29 / 72
1年目春
29 私と委員会
しおりを挟む高校に入学して2週間が経とうとしていた。
クラスにも颯太と里奈以外にも話をする人ができて、まあまあ馴染めたんじゃないかなって思う。
それは私だけじゃなくて、猫宮くんも同じ事で……
「頼む猫宮!今日1日だけ、今日だけでいいから助っ人来てくれ!」
「ごめんね、僕部活あるから。」
「すげー猫宮、毎日いろんなやつから勧誘されるじゃん!」
「猫宮と話したいやつはうちらにお菓子渡せー!」
最近猫宮くんの席の周りにはいつもいろんな人がいる。
クラスの派手な女の子の、中川さんと野村さん。あとは運動部の人たち。
たまに上級生の運動部の先輩がクラスに来て直接猫宮くんを勧誘する事がある。
「イケメンで運動が出来たら話題になるし、注目される!ぜひラグビー部に!」
「ごめん、僕そう言うスポーツは苦手なんだ。」
もともと王子様みたいな容姿で学校中の噂になっていたのに、運動まで出来るとなると、今まで女の子達しか騒いでなかったのに、男の子達も猫宮くんに注目してしまう。
いろんな人たちが猫宮くんに声をかけ続けるから、私は放課後の部活ぐらいでしかゆっくり話せない。
お昼休みに一緒にお弁当を食べていたのも、私たちが落ち着いて食べれなくなるからって1人どこかへ行くようになった。
「こはるん、ちょっと寂しいんじゃない?」
「ちょっとね。」
にやにやと里奈が私を見てくる。
そりゃちょっとは寂しい。
それに最近颯太と猫宮くんも仲良くなって、いつの間にか猫宮くんは颯太の事名前呼びになってた。
「なあ、猫宮バスケ部に……」
「颯太鬱陶しい。」
猫宮くんは仲良い人にはそういう態度とるんだって、颯太にちょっと嫉妬してしまう。
私と接する時はそんなんじゃないのに。
「あ、そういえばこはるん委員会どうする?」
「委員会?」
「今日の放課後ちょっと残って委員会決めちゃうって言ってたじゃん!」
「あー、忘れてた。」
朝のHRの時に言われた事をもう忘れていた。
クラスの人達の事も分かってきた頃だと思うから、そろそろクラスの委員長とかを決めるらしい。
「木村くんは委員長立候補するんでしょ?」
「そうだよ。生徒会長を目指してるから、とりあえずはクラスの委員長からかなって。」
「木村くんすごーい!」
「ね、木村くんならなれるよ!」
「ありがとう。」
物腰が柔らかい木村くんはクラスの中でも猫宮くんと同じぐらい人気がある。
頭も良くて親切で、誰に対しても分け隔てなく接してくれて。
頼りになるリーダーだと思う。多分クラスの委員長は木村くんで決定するんだろうな。
「紗倉さんや佐伯さんは何かやらないの?」
「あー私はそういうの無理!部活だけで精一杯!」
「うーん、私はせっかくだから図書委員とかやりたいかも。部活も毎日あるわけじゃないし。」
「こはるん中学の時もやってたね!」
本を読むのが昔から好きで、図書委員には中学でもやっていた。
放課後の人の少ない図書室って結構好きだった。
「あ、でも他に誰かやりたい人いたらその人に譲るよ!」
「図書委員なんて誰もやりたがらないから大丈夫だよ!」
数時間前まではこんな事を話していた。
「次は図書委員を決めます。図書委員の立候補はいますか?」
木村くんは無事にクラスの委員長になれて、場を仕切っている。
以外だったのは副委員長に猫宮くんと仲のいい野村さんが立候補した事。
私は立候補するために手を挙げる。
「え……?」
ばっと勢いよく手を挙げる音が聞こえたから、周りを見渡すと多くの女子が手を挙げていた。
その理由はすぐに分かった。
「えっと、男子は猫宮くんで決定して。女子は……うーん、じゃんけんかな?」
黒板の図書委員の下に、猫宮くんの名前が書かれる。
やりたい人がこんなにいるなんて。猫宮くん効果?
私は別に猫宮くんと一緒に合わせようなんて言ってないし、相談もしていない。
たまたまやりたい委員が被っただけ?
「こはるんやばいよ……!」
里奈が不安そうに後ろを振り返ってくる。
どうしよう…。やりたい人がいたら譲るって言ったけど…。
猫宮くんを見ると目が合った。
するとぱくぱくと口を動かして伝えてきた。
(がんばって。)
最初は誰かと被ったら譲ろうって思ってたけど、猫宮くんと少しでも一緒にいたいって思った。
最近あまり話せてないから、これが話す機会になればいいなって。
でも、頑張ってって言われても、こんな大勢の中から1人勝ち残るなんて出来るわけ……。
「じゃあ、人数多いからとりあえずウチとじゃんけんね!」
野村さんが合図を出す
「最初はぐー!じゃんけん――」
神様お願いっ!
神頼みで出したのはチョキ。
野村さんは、パー。
クラスの半分ぐらいの女子が手を下ろした。
なんとか1回目は勝てた。
猫宮くんを見ると嬉しそうに笑ってる。
こんなにもなにかを勝ち取りたいって思ったのは初めてだった。
次の野村さんとのじゃんけんにも勝てて、その次もなんとか勝てた。
回数を重ねる毎に次は負けるかもって不安で心臓がぎゅうってなる。
「じゃあ、あと3人でじゃんけんしてー!」
ついに3人だけになった。
私と、あまり話した事がない女子2人。
絶対勝ちたい。
「最初は、ぐー、じゃんけんぽん!」
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜
沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」
中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。
それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。
だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。
• 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。
• 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。
• 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。
• オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。
恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。
教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。
「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」
鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。
恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
降る雪は沈む蒼の心を優しく包む〜冴えない根暗な陰キャぼっちの成り上がりリア充化プロジェクト〜
朔月カイト
恋愛
三年前に起きたある事件により心に大きな傷を負って、家族と近しい者以外には心を閉ざしてしまい、周りから遠ざけられるようになってしまった緋本蒼介。
高校二年生になってもそれは変わらず、ひっそりと陰に潜む様にして生活していた蒼介だが、ネット上で知り合ったある人物とオフ会をする事になり、その出会いが、彼の暗い高校生活を一変させる転機となる。
果たして彼は、見事に成り上がって立派なリア充になる事が出来るのか──。
冴えない根暗な陰キャぼっちのサクセスストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる