オーシャンエッジプロジェクト プロミネンス 

sin art

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14話 報告

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 マーチャントは、今回の貨物船襲撃事件の報告をするためにパープルサークルの管理棟へ急いでいた。

 

 捕虜の兵士5人を警備隊が引き連れ、マーチャントを先頭に管理棟の会議室前に立つ。



「マーチャントです。ただいま到着致しました」
「入りたまえ」

 

 中から重い返事が返えってくると扉が開く。中には背広に身を包んだ人間が数名座っていた。


「失礼します」
 
 一礼してマーチャントは部屋へと入るが、胸中は緊張が走っていた。


「ご苦労だったな、マーチャント。早速だが報告を頼む」


 真ん中に座っている金髪で青い目の男がマーチャントに報告を促す。

「はっ!まずは今回の事件で貨物船を守ることができず、申し訳ございませんでした」

 マーチャントは前に並んでいる、特に青い目の男を向き深く謝罪の礼をした。

「全くだ。一体どれだけの金をお前達に注ぎ込んでいると思っているんだ?恥を知れ、恥を!」

 端の席からマーチャントに向かって怒声が浴びせかけられる。

「グレイCEO、先ずは報告を聞いてからにしましょう。マーチャント、先を続けてくれ」
「し、しかしだねぇ」


「はっ!それでは報告致します。」

 マーチャントはあえてグレイCEOを無視するように続けた。



「北緯12度53分53秒、東経128度00分00秒付近で、和国からオーシャンエッジに向かう貨物識別番号JPN-OE-100-23が正体不明の艦に襲われました。目撃情報では潜水艦らしき船で水中から出現したとのことです」


「潜水艦?」
 

 青い目の男は驚きと共に少し怪訝な顔をした。

「はっ!そうです。付近を航行していた第三エリア特務艦ザバステメスが炎上している貨物船を発見し、救助に向かった際浮上してきたとのことです。浮上した不審艦から数人の兵士が銃火器を持ち出現、海に逃げた貨物船の乗員に向けて乱射。
 ほとんどの乗員はその乱射と貨物船の沈没に巻き込まれ死亡。特務艦ザバステメスと敵艦は交戦になり、ザバステメスに搭載された光学レールガンで敵艦の一部を破壊、潜水艦と思われる敵艦は逃亡したとのことです。救助された乗員は子供3名。貨物船を乱射した兵士5名を捕虜として確保しここに連れてきています」

 
 マーチャントは横に座らせている兵士に目を向けた。

「3名…。救助された子供の容態は?」

「はっ!特務艦ザバステメスにより休養させた後、ブラックサークル第3エリア中央病院にて診察しましたが異常は無く、現在ザバステメスの元艦長のエドガー、副艦長のマリアに保護されています」

「元艦長?」


「はい。エドガーは今回の責任を取らせ解任させました。そして私も今回の件の真相を解明後、フリードキャプテンを辞退するつもりです」

「なるほど。了解した。君の進退はまたの機会に議論することにしよう。その前に事件の真相を究明する必要がある。潜水艦ほどの船影がなぜ我がオーシャンエッジの最新鋭のレーダーで把握できなかったのか。そもそもJPN-OE-100-23の護衛の遅れはなぜ発生した?」

「はっ!貨物船の追跡レーダーが何故か消失していました。ある程度の位置を割り出し特務艦に捜索させていましたが、さらに海中レーダーも同時に機能せず、特務艦ザバステメスが交戦するまでは一切把握できませんでした」

「レーダーがダウンしていた?他のレーダーもか?」

「いえ、エリア3のレーダーのみだったようです。その件についてはただいま早急に原因を究明中です」


「ただの整備不良だろうが!」


 グレイCEOは我慢の限界のように捲し立てた。

「この原因は全てお前達の責任だぞ!オーシャンエッジの信頼を失墜させ、加盟国に対してどう説明するつもりだ?」


 マーチャントはギラリとグレイCEOを睨みつけた。


「ですから、全ての真相を解明したあと私が責任を取りフリードキャプテンを辞退しますと先ほど言いましたが?」

 マーチャントはドスの効いた声で答える。



「お、お前みたいな無能なキャプテンはさっさと辞任しろ!代わりはいくらでもいるんだからな」

「まあまあ、そう熱くならずに。ここは真相究明をマーチャントに任せてみましょう。辞任の是非はそこからでも遅くありません」

 

 青い目の男は熱くなっているグレイ社のCEOをなだめる

「くっ!市長ライアン、あなたが甘いからこのような状況が発生してるのではないですか?」

 そう言うとグレイCEOはよほど悔しかったのか、トイレに行くと席を立ち部屋から出ていった。



「市長、よろしいのですか?」

「かまわんさ」

 マーチャントは出ていったグレイの後ろ姿を見て緊張が少しだけ緩み、連れてきた兵士たちの引き渡しを始めた。


「この兵士4人は潜水艦の一味と思われます。報告によれば艦上から海に投げ出されたJPN-OE-100-23の乗員に向けて無差別の発砲。特務艦ザバステメスの攻撃の衝撃により海に落下したところを確保しました。今回の事件の詳細を知る貴重な証人であることに間違いはないでしょう」

 マーチャントはギロリと後ろ手に縛られ正座させられている4人を見下ろす。


「ご苦労。この4人の身柄はこちらで預かることにする。もし、口を割らない時は協力願いたいのだがいいかね?」

「はっ!もちろんです。拷問は私の得意分野なので」


「ははっ。頼もしいな、マーチャント」

 その会話を横で聞いていた兵士は一言も発せず頭を垂れていた。


「拷問は冗談だが、この兵士達の裁判はすぐに行う。それまでできるだけの証拠をかき集めておけ」

「はっ!了解しました!」

「それでは時間ですのでこれにて会議は閉会になります。皆様お疲れ様でした」

 

 市長のそばにいる黒髪長髪で知的なのメガネをかけた女性が号令をかけると、黙って座っていた男女数名はぞろぞろと部屋を出ていく。

 兵士たちは屈強な刑務官に脇を抱えられ連れられていき、残ったのは市長とマーチャント、先程号令をかけた女性だけだった。




「ふう、みんなでていったかな?マーチャント、いやアルテミス。情報筋の話だと今回の件はグレイ社が一枚かんでいるようだ。長年の付き合いで信用はしていたが、たぬきはやはりたぬきだったようだな」

「はい。前キャプテン、マーチャントもオーシャンエッジ各地の拠点に潜伏し情報を収集している最中です」

「そうか。しかし、マーチャントの行動を隠すための変装、よく似合ってるぞ」


 市長はそう言うと笑いをこらえるの必死の様子であった。マーチャントに紛したアルテミスはその様子を見て額に一気に血が上り血管が浮き出る。


「…市長、いや、ライアン。下手に出てれば調子に乗りやがって!」

 

 マーチャントは今にも市長のライアンに食って掛かりそうな勢いで近づいていく。その市長の前に先ほどの眼鏡の女性が立ちはだかる。

「藤堂、大丈夫だ」
 
 ライアンは自分を守ろうとしてくれた女性の肩をポンと叩く。


「ごめん、ごめん。アルテミス。同級生のよしみで許してくれ。でも似合ってるってのは本当だ。それだけなりきってるよ」

「そういうライアンも昔から調子のいいとこは変わってないね」

 

 アルテミスは鼻で笑う。

「はは、お互いにな。それじゃアルテミス、調査のほうは頼んだ。こちらもグレイ社の動向を監視する」

「ラジャ」

 

 二人は拳を突きつけ、今回の事件をきっかけに何としてもグレイ社の尻尾を掴む覚悟をお互いに確認しあった。
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