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9話 オーシャンエッジ
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セリア、ユーキ、そして海輝は緊張しながらもお互いに挨拶を交わし、おそろいのアロハシャツを着てマリアが運転する後部座席に並んで座っていた。
初対面の挨拶、というより人との接触が苦手だった海輝はマリアの後ろに隠れながらも必死に自己紹介したつもりだったが、今思えばもっとしっかり挨拶すればよかったと後悔していた。
海輝はセリアとユーキの間に座って、ちらりと横を見るとセリアは無言のまま窓の外を眺め、ユーキは初めて見る光景に興奮して楽しげな様子だった。
「あ、あの…」
海輝はボソリとセリアに向かって話しかけた。しかし、セリアは窓を少し開け、海輝の声など聞こえなかったように外を見続けていた。
「あ、あの、セリアさん」
海輝は勇気を出してもう一度声を掛けた。セリアは名前を呼ばれてようやく気づいたのか、海輝の方に目線を向ける。
「何?」
「あ、あの、さっきはちゃんと挨拶できなくて、ごめんなさい」
「挨拶?ああ、さっきの?全然気にしてないから大丈夫」
「あ、ありがとう。僕、人と話すのが少し苦手で、あまり上手く話せなくて…」
海輝はセリアに目線を合わせず、うつむきながら話した。
「ユウキも全然気にしてないよ~」
右側に座っていたユウキは向日葵のような笑顔を海輝に向けた。
「あ、ありがとう、ユウキちゃん」
「えへへ」
ユウキは少し照れたようにおでこを掻いた。
「少しずつね、海輝君。あなたたちは同じ運命を辿った仲間よ。お互い助け合っていきましょう」
マリアは車を運転しながらルームミラー越しに後ろの三人に話しかけた。
「さあ、この角を曲がるとこのエリア3で一番景色のいいところよ!」
マリアはアクセルをふかし、スピードを上げながら海岸線のカーブをドリフトで駆け抜ける。
「おいおい、マリア、運転はもう少しお手柔らかに頼むぞ」
助手席に乗ったエドガーは、想像以上の横Gで被っていた帽子が落ちそうになったのを必死に被り直す。
「うわー!マリアさんすごい!」
ユーキはまん丸の目をさらに丸くして、マリアの運転捌きを見ていた。
海輝はドキドキしすぎて言葉を失っていた。
メインストリートに入った瞬間、別の意味で言葉を失った。整然と整備された街並み、内陸の方には居住用のビル群。
そのさらに奥には居住用のビルよりも更に高い塔がそびえ立っていた。
各所に水路が通っていてそこには小型の船や個人用の水上バイクが行き交い、海岸線には植樹されたヤシの木が先の方まで並び、南の島のような雰囲気を醸し出していた。
「ここが…オーシャンエッジ?」
海輝はとても海の上にあるとは思えない光景に息を飲んだ。
「ええ、そうよ。オーシャンエッジは三人とも初めて?」
三人はこくりと頷いた。
「綺麗な景色でしょ?この海岸線は私のお気に入りの場所なの。ここはエリア3。あなたたちの国を含めた数カ国の貨物を担当してるエリアよ」
「エリア3ってことは他のエリアもあるんですか?」
セリアは素朴な疑問をマリアにぶつけた。
「ええ、あるわ。オーシャンエッジのエリアは全部で12エリア。各エリアで加盟各国の海運をサポートしているの」
「へぇー。ここみたいなところが12もあるんだね。行ってみたいなあ」
ユウキはマリアの話を興味津々に聞いていた。
「そうね。今度時間があったらオーシャンエッジ一周をドライブしてみましょう。各エリアは特徴があってきっと楽しめるわよ。んー、今日は天気が良くていい風も吹いてるわね。上、開けていいかな?」
「どうぞ」
「屋根?開くの?開けて、開けて~」
ユウキはびっくりした顔でルーフを見つめた。
「オッケー、開けるわね。バディ、ルーフオープン!」
マリアはハンドルに内蔵されている車内AIに向かって話しかけると、ルーフがスルスルと開き後部に収納され、代わりに眩しい太陽が車内を照らす。
「おおー、すごい、マリアの車。カッコイイ!」
ユウキは初めてオープンカーに興奮が冷めやらぬ様子だった。
「ふふ、でしょ?」
車内に爽やかな潮風が吹き抜け、マリアの髪がたなびき手でかきあげる。マリアはさらにアクセルを踏み込み、スピードを上げた。
「お、おい。マリア、少しスピード上げすぎじゃないか?」
「そうですか?私はいつもこれくらいですよ」
「いつも?まったく、いつか警備隊に捕まるぞ」
エドガーは呆れ顔でマリアを見た。
