姫騎士様は恋を知らない

Sora

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25.会談

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 王都の空は澄み渡り、陽の光が石畳を穏やかに照らしていた。心地よい風が吹き抜け、広場を囲む白い石造りの柱がその影を地面に落としている。 
  
 この広場は王宮の一角に設けられた公的な場であり、その美しい石造りの柱が広場全体を囲むように並んでいた。柱には繊細な装飾が施され、王都の文化的な華やかさと威厳を感じさせる。円形の配置が広場の開放感を生み出し、その中央には椅子と長机が整然と並べられている。王家の紋章を掲げた青い旗が風になびき、正面には王太子のための演壇が設けられていた。演壇の背後には王宮の壮大な建物がそびえ立ち、その堂々たる姿がこの会談の重要性をさらに際立たせている。

 アレクシス王太子はその演壇の前に立ち、集まった貴族たちを前にしていた。集まったのは近隣の領地を治める伯爵や侯爵たち。彼らはそれぞれ格式ある装いをまといながらも、その顔には緊張が色濃く見える。王太子は静かながらも力強い視線を貴族たちに投げかけ、場を支配するような存在感を放っていた。

 この日の会談の目的は、王太子が推し進めようとしている税制改革と治安維持の方針について貴族たちの意見を聞き、共通の理解を深めることであった。広場全体には王太子の声が響き渡り、貴族たちはその言葉に耳を傾けながら議論の方向性を模索している。

「現在の税制では、領主による徴収の差が大きく、王都に住む民と地方の民とでは負担の格差が生じている。この歪みを正し、安定した財政基盤を築く必要がある。」
   
 王太子の言葉に広場がざわめき、貴族たちの顔には様々な感情が浮かび上がった。

「しかし、殿下。それはつまり、領地ごとの裁量権を縮小し、王権の影響を強めるということではありませんか?」  

 年配の伯爵が慎重な口調で意見を述べると、他の貴族たちも静かにその言葉に耳を傾ける。彼らにとって税制の改変は単なる経済の問題ではなく、領地の自治や権力基盤に深く関わる問題だった。

「自治権を奪うつもりはない。しかし、王国の安定のためには、公正な制度が必要だ。貴族の役割は己の領地を治めることだけではなく、王国全体の利益を考え、協力することが求められる。」  
 王太子は毅然とした口調で告げ、貴族たちを見渡す。賛同の意を示す者もいれば、沈黙の中で不満を抱える者もいた。

 この場を警護する役目を担っているセラフィナは、その様子をじっと観察していた。彼女は王太子のすぐ近くに控え、演壇の後方で周囲を警戒している。その視線は鋭く、広場全体の動きを一瞬たりとも見逃さない。  
 演壇の周囲には近衛騎士団の隊員たちが厳重に配置されており、王太子の身を守る盾としての役割を果たしていた。広場の外周にはセラフィナの部隊が散開し、不審な動きを見せる者がいないか監視している。また、広場の出入り口や周辺の警備にはルークの部隊が配置され、会場全体の治安維持を担っていた。

 セラフィナは広場を巡る視線の中で、貴族たちの表情を観察していた。王太子の言葉に静かに頷く者もいれば、不安げな顔を見せる者、そして眉をひそめる者もいる。それぞれの表情が示す微妙な違いが、この会談の緊張感を如実に表していた。

(……反対派が、どこまで危険視すべき存在なのか。)  
 セラフィナの心には警戒心が広がり、その緊張がじわじわと高まる。もしもこの場に王太子派を敵視する者が潜んでいるならば、今が絶好の機会である。彼らが公然と反対の意を示さなくとも、王太子の命を狙う可能性は十分に考えられた。

 ふと、セラフィナの視線の端に何かが映った。王宮の建物の上、屋根の影から何者かがこちらを窺っているように見えた。  
 セラフィナの眉が僅かに動き、彼女は無意識に手元の剣に触れながらその影を探る。敵の気配はまだ確信には至らない。だが、胸騒ぎがする。

 この平穏な陽光の下、静かに嵐の気配が迫っている。広場の隅々まで伸びる緊張感の中、セラフィナはその影を逃さずに見据えた。

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