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鉱山開放、俺達貧乏
素手から始めるブランチマイニング
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今日もエルに叩き起こされたかと思うと、武器屋のおっさんと共にいきなり鉱山に連れ去られてしまった。
いきなりなのはステーキだけで結構だ。
「俺は観光したいなんて言ってないぞ」
「私だって言ってませんよ。これもお仕事です。文句をブーたれる前に、チャキチャキ働いてください!」
「せめて拉致の前に説明しろや」
まだ寝ぼけてた状態で強引に鍋を被せ、まな板アーマーを着せ、鍋のフタを握らせ、ズボンにナイフを突っ込まれれば文句を言う権利もあるというもの。
せめてナイフに鞘をしろ、危うくゾウさんとおさらばだ。
「しばらく君達には、この鉱山で鉄鉱石を採ってもらう。給金は歩合制、鉱山内部の道具は好きに使って構わない」
「やって欲しいことは分かった。あなたには武器の恩もある。前提として、あなたのためなら何も文句はない。でも一つ聞きたい。なんで俺?」
この村は鉱床で儲けてると聞いていた。
それはつまり、鉱夫が居なければなり立たない。
俺が居なくとも鉱夫が居れば回る仕事のハズだし、回ってきたからこの村が存続できているハズだ。
「……まぁ、鉱夫にも休みは必要だ。それに、君らのためにもなる。この仕事は良いぞ、力がガンガンモリモリ付いてくる。君、強くなりたいんだろ?」
なるほど、何となく理解できた。
彼らは休みを取れるし、俺は肉体改造と給金が手に入る。
確かに、どこぞの配管工の火の玉で燃やされてそうな食人植物を倒すのがやっとでは……と思っていたところだ。
「分かった、引き受けるよ。で、鉄鉱石ってどんな石なの?」
「その辺りは私がお教えします!武器屋さん、ありがとうございます!」
「あ、ああ。じゃ、頼んだぜ」
武器屋のおっさんは足早に去っていく。
去り際に聞こえた、すまねぇな……という言葉が、ただ仕事を頼んだにしては重く聞こえたのは何故だろうか。
「人の出入りがあったとは言え、モンスターが潜んでいることもあります。視界の確保や鉱石の鑑定は私がするので、ユーマくんは採掘と、なんかヘンなのが出たときの対処をお願いしますね!」
「おい、なんだよヘンなのって。……待て、なんで無視して行っちゃうの。言えって!ヘンなのって何!?なぁ、オイって!!」
不安と不満にまみれた鉱石堀が、今始まった。
どちらかというと、こういう活動は嫌いではない。
恐竜の化石を掘り出したいとか、小さい頃には考えていたこともある。
これが無理矢理連れてこられての労働でなければ楽しかったかもしれない。
エルが手をかざすだけで掛けてあった松明に火が灯り、行動に支障がない程度には明るくなる。
便利機能を次々に見せられると、なんでワザワザ俺が魔王討伐を目指しているのか分からなくなるな。
「今日はこの辺りから掘り始めます。本当はもっと深く進むべきなんですが、新しい道を増やして欲しいとのことなので!」
「枝分かれさせたいってことか。でも、どこから出るのかなんて分かるのか?」
「勘です!」
「もうやだお前、ほんっとむり」
ガンッ。
「石を投げないでください!!他のお客様にご迷惑がかかります!!」
短気なエルに逆らうべからず。
というわけで掘ろうとするが、さてどうしたものか。
道具が何もない。
「エル、ツルハシとか無いのか?」
「その辺に落ちてなければ、無いですね」
百均の店員みたいな返答が虚しく響く。
「しっかりリキ入れて掘りなさーい!炭鉱のお兄さん方が驚くくらいにー!」
「そんなに言うならお前がやれ!」
素手で掘れる道理もなく、怒りに任せて蹴飛ばしても何も変わらない。
諦めて奥へと進み、ツルハシの一つでも拾うことにする。
「あ、奥に行っちゃうんですか?危ないかもしれませんよ?」
「それはそうだが道具が無いと話にならんだろ」
「……ま、最低限のサポートはしますね」
あのおっさんも、どうせ捨てられたような中古を使わせるくらいなら新品をくれればいいのに、等とボヤきながら進む。
複数人で移動できる程度には広く、足元も出っ張りが少なくなるように手入れしてあるようだ。
それでも歩きにくい方だが、何にもしないでほったらかしよりもずっとありがたい。
「あ、止まってください」
エルが突然、俺を止める。
声のトーンが、いつもより落ち着いていた。
