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第一幕:【魔盗団】殲滅作戦編
ギルド職員の朝
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神殿での仕事を終えた翌日、シエンは朝早くから【クレイセルド】の周辺を掃除していた。
「ふあぁ……」
大きな口を開けて欠伸をする。昨日は余りにも遅くに寝た為、疲れがまだ完全に取り除けていない。おかげで眠気がピークに近い。だが、彼がこんな朝早くから掃除をしているのには訳がある。それは、彼がギルド職員の中で一番下っ端だからだ。
「よお、ボウズ。今日も朝から精が出るねえ」
背後から男の声が掛けられる。シエンは一度動かしていた手を止め、振り返った。
「おはようございます! ライネスさん!」
「ハッハッハ!相変わらず元気な奴だ!」
そう言って笑うライネスと呼ばれる男性。彼はシエンと同じ【クレイセルド】の職員で先輩だ。燃えるような赤い髪に緑の瞳。そしてガタイのいい肉体を包むのは白のワイシャツに黒のズボン。更には右腕が魔導式義腕で出来ている。この義腕は特殊な細工が施されているらしいが使用者によって細工が違うため本人とそれを見た事あるもの、作成者にしか分からないと言われている。
「さて、お前もそろそろ掃除なんかやめて、開店準備手伝え」
ググッと伸びをした後、ライネスは【クレイセルド】の巨大な扉に掛けられた錠前を外す。ひとつ忘れていたがこの男、ライネス・パーティネイトはこのギルドの鍵をギルド統括者から託された鍵番の役割を担っている。その為、鍵を盗む者がいれば彼による制裁を受けることになる。
「そうえばあの件はちゃんと済ませたのか?」
ライネスが扉を開けて、シエンに話しかける。彼が言うあの件とは昨日の仕事の件だ。その質問にシエンは収納していた小さな匣を影の穴から取り出す。大して豪奢な装飾もされていない真っ黒の匣。中身は確認していないがあの罠や仕掛けからして相当希少な代物だろう。ライネスはそれをシエンから受け取り、
「コイツは後でギルド統括者に渡しておく。よくやった、ボウズ」
ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫でた。髪が乱れるのもお構い無しだ。シエンはされるがままで抵抗することは無い。というのも、彼はシエンにとって体術の師匠だからだ。彼との出会いは話せば長くなるのでココは割愛する。
「って、やべーな。早く準備始めねえーとワイゼルさんに叱られちまう。ほら、ぼーっとしてねえであのバカを起こしてこい」
ペチンっとデコピンをしてライネスは厨房へと消えていく。一人取り残されたシエンは軽く痛む額を擦りながら2階へと続く階段を登り始める。このギルドは全部で二階層となっており、二階層はギルド統括者の部屋とその統括者の娘の部屋がある。
「あの人、起こすの大変なんだよなぁ」
はぁ、っとため息をついて、ひとつの部屋の前に立つ。掛札には【起こしたらボコす】と書かれている訳だが、ここでボコされなくてもライネスにボコされる為、後には引けない。シエンは一度大きく深呼吸をしたあと、ドアをノックする。しかし、当然のように反応はない。
「入りますよー、メイナさん」
ドアノブを回して開いた瞬間、衝撃波が全身を叩いた。強烈な一撃をくらい背中を思い切り壁に打ち付ける。一瞬、呼吸がしづらくなり咳き込む。あまりにもいきなりの攻撃に大体の人は驚くかもしれないが、シエンにとっては日常茶飯事だ。それなら対策をした方が良いのでは?と思う人もいるだろうが、そこに関しては怠っていない。しっかりと防護壁を身体に幾重にも展開させていた。しかし、それをこの部屋の主はいとも容易く破壊するのだ。
「いたたた…。 毎度毎度ソレはやめてくださいって言ってるじゃないですか…メイナさん」
シエンは再度部屋を開けて声をかける。ベッドに仰向けで寝転がる女性に。
「にゃははは♪ 毎度毎度忠告を無視する君が悪い」
