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夢の先。
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「何でアンタさっきあんな事を言ったりしたのよ!!」
資料室に入るなり、リリは悟に不機嫌そうな顔をしながら声を上げた。
そんなリリへと悟は平然とした態度で、手にしていた資料を棚に置きながら答える。
「さっきのって……俺がお前を狙ってるってヤツか。安心しろって。俺はガキに手を出す
ほどロリコンじゃなっ……」
「アンタ殴られたいの?」
悟の言葉を遮るように、リリは悟をギロッと鋭い目で睨んだ。
悟は身体をびくぅとさせながら、慌ててリリへと言い訳をする。
「そっ……それに、ああ言っとけば周りから色々聞かれないですむだろう?」
「そりゃぁそうだけど……」
少しだけ不満そうな顔をしながら、悟の隣に並び、リリは棚の中に資料を置く。
確かに彼の言うとおり、ここ数日間学校で彼と一緒にいる時間が増え、同時にクラスメート達からは『二人は付き合っているのか?』
『二人はどう言う関係なの?』と、色々訊ねられ、もしくは噂になっていた。
その度にリリは誤魔化し、否定を繰り返していた。
確かに彼の言うとおりにすれば色々聞かれたりする煩わしさはなくなるだろう……。
それに護衛する、される側のリリにも何かと色々好都合だ。
「さて、そろそろ戻るとすっか」
そう言い、頭を掻きながらドアの方へと悟は歩き出した。
そしてドアの前に立つとドア口に手を掛け、
ドアを開けようとするが、ドアは全くもって開かない。
悟は眉を小さくひそめ、再び手に力を込め再度開けようと試みるが、結果。虚しくドアがガタガタと音を出すだけだった。
「どうしたのよ?」
「いや、ドアが開かねぇんだよ」
「はぁ?ちょっとどきなさいよ」
怪訝そうな顔をしながらリリは悟の傍に寄ると、ドアを開こうとした。
が、さっき程と同じくドアは開く事はなかった。
リリは俯き、顔をしかめながら小さく、
「また……、か」
そう呟いた。
そして顔を上げ、悟の方へとくるりと振り向くと苦笑を混じりに告げた。
「どうやら閉じ込められたみたいね」
「は?何の為にだよ?」
「知らない。どーせ、単純な嫌がらせじゃないの?でも、まぁ、仕事の時にじゃぁなかったから良かったけどね」
そう言いながら、リリは窓際へと歩き出し、
そしてその近くの壁へと背を預けた。
「その口ぶりだと、お前これが初めてって訳じゃぁねぇんだな」
悟の問いにリリは冷静に、それでいて自嘲気味に答えた。
「これで二回目ね。取り敢えず紫織に電話して助けてもらうしかないみたいね。この資料室他の教室と違って、外側からしか鍵が掛けられないから」
そう言いながらリリはスカートのポケットから携帯端末を取り出した瞬間。
キーンコーンカーンコーン。
と、午後の授業予鈴がタイミングよく鳴った。
「……………」
「……………」
「コホン。授業が終わってから助けを呼ぶしかないみたいね」
「お前……つくづく間が悪い奴だな……」
「しっ……仕方ないでしょ!だって、タイミングよく予鈴がなっちゃったんだもん!!」
ボソッと容赦なく言う悟にリリは必死で強く突っ込みを入れた。
悟は近くにある資料棚の前に座り込むと、それに背を預けながら、リリへと再び気軽な口調で話し掛けた。
「しっかし、今時こんなぐだらない事をする人間なんっているんだな」
「いるわよ。本当に馬鹿馬鹿しいけどね」
リリは心底つまらなさそうな顔をしながら両腕を組み、窓際へと視線を向け、そして言葉を続けた。
