姫騎士様は恋を知らない

Sora

文字の大きさ
4 / 46

3.お前が欲しい(前)★

しおりを挟む
 セラフィナは、ルークの真剣な表情を見つめたまま、言葉を失っていた。  

 彼の瞳に宿る感情の強さに、心臓が大きく跳ねる。  

 ——これは、冗談でも、軽い戯れでもない。  

 ふざけて受け流そうとすれば、できたかもしれない。でも、ルークのまっすぐな視線を浴びた瞬間、それができなくなった。  

 彼は、真剣に私を求めている——。  

 ルークがゆっくりと手を伸ばし、セラフィナの頬に触れる。指先が熱を帯びているように感じられた。  

「……セラフィナ」  

 低く抑えた声が耳元に落ちる。その声音は、どこか切なげで、けれども強く彼女を縛りつける。  

 次の瞬間、彼の唇が再び重なった。  

 セラフィナの体がびくりと跳ねる。  

「ん……っ……ルーク……!」  

 驚きと戸惑いが入り混じる。けれど、彼を強く拒むことができない。
 ルークの肩に手を置き、押し返そうとするが、本気の抵抗にはなっていなかった。  

 ルークはその抵抗を無視し、さらに深く口づける。舌を差し入れ、セラフィナの甘い息遣いを感じながら、じっくりと味わうように絡め取った。  

 唇を重ねるたび、頭がぼんやりとしてくる。

「っ……ん……っ」  

 やがて、セラフィナは小さく息を吐き、ルークのシャツを掴んだ。  

 ルークはゆっくりと唇を離し、セラフィナの顔をじっと見つめる。  

「……これでもまだ、俺の気持ちがわからないのか?」  

 彼の言葉に、セラフィナは息をのんだ。  

 ルークの目は、真剣そのものだった。からかいも、迷いも、一切ない。ただ、彼女だけを求める強い感情が滲んでいる。  

「ルーク……」  

 セラフィナは戸惑いながらも、ルークから目を逸らせなかった。  

 ルークはそんな彼女の様子を受け止めるように、ゆっくりと顔を近づける。  

「セラフィナ……」  

 そう囁くと、彼女の首筋にそっと唇を落とした。  

 熱を帯びた吐息が、彼女の肌を撫でる。  

「っ……ルーク……」  

 セラフィナの肩がわずかに震えた。  

 ルークは舌を這わせるようにして、ゆっくりと甘く吸い上げる。セラフィナの体がびくりと震え、思わず息が詰まる。  

「ん……、ちょ……待てって……」  

 口ではそう言いながらも、彼を突き放すことができない。むしろ、無意識にルークのシャツを握りしめていた。  

 ルークはゆっくりと指を滑らせ、セラフィナの胸元に触れる。  

「……ダメ、じゃないよな?」  

 低く囁かれた声が、耳元に絡みつく。  

 セラフィナの鼓動が、ますます速くなっていく。  

 このまま受け入れてしまったら、もう後戻りできなくなる——そんな気がする。  

 けれど、彼の手の温もりが心地よくて、離れられなかった。  

 ルークはもう一度、優しく唇を重ねる。  

「ん……っ……」  

 セラフィナの息遣いが甘く乱れる。彼女はルークの肩を掴んでいたが、本気で押し返そうとはしなかった。  

 それなら——  

 ルークは迷いなく、彼女の服の隙間に指を滑り込ませる。直接肌に触れた瞬間、セラフィナの体がびくんと跳ねた。  

「っ……ルーク……」  

 戸惑いの混じった声が漏れる。けれど、その瞳には明確な拒絶はない。  

 ルークはさらに唇を這わせながら、ゆっくりと彼女の肌をなぞる。  

「セラフィナ……お前が、欲しい」  

 囁くように言いながら、ルークは彼女を押し倒し、行為を続けた。  

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...