肥溜めで……。
スイーナが、蹲っている。
彼女もまた、大罪を犯した者として、生き地獄を味わっている内の一人だ。
「これ、美味しいのよ?」
スイーナが握っているのは……。
牛の糞だった。
私は、何も見なかったことにして、その場から逃げ出した。
ハムリンは、今頃何をしているだろう。
彼女は賢いから、すぐに国から逃げ出した。
だけど……。
私やスイーナは、そういうわけにもいかない。
特に、スイーナの一家は、スイーナを残して、みんな裁かれてしまった。
王族や兵がいなくなった後、この国は、民によって、平和的な統治がなされている。
その平和の陰には……。
私たちみたいな、大罪を犯した者がいて。
生きるか死ぬか……。ギリギリの生活を強いられている。
「さぁ~! 世にも奇妙な、放屁人間だぁ!」
「ぺ、ぺぺぺぺ」
放屁人間……?
妙な商売があるんだなぁ……。
そっちに注目が集まってる間に、私は商店に忍び込み。
なんとか、パンを三つほど、手に入れることができた。
大慌てで、バリオの元へ戻る。
待っててね……。バリオ。
久々の食事だよ……。
「バリオ! ただいま!」
私は、土管の中にいる、バリオに声をかけた。
返事が無い。
「バリオ……? 寝てるの?」
バリオを揺さぶった。
起きない。
「バリオ? パンだよ? ほら。焼きたてで……」
パンをちぎり、バリオの口元に当てた。
反応が無い。
手に、息がかからない。
「いやぁ……。バリオオオオ!!!!!!」
あの時……。
ユーラに、最初から、謝っておけば。
私は後悔しながら、泣き叫んだ。
「どうしたの? バリオ」
「お腹空いた……」
「ごめんね? 今から、食べられるもの、探しに行くから。今は……。我慢して?」
「うぅうう……」
泣き出してしまった、バリオの頭を撫でながら。
私も、空腹で、吐きそうだった。
何も胃に入れていないせいで、胃酸が暇をしているのかな……。
吐いたところで、その胃酸しか、出てこないと思う。
「じゃあ、私、行ってくるから……」
死にかけのバリオを置いて、今日も私は、食料を手に入れるため、彷徨う。
フラフラと歩いていると、牧場が見えた。
優しそうなおじさんに、声をかける。
「何回も言ってるだろ? お前は大罪を犯した。食事を与えたら、俺まで罰せられちまう」
「お願いします。何でもいいんです。何でも……」
「……出て行ってくれ」
一か月前は、それでも、腐った牛乳を、分けてくれたのに……。
今は、それすらもらえなくなった。
「……シズリー?」
「……えっ」
牧場の肥溜めで……。
スイーナが、蹲っている。
彼女もまた、大罪を犯した者として、生き地獄を味わっている内の一人だ。
「これ、美味しいのよ?」
スイーナが握っているのは……。
牛の糞だった。
私は、何も見なかったことにして、その場から逃げ出した。
ハムリンは、今頃何をしているだろう。
彼女は賢いから、すぐに国から逃げ出した。
だけど……。
私やスイーナは、そういうわけにもいかない。
特に、スイーナの一家は、スイーナを残して、みんな裁かれてしまった。
王族や兵がいなくなった後、この国は、民によって、平和的な統治がなされている。
その平和の陰には……。
私たちみたいな、大罪を犯した者がいて。
生きるか死ぬか……。ギリギリの生活を強いられている。
「さぁ~! 世にも奇妙な、放屁人間だぁ!」
「ぺ、ぺぺぺぺ」
放屁人間……?
妙な商売があるんだなぁ……。
そっちに注目が集まってる間に、私は商店に忍び込み。
なんとか、パンを三つほど、手に入れることができた。
大慌てで、バリオの元へ戻る。
待っててね……。バリオ。
久々の食事だよ……。
「バリオ! ただいま!」
私は、土管の中にいる、バリオに声をかけた。
返事が無い。
「バリオ……? 寝てるの?」
バリオを揺さぶった。
起きない。
「バリオ? パンだよ? ほら。焼きたてで……」
パンをちぎり、バリオの口元に当てた。
反応が無い。
手に、息がかからない。
「いやぁ……。バリオオオオ!!!!!!」
あの時……。
ユーラに、最初から、謝っておけば。
私は後悔しながら、泣き叫んだ。
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