「アイドルとか役者って、ある程度人気が出ると他の人間から嫌がらせを受けたりするのよ。芸能界って基本華やかに見えて、いざ蓋を開けたらドロドロしている部分がある……。かと、言っても結局は実力の世界なのよ。当然実力のある、または才能がある人間は簡単に上に駆け上がり、地道に努力を積み重ねて行き、やがては夢を掴む人はいる。だけど、そうじゃない人は……」
「相手を蹴り落とす為に、その相手の仕事の妨害をしてくるのか?」
サラリと言う悟の言葉にリリは彼へとふっと笑を浮かべた。
その笑は肯定だとものがたっていた。
「そうよ。普通は運も実力のうちって言うけど、そうやって相手の仕事を平気で奪う人とかもいるのよ」
「さすがは芸能界。ある意味スゲーところなんだな……って事はこの学校でもそう言う事とかあるのか?」
「あるわよ。そんなのいくらでも。でも、わたしから言わせてみれば、そんな下らない事やらないで、血反吐を吐くぐらいの努力をして自力で上にのし上がれって感じだけどね」
リリは平然と、そして小さく鼻で笑いながら言った。
彼女の口ぶりは何処か少し相手を小馬鹿にしたような態度だった。
彼女は今まで芸能界でアイドルとして活動をできた。アイドル活動の中で勿論楽しい事ばかりではなく彼女自身、挫折、苦悩などが少なからず彼女についてまわった。
その度に彼女はそれを乗り越えようと日々努力し、続けてきたはずなのだ。
努力もしないで相手を蹴落とそうとする輩を彼女は理解する事も、況してや許す事すらも出来ないと感じていた。
そう思っての言葉だった。
それを悟は瞬時に理解した。
きっと彼女はプライドが高い人間なのだろう。
それは自分の夢に対して地道に努力をし、掴み取る。そんな人間だ。
だから同時に夢に対する想いが他の人間と違うのだ。
だが、同時に彼女に対しての違和感を強く覚える。
そう感じながらも、悟は話題を切り変えるようにリリへと言った。
「そう言えば、この前お前のファーストシングル聴いたぞ」
「ふーん。そうなんだ……」
何気ない悟の言葉にリリはピクリと反応をし、気恥しさを隠しながらも、わざと素っ気なく視線を逸らした。
……どーせ、まぁまぁだな……とか、上から目線での感想を言うんでしょ……
と、そう思った。
だが、返ってきた答えは全く違うものだった。
「お前の曲良かったよ」
その言葉にリリは一瞬止まり、そして悟の方へと視線を向けた。
「正直、どーせ、今どきの可愛いだけのお飾りアイドル様の曲なんだろうと思っていたけど、不覚にも歌詞に共感したし、心に直接響くものがあった。率直に言って感動した」
リリは自分の中で心にじんわりと温かさが満ちていくのを感じ、思わず言葉に詰まった。
それはきっと彼の……悟の率直な意見で、気持ちだった。
彼女は彼はこんな風に況してや、誰かまわず人を褒めるタイプではないと思っていた。
自分の意見をそのまま述べ、他人を褒める事はないのだと思っていた。
だから意外であり、同時に嬉しくも感じていた。
少なくともあの時、彼女自身が自分の想いを観客達に向け、歌い続けたものが伝わっているのだと、リリは実感し、心の底から嬉しさを感じた。
リリは悟に「ありがとう……」と、礼を述べようと口を動かさそうとするその前に、悟の言葉が続いた。
「だけど、お前の最近の曲を聴いたんだけど最初の時とは全然違っていた」
「え?違っていたって……どう言うこと?」
「最初の方はお前自分自身も楽しんで歌っていただろう?だけど今のお前にはそれがあまり感じられない。少なくともお前自身の歌に迷いが感じるんだ……」
悟は一度言葉を切り、そしてリリの顔を真剣な瞳でじっと見つめながら唇を動かした。
「お前今アイドルを……歌を歌ってて楽しいか?」
「――───ッ!?」
彼の瞳はまるで彼女自身の心の中を見透かされたような目をしており、それに対してリリは表情を変え、悟の言葉を強く、強く否定した。
