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epilogue
しおりを挟むヴァイオラのお父上の屋敷を出たあと、ゆっくり馬を歩かせて、宿舎までの道を行く。
途中に桜の樹があった。昨日みたいにライトアップされてはいないが、暗闇に浮かぶごく淡い色合いは、それ自体が光だ。
今日は風が強く吹いていたからか、散りはじめている。しかし不思議なのは、それすら愛おしいような気持ちになってくること。来年も一緒に桜を見に行こう、そう彼女を誘ってみようかと、次の季節も楽しみにできるから。そう、次も、その次も。この先もずっと、隣にいることを許されたのだ。
結婚しても、彼女は騎士を続けるつもりだと言う。また、お父上がまだまだ現役というのもあって、家督を継ぐのはゆっくりでいい。結婚式や子供に関することも、二人のタイミングで決めていいと言われた。
そんな話をお父上から受けている傍ら、ヴァイオラ本人は。「二日も剣を握っていないから腕が鈍った。ラルフ、明日の挨拶が終わったら訓練場に行くぞ」、とか言うから笑った。
零れゆく花あかりを見ながら、昨日彼女が喜んでいた桜の酒を思い出して。つい先ほど「酒は一生飲まない」と誓ったけれど、ほどほどになら、それに彼女と一緒のときならいいかな、と思い直した。
そんな俺を笑うように、ざあっと音を立てて風が吹きつけて、花びらがくるくる弧を描いて舞った。
夜闇の中、きらきらと笑って。巡る季節を祝福するように。
*
*
* . . .
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