「ハンドルを握ると性格が変わる人なんですね」
セリアが後ろでボソッと呟いた。
五人が乗ったオープンカーは海岸線を颯爽と駆け抜け、エリア3の中央病院へと向かった。
初対面の挨拶、というより人との接触が苦手だった海輝はマリアの後ろに隠れながらも必死に自己紹介したつもりだったが、今思えばもっとしっかり挨拶すればよかったと後悔していた。
海輝はセリアとユーキの間に座って、ちらりと横を見るとセリアは無言のまま窓の外を眺め、ユーキは初めて見る光景に興奮して楽しげな様子だった。
「あ、あの…」
海輝はボソリとセリアに向かって話しかけた。しかし、セリアは窓を少し開け、海輝の声など聞こえなかったように外を見続けていた。
「あ、あの、セリアさん」
海輝は勇気を出してもう一度声を掛けた。セリアは名前を呼ばれてようやく気づいたのか、海輝の方に目線を向ける。
「何?」
「あ、あの、さっきはちゃんと挨拶できなくて、ごめんなさい」
「挨拶?ああ、さっきの?全然気にしてないから大丈夫」
「あ、ありがとう。僕、人と話すのが少し苦手で、あまり上手く話せなくて…」
海輝はセリアに目線を合わせず、うつむきながら話した。
「ユウキも全然気にしてないよ~」
右側に座っていたユウキは向日葵のような笑顔を海輝に向けた。
「あ、ありがとう、ユウキちゃん」
「えへへ」
ユウキは少し照れたようにおでこを掻いた。
「少しずつね、海輝君。あなたたちは同じ運命を辿った仲間よ。お互い助け合っていきましょう」
マリアは車を運転しながらルームミラー越しに後ろの三人に話しかけた。
「さあ、この角を曲がるとこのエリア3で一番景色のいいところよ!」
マリアはアクセルをふかし、スピードを上げながら海岸線のカーブをドリフトで駆け抜ける。
「おいおい、マリア、運転はもう少しお手柔らかに頼むぞ」
助手席に乗ったエドガーは、想像以上の横Gで被っていた帽子が落ちそうになったのを必死に被り直す。
「うわー!マリアさんすごい!」
ユーキはまん丸の目をさらに丸くして、マリアの運転捌きを見ていた。
海輝はドキドキしすぎて言葉を失っていた。
メインストリートに入った瞬間、別の意味で言葉を失った。整然と整備された街並み、内陸の方には居住用のビル群。
そのさらに奥には居住用のビルよりも更に高い塔がそびえ立っていた。
各所に水路が通っていてそこには小型の船や個人用の水上バイクが行き交い、海岸線には植樹されたヤシの木が先の方まで並び、南の島のような雰囲気を醸し出していた。
「ここが…オーシャンエッジ?」
海輝はとても海の上にあるとは思えない光景に息を飲んだ。
「ええ、そうよ。オーシャンエッジは三人とも初めて?」
三人はこくりと頷いた。
「綺麗な景色でしょ?この海岸線は私のお気に入りの場所なの。ここはエリア3。あなたたちの国を含めた数カ国の貨物を担当してるエリアよ」
「エリア3ってことは他のエリアもあるんですか?」
セリアは素朴な疑問をマリアにぶつけた。
「ええ、あるわ。オーシャンエッジのエリアは全部で12エリア。各エリアで加盟各国の海運をサポートしているの」
「へぇー。ここみたいなところが12もあるんだね。行ってみたいなあ」
ユウキはマリアの話を興味津々に聞いていた。
「そうね。今度時間があったらオーシャンエッジ一周をドライブしてみましょう。各エリアは特徴があってきっと楽しめるわよ。んー、今日は天気が良くていい風も吹いてるわね。上、開けていいかな?」
「どうぞ」
「屋根?開くの?開けて、開けて~」
ユウキはびっくりした顔でルーフを見つめた。
「オッケー、開けるわね。バディ、ルーフオープン!」
マリアはハンドルに内蔵されている車内AIに向かって話しかけると、ルーフがスルスルと開き後部に収納され、代わりに眩しい太陽が車内を照らす。
「おおー、すごい、マリアの車。カッコイイ!」
ユウキは初めてオープンカーに興奮が冷めやらぬ様子だった。
「ふふ、でしょ?」
車内に爽やかな潮風が吹き抜け、マリアの髪がたなびき手でかきあげる。マリアはさらにアクセルを踏み込み、スピードを上げた。
「お、おい。マリア、少しスピード上げすぎじゃないか?」
「そうですか?私はいつもこれくらいですよ」
「いつも?まったく、いつか警備隊に捕まるぞ」
エドガーは呆れ顔でマリアを見た。
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セリアが後ろでボソッと呟いた。
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