迷いなんってある訳がない。
皆に……誰かに自分の歌を届け、伝える為だけに歌を歌い続けてきたのだ。
それは自分自身が望んできた事。
少しでも自分の歌で誰かの心に響くようなものが届けられたらいい。誰かを元気づけれたらいい。
そう思い、歌を歌い続けてきたのだ。
でないと、自分は今まで何の為に歌い続けてきたのかわからなかった。
リリは奥歯をギリッと強く噛み、そして強く叫ぶように言った。
「楽しいに決まっているでしょ?わたしは今まで誰かの心に響くような歌が届けられるようにって、それを目指して歌ってきた。それがわたし自身の目標であり、夢だから。だから、わたしの歌が、わたし自身が絶対に迷う訳はないでしょう!?」
「じゃぁさ、お前の歌は誰に届けたい訳?」
悟から真っ直ぐ向けられる瞳にリリは強い意志がこもった瞳を彼へと向けた。
それはハッキリとした言葉で、同時に迷いがない言葉だった。
「そんなのわたしのファン達よ!!」
「……」
「じゃぁ聞くけど、あなたは何の為にあのサイトを運営しているの?あなた自身も誰かを助けたいと思ってやっているんじゃないの?」
「金の為だよ」
「えっ……?」
悟の言葉に少しだけ困惑気味な顔をするリリに、悟はふっと笑った。
「あのサイトは金の為にやっているだけだ。まぁ、正確には俺の生活費を稼ぐ為だけになっている。間違っても”誰かを助けたい”って人助けって気持ちだけで、やっているんじゃぁねーよ。要はビジネスだ。それ以外何でもねぇんだよ」
「そんな……」
「お前だってアイドルとしてやってるんだ。金を稼ぐ大変さってもんは知ってんだろ?金が無ければ何も出来ねーし、メシだって食えねぇ。それに俺には別の目的がある。その為にやっているだけだ」
「別の目的って……」
そうリリが疑問の声を出した瞬間、
「しっ。ちょっと黙ってろ」
そう悟は真剣な表情で人差し指を顔の前で立てながらリリへと告げた。
それに従いリリは慌てて黙る。
悟は周囲を見渡し、そしてすんすんと臭いを嗅ぐ。
するとすぐに焦げ臭い臭いがつく。
資料室に入るなり、リリは悟に不機嫌そうな顔をしながら声を上げた。
そんなリリへと悟は平然とした態度で、手にしていた資料を棚に置きながら答える。
「さっきのって……俺がお前を狙ってるってヤツか。安心しろって。俺はガキに手を出す
ほどロリコンじゃなっ……」
「アンタ殴られたいの?」
悟の言葉を遮るように、リリは悟をギロッと鋭い目で睨んだ。
悟は身体をびくぅとさせながら、慌ててリリへと言い訳をする。
「そっ……それに、ああ言っとけば周りから色々聞かれないですむだろう?」
「そりゃぁそうだけど……」
少しだけ不満そうな顔をしながら、悟の隣に並び、リリは棚の中に資料を置く。
確かに彼の言うとおり、ここ数日間学校で彼と一緒にいる時間が増え、同時にクラスメート達からは『二人は付き合っているのか?』
『二人はどう言う関係なの?』と、色々訊ねられ、もしくは噂になっていた。
その度にリリは誤魔化し、否定を繰り返していた。
確かに彼の言うとおりにすれば色々聞かれたりする煩わしさはなくなるだろう……。
それに護衛する、される側のリリにも何かと色々好都合だ。
「さて、そろそろ戻るとすっか」
そう言い、頭を掻きながらドアの方へと悟は歩き出した。
そしてドアの前に立つとドア口に手を掛け、
ドアを開けようとするが、ドアは全くもって開かない。
悟は眉を小さくひそめ、再び手に力を込め再度開けようと試みるが、結果。虚しくドアがガタガタと音を出すだけだった。
「どうしたのよ?」
「いや、ドアが開かねぇんだよ」
「はぁ?ちょっとどきなさいよ」
怪訝そうな顔をしながらリリは悟の傍に寄ると、ドアを開こうとした。
が、さっき程と同じくドアは開く事はなかった。
リリは俯き、顔をしかめながら小さく、