「今明るくします。姿を確認したら、どうするか決めてください?」
「……は?なんか居んの?」
返答する前に、エルが手をかざす。
壁掛け松明に照らされたそれは、以前の世界でよく見かけた、ホラー映画のド定番のようなヤツだった。
いきなりなのはステーキだけで結構だ。
「俺は観光したいなんて言ってないぞ」
「私だって言ってませんよ。これもお仕事です。文句をブーたれる前に、チャキチャキ働いてください!」
「せめて拉致の前に説明しろや」
まだ寝ぼけてた状態で強引に鍋を被せ、まな板アーマーを着せ、鍋のフタを握らせ、ズボンにナイフを突っ込まれれば文句を言う権利もあるというもの。
せめてナイフに鞘をしろ、危うくゾウさんとおさらばだ。
「しばらく君達には、この鉱山で鉄鉱石を採ってもらう。給金は歩合制、鉱山内部の道具は好きに使って構わない」
「やって欲しいことは分かった。あなたには武器の恩もある。前提として、あなたのためなら何も文句はない。でも一つ聞きたい。なんで俺?」
この村は鉱床で儲けてると聞いていた。
それはつまり、鉱夫が居なければなり立たない。
俺が居なくとも鉱夫が居れば回る仕事のハズだし、回ってきたからこの村が存続できているハズだ。
「……まぁ、鉱夫にも休みは必要だ。それに、君らのためにもなる。この仕事は良いぞ、力がガンガンモリモリ付いてくる。君、強くなりたいんだろ?」
なるほど、何となく理解できた。
彼らは休みを取れるし、俺は肉体改造と給金が手に入る。
確かに、どこぞの配管工の火の玉で燃やされてそうな食人植物を倒すのがやっとでは……と思っていたところだ。
「分かった、引き受けるよ。で、鉄鉱石ってどんな石なの?」
「その辺りは私がお教えします!武器屋さん、ありがとうございます!」
「あ、ああ。じゃ、頼んだぜ」
武器屋のおっさんは足早に去っていく。
去り際に聞こえた、すまねぇな……という言葉が、ただ仕事を頼んだにしては重く聞こえたのは何故だろうか。
「人の出入りがあったとは言え、モンスターが潜んでいることもあります。視界の確保や鉱石の鑑定は私がするので、ユーマくんは採掘と、なんかヘンなのが出たときの対処をお願いしますね!」
「おい、なんだよヘンなのって。……待て、なんで無視して行っちゃうの。言えって!ヘンなのって何!?なぁ、オイって!!」
不安と不満にまみれた鉱石堀が、今始まった。
どちらかというと、こういう活動は嫌いではない。
恐竜の化石を掘り出したいとか、小さい頃には考えていたこともある。
これが無理矢理連れてこられての労働でなければ楽しかったかもしれない。
エルが手をかざすだけで掛けてあった松明に火が灯り、行動に支障がない程度には明るくなる。
便利機能を次々に見せられると、なんでワザワザ俺が魔王討伐を目指しているのか分からなくなるな。
「今日はこの辺りから掘り始めます。本当はもっと深く進むべきなんですが、新しい道を増やして欲しいとのことなので!」
「枝分かれさせたいってことか。でも、どこから出るのかなんて分かるのか?」
「勘です!」
「もうやだお前、ほんっとむり」
ガンッ。
「石を投げないでください!!他のお客様にご迷惑がかかります!!」
短気なエルに逆らうべからず。
というわけで掘ろうとするが、さてどうしたものか。
道具が何もない。
「エル、ツルハシとか無いのか?」
「その辺に落ちてなければ、無いですね」
百均の店員みたいな返答が虚しく響く。
「しっかりリキ入れて掘りなさーい!炭鉱のお兄さん方が驚くくらいにー!」
「そんなに言うならお前がやれ!」
素手で掘れる道理もなく、怒りに任せて蹴飛ばしても何も変わらない。
諦めて奥へと進み、ツルハシの一つでも拾うことにする。
「あ、奥に行っちゃうんですか?危ないかもしれませんよ?」
「それはそうだが道具が無いと話にならんだろ」
「……ま、最低限のサポートはしますね」
あのおっさんも、どうせ捨てられたような中古を使わせるくらいなら新品をくれればいいのに、等とボヤきながら進む。
複数人で移動できる程度には広く、足元も出っ張りが少なくなるように手入れしてあるようだ。
それでも歩きにくい方だが、何にもしないでほったらかしよりもずっとありがたい。
「あ、止まってください」
エルが突然、俺を止める。
声のトーンが、いつもより落ち着いていた。
「今明るくします。姿を確認したら、どうするか決めてください?」
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