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42.拠点急襲
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拘束された幹部――“仮面の指揮者”と呼ばれていた男の口は重かった。
だが、それを補うだけの証拠が現場から押収されていた。
偽装された地図。暗号文。財源を裏付ける金貨と書類の束。
そして、ある屋敷の間取りが詳細に記されていた一枚の紙。
「ここか」
ヴィクトルが呟いた。
旧貴族領の外れ、今は空き地となっていたはずの小さな館跡。
地下に拠点がある可能性――高い。
「一気に仕掛ける。連中が情報を焼く前に」
セラフィナの部隊が、再び招集された。
空がわずかに白み始める頃、霧が森を包んでいた。深く静かな樹海の奥に、苔むした石造りの建物――旧修道院跡がひっそりと佇んでいる。
その前に、数名の影が潜んでいた。
「予定通り。前衛は私が切り開く。後続は間を空けずについて来い」
セラフィナの声は低く、だが凛としていた。隊員たちは無言で頷き、武器を構える。
森を抜けた突入口は、かつての礼拝堂の裏手だった。厚い扉が時間の重みで歪み、今にも崩れそうだ。
セラフィナが構えた剣を持ち直し、一息に蹴りつける。
バァン、と木が砕ける音が静寂を裂く。
「何者だ!?」
中にいた見張りが怒声を上げるも、次の瞬間にはセラフィナの剣がその首元に突き刺さっていた。
敵兵が四方から現れる。人数は十、二十。狭い通路に溢れ出す黒衣の兵。
「来るぞ、構えろ!」
セラフィナが叫び、後続の隊員たちが盾を前に出す。
通路を塞ぐ形で縦列陣を組み、敵の突撃を受け止めた。
その隙に、セラフィナは壁を蹴って側面から回り込み、敵の懐へ飛び込む。
一撃。喉元。
二撃。腕の関節。
三撃目で脚を払い、転倒した敵を踏みつけて剣を振るう。
まるで舞うような流れだった。敵兵はセラフィナの動きについていけず、声も出せずに倒れていく。
「なっ、こいつ一人で……!」
恐怖に駆られた一人が退いたが、その背をセラフィナが突いた。
「下がるなら邪魔だ」
鈍い音がして、男は沈黙した。
混乱の中、敵の一部が脇道から逃げ出そうとする。だが、セラフィナの指示で回り込んでいた副隊が、それを迎え撃った。交錯する金属音。短い叫び。
「階段を下りる奴らがいる! 地下に何かある!」
エリシアの叫びに、セラフィナは頷く。
「下層の通路、私が追う。エリシア、上階に残って背後を固めて」
「了解!」
地下はさらに暗く、息苦しいほどの湿気がこもっていた。
灯りも少なく、敵も慣れない地形に混乱している。だが、武装した者たちはまだ十数人残っていた。
書庫の前に立ち塞がる男が、手にしていた火種を掲げた。
「近づけば燃やす!」
「ならばその前に止めるだけ」
セラフィナは地を蹴った。
疾風のような動きで距離を詰め、燃え上がる前に男の腕を斬り落とす。続いて盾を構えた敵兵に体当たりをかけ、壁に叩きつける。
「止めろッ! こいつ……こいつ人間じゃねえ!」
叫びと共に、最後の護衛が逃げ出す。
だが通路は狭く、後方から来た別部隊がすでに道を塞いでいた。
静寂が戻る。
書庫の扉を開けると、中には帳簿、文書、手紙の束。重く埃をかぶったその中に、旧貴族の名がはっきりと記されていた。
セラフィナは剣を下ろし、深く息を吐いた。
「任務完了」
その言葉に、背後で控えていた部下たちが小さく息をついた。
だが、それを補うだけの証拠が現場から押収されていた。
偽装された地図。暗号文。財源を裏付ける金貨と書類の束。
そして、ある屋敷の間取りが詳細に記されていた一枚の紙。
「ここか」
ヴィクトルが呟いた。
旧貴族領の外れ、今は空き地となっていたはずの小さな館跡。
地下に拠点がある可能性――高い。
「一気に仕掛ける。連中が情報を焼く前に」
セラフィナの部隊が、再び招集された。
空がわずかに白み始める頃、霧が森を包んでいた。深く静かな樹海の奥に、苔むした石造りの建物――旧修道院跡がひっそりと佇んでいる。
その前に、数名の影が潜んでいた。
「予定通り。前衛は私が切り開く。後続は間を空けずについて来い」
セラフィナの声は低く、だが凛としていた。隊員たちは無言で頷き、武器を構える。
森を抜けた突入口は、かつての礼拝堂の裏手だった。厚い扉が時間の重みで歪み、今にも崩れそうだ。
セラフィナが構えた剣を持ち直し、一息に蹴りつける。
バァン、と木が砕ける音が静寂を裂く。
「何者だ!?」
中にいた見張りが怒声を上げるも、次の瞬間にはセラフィナの剣がその首元に突き刺さっていた。
敵兵が四方から現れる。人数は十、二十。狭い通路に溢れ出す黒衣の兵。
「来るぞ、構えろ!」
セラフィナが叫び、後続の隊員たちが盾を前に出す。
通路を塞ぐ形で縦列陣を組み、敵の突撃を受け止めた。
その隙に、セラフィナは壁を蹴って側面から回り込み、敵の懐へ飛び込む。
一撃。喉元。
二撃。腕の関節。
三撃目で脚を払い、転倒した敵を踏みつけて剣を振るう。
まるで舞うような流れだった。敵兵はセラフィナの動きについていけず、声も出せずに倒れていく。
「なっ、こいつ一人で……!」
恐怖に駆られた一人が退いたが、その背をセラフィナが突いた。
「下がるなら邪魔だ」
鈍い音がして、男は沈黙した。
混乱の中、敵の一部が脇道から逃げ出そうとする。だが、セラフィナの指示で回り込んでいた副隊が、それを迎え撃った。交錯する金属音。短い叫び。
「階段を下りる奴らがいる! 地下に何かある!」
エリシアの叫びに、セラフィナは頷く。
「下層の通路、私が追う。エリシア、上階に残って背後を固めて」
「了解!」
地下はさらに暗く、息苦しいほどの湿気がこもっていた。
灯りも少なく、敵も慣れない地形に混乱している。だが、武装した者たちはまだ十数人残っていた。
書庫の前に立ち塞がる男が、手にしていた火種を掲げた。
「近づけば燃やす!」
「ならばその前に止めるだけ」
セラフィナは地を蹴った。
疾風のような動きで距離を詰め、燃え上がる前に男の腕を斬り落とす。続いて盾を構えた敵兵に体当たりをかけ、壁に叩きつける。
「止めろッ! こいつ……こいつ人間じゃねえ!」
叫びと共に、最後の護衛が逃げ出す。
だが通路は狭く、後方から来た別部隊がすでに道を塞いでいた。
静寂が戻る。
書庫の扉を開けると、中には帳簿、文書、手紙の束。重く埃をかぶったその中に、旧貴族の名がはっきりと記されていた。
セラフィナは剣を下ろし、深く息を吐いた。
「任務完了」
その言葉に、背後で控えていた部下たちが小さく息をついた。
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