「また……、か」
そう呟いた。
そして顔を上げ、悟の方へとくるりと振り向くと苦笑を混じりに告げた。
「どうやら閉じ込められたみたいね」
「は?何の為にだよ?」
「知らない。どーせ、単純な嫌がらせじゃないの?でも、まぁ、仕事の時にじゃぁなかったから良かったけどね」
そう言いながら、リリは窓際へと歩き出し、
そしてその近くの壁へと背を預けた。
「その口ぶりだと、お前これが初めてって訳じゃぁねぇんだな」
悟の問いにリリは冷静に、それでいて自嘲気味に答えた。
「これで二回目ね。取り敢えず紫織に電話して助けてもらうしかないみたいね。この資料室他の教室と違って、外側からしか鍵が掛けられないから」
そう言いながらリリはスカートのポケットから携帯端末を取り出した瞬間。
キーンコーンカーンコーン。
と、午後の授業予鈴がタイミングよく鳴った。
「……………」
「……………」
「コホン。授業が終わってから助けを呼ぶしかないみたいね」
「お前……つくづく間が悪い奴だな……」
「しっ……仕方ないでしょ!だって、タイミングよく予鈴がなっちゃったんだもん!!」
ボソッと容赦なく言う悟にリリは必死で強く突っ込みを入れた。
悟は近くにある資料棚の前に座り込むと、それに背を預けながら、リリへと再び気軽な口調で話し掛けた。
「しっかし、今時こんなぐだらない事をする人間なんっているんだな」
「いるわよ。本当に馬鹿馬鹿しいけどね」
リリは心底つまらなさそうな顔をしながら両腕を組み、窓際へと視線を向け、そして言葉を続けた。
「アイドルとか役者って、ある程度人気が出ると他の人間から嫌がらせを受けたりするのよ。芸能界って基本華やかに見えて、いざ蓋を開けたらドロドロしている部分がある……。かと、言っても結局は実力の世界なのよ。当然実力のある、または才能がある人間は簡単に上に駆け上がり、地道に努力を積み重ねて行き、やがては夢を掴む人はいる。だけど、そうじゃない人は……」
「相手を蹴り落とす為に、その相手の仕事の妨害をしてくるのか?」
サラリと言う悟の言葉にリリは彼へとふっと笑を浮かべた。
その笑は肯定だとものがたっていた。
「そうよ。普通は運も実力のうちって言うけど、そうやって相手の仕事を平気で奪う人とかもいるのよ」
「さすがは芸能界。ある意味スゲーところなんだな……って事はこの学校でもそう言う事とかあるのか?」
「あるわよ。そんなのいくらでも。でも、わたしから言わせてみれば、そんな下らない事やらないで、血反吐を吐くぐらいの努力をして自力で上にのし上がれって感じだけどね」
リリは平然と、そして小さく鼻で笑いながら言った。
彼女の口ぶりは何処か少し相手を小馬鹿にしたような態度だった。
彼女は今まで芸能界でアイドルとして活動をできた。アイドル活動の中で勿論楽しい事ばかりではなく彼女自身、挫折、苦悩などが少なからず彼女についてまわった。
その度に彼女はそれを乗り越えようと日々努力し、続けてきたはずなのだ。
努力もしないで相手を蹴落とそうとする輩を彼女は理解する事も、況してや許す事すらも出来ないと感じていた。
そう思っての言葉だった。
それを悟は瞬時に理解した。
きっと彼女はプライドが高い人間なのだろう。
それは自分の夢に対して地道に努力をし、掴み取る。そんな人間だ。
だから同時に夢に対する想いが他の人間と違うのだ。
だが、同時に彼女に対しての違和感を強く覚える。
そう感じながらも、悟は話題を切り変えるようにリリへと言った。
「そう言えば、この前お前のファーストシングル聴いたぞ」
「ふーん。そうなんだ……」
何気ない悟の言葉にリリはピクリと反応をし、気恥しさを隠しながらも、わざと素っ気なく視線を逸らした。
……どーせ、まぁまぁだな……とか、上から目線での感想を言うんでしょ……
と、そう思った。
だが、返ってきた答えは全く違うものだった。
「お前の曲良かったよ」
その言葉にリリは一瞬止まり、そして悟の方へと視線を向けた。
「正直、どーせ、今どきの可愛いだけのお飾りアイドル様の曲なんだろうと思っていたけど、不覚にも歌詞に共感したし、心に直接響くものがあった。率直に言って感動した」
リリは自分の中で心にじんわりと温かさが満ちていくのを感じ、思わず言葉に詰まった。
それはきっと彼の……悟の率直な意見で、気持ちだった。
彼女は彼はこんな風に況してや、誰かまわず人を褒めるタイプではないと思っていた。
自分の意見をそのまま述べ、他人を褒める事はないのだと思っていた。
だから意外であり、同時に嬉しくも感じていた。
少なくともあの時、彼女自身が自分の想いを観客達に向け、歌い続けたものが伝わっているのだと、リリは実感し、心の底から嬉しさを感じた。
リリは悟に「ありがとう……」と、礼を述べようと口を動かさそうとするその前に、悟の言葉が続いた。
「だけど、お前の最近の曲を聴いたんだけど最初の時とは全然違っていた」
「え?違っていたって……どう言うこと?」
「最初の方はお前自分自身も楽しんで歌っていただろう?だけど今のお前にはそれがあまり感じられない。少なくともお前自身の歌に迷いが感じるんだ……」
悟は一度言葉を切り、そしてリリの顔を真剣な瞳でじっと見つめながら唇を動かした。
「お前今アイドルを……歌を歌ってて楽しいか?」
「――───ッ!?」
彼の瞳はまるで彼女自身の心の中を見透かされたような目をしており、それに対してリリは表情を変え、悟の言葉を強く、強く否定した。
迷いなんってある訳がない。
皆に……誰かに自分の歌を届け、伝える為だけに歌を歌い続けてきたのだ。
それは自分自身が望んできた事。
少しでも自分の歌で誰かの心に響くようなものが届けられたらいい。誰かを元気づけれたらいい。
そう思い、歌を歌い続けてきたのだ。
でないと、自分は今まで何の為に歌い続けてきたのかわからなかった。
リリは奥歯をギリッと強く噛み、そして強く叫ぶように言った。
「楽しいに決まっているでしょ?わたしは今まで誰かの心に響くような歌が届けられるようにって、それを目指して歌ってきた。それがわたし自身の目標であり、夢だから。だから、わたしの歌が、わたし自身が絶対に迷う訳はないでしょう!?」
「じゃぁさ、お前の歌は誰に届けたい訳?」
悟から真っ直ぐ向けられる瞳にリリは強い意志がこもった瞳を彼へと向けた。
それはハッキリとした言葉で、同時に迷いがない言葉だった。
「そんなのわたしのファン達よ!!」
「……」
「じゃぁ聞くけど、あなたは何の為にあのサイトを運営しているの?あなた自身も誰かを助けたいと思ってやっているんじゃないの?」
「金の為だよ」
「えっ……?」
悟の言葉に少しだけ困惑気味な顔をするリリに、悟はふっと笑った。
「あのサイトは金の為にやっているだけだ。まぁ、正確には俺の生活費を稼ぐ為だけになっている。間違っても”誰かを助けたい”って人助けって気持ちだけで、やっているんじゃぁねーよ。要はビジネスだ。それ以外何でもねぇんだよ」
「そんな……」
「お前だってアイドルとしてやってるんだ。金を稼ぐ大変さってもんは知ってんだろ?金が無ければ何も出来ねーし、メシだって食えねぇ。それに俺には別の目的がある。その為にやっているだけだ」
「別の目的って……」
そうリリが疑問の声を出した瞬間、
「しっ。ちょっと黙ってろ」
そう悟は真剣な表情で人差し指を顔の前で立てながらリリへと告げた。
それに従いリリは慌てて黙る。
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