透き通った海のように綺麗な蒼髪に紫紺の瞳をしたその女性は、シエンを見て楽しそうに笑った。彼女の名はメイナ・マーセリン。改めて説明するが、ギルド統括者の娘で一応ギルド職員である。
「はぁ…。僕だって好きでこんな目に合ってるわけじゃないんですよ」
「まぁ、君が1番の下っ端なんだから仕方ないことなんだぞ~。ほれほれ、先輩様の着替えを手伝わぬか」
当たり前のように服を脱ぎ始めるメイナの行動にシエンは慌てて目をそらす。毎度毎度の事だが、さすがに異性の着替えを手伝うというのは無理がある。しかし、手伝わなければ着替えもしない為、毎度恒例の目隠しでの手伝いを行う。もう少し分かりやすく説明するなら、シエンが目隠しして、メイナの指示通りに浮力魔法で服を動かして遠隔で着替えさせるという方法だ。四苦八苦すること数分が経ち、やっと着替えが終わる。
「これで着替えも終わりましたね。では、今日の仕事に取り掛かりますよ、メイナさん」
一息ついてシエンは、後ろ髪を銀色のアクセサリーで結わえている最中のメイナにそう声をかける。
「はいはい、分かりましたよ~」
『やれやれ、めんどくさいな』と言いたげな表情と仕草で立ち上がり、シエンに続くように部屋を出る。既に他の職員達も到着していたようで、殆どの準備が終わっていた。と、そのタイミングでライネスが厨房から姿を現して、シエンとメイナを手招きする。どうやら、厨房の方も準備が終わったようで今から朝礼をするようだ。朝礼は仕事の前に連絡やら必要な事を報告、確認し合う大事な行事だ。そしてこの朝礼でいちばん重要なのは職員達のリーダーであるワイゼル・アーゲンスからの気合いの一言だ。別に格闘家などみたいな気合いの一言ではなく、なんてことの無い応援のような一言だが、職員達にとってはそれが一番気合いの入る一言なのだ。
「さて、連絡はこんなものにしてっと」
ワイゼルは連絡帳を閉じて、全員を見渡す。そして、たった一言。
「今日も明るく元気に皆様をお出迎えしましょう」
その言葉に職員達は元気に返事をして、各々の業務に向かう。
こうして今日もギルド職員達の一日が始まる。
「ふあぁ……」
大きな口を開けて欠伸をする。昨日は余りにも遅くに寝た為、疲れがまだ完全に取り除けていない。おかげで眠気がピークに近い。だが、彼がこんな朝早くから掃除をしているのには訳がある。それは、彼がギルド職員の中で一番下っ端だからだ。
「よお、ボウズ。今日も朝から精が出るねえ」
背後から男の声が掛けられる。シエンは一度動かしていた手を止め、振り返った。
「おはようございます! ライネスさん!」
「ハッハッハ!相変わらず元気な奴だ!」
そう言って笑うライネスと呼ばれる男性。彼はシエンと同じ【クレイセルド】の職員で先輩だ。燃えるような赤い髪に緑の瞳。そしてガタイのいい肉体を包むのは白のワイシャツに黒のズボン。更には右腕が魔導式義腕で出来ている。この義腕は特殊な細工が施されているらしいが使用者によって細工が違うため本人とそれを見た事あるもの、作成者にしか分からないと言われている。
「さて、お前もそろそろ掃除なんかやめて、開店準備手伝え」
ググッと伸びをした後、ライネスは【クレイセルド】の巨大な扉に掛けられた錠前を外す。ひとつ忘れていたがこの男、ライネス・パーティネイトはこのギルドの鍵をギルド統括者から託された鍵番の役割を担っている。その為、鍵を盗む者がいれば彼による制裁を受けることになる。
「そうえばあの件はちゃんと済ませたのか?」
ライネスが扉を開けて、シエンに話しかける。彼が言うあの件とは昨日の仕事の件だ。その質問にシエンは収納していた小さな匣を影の穴から取り出す。大して豪奢な装飾もされていない真っ黒の匣。中身は確認していないがあの罠や仕掛けからして相当希少な代物だろう。ライネスはそれをシエンから受け取り、
「コイツは後でギルド統括者に渡しておく。よくやった、ボウズ」
ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を撫でた。髪が乱れるのもお構い無しだ。シエンはされるがままで抵抗することは無い。というのも、彼はシエンにとって体術の師匠だからだ。彼との出会いは話せば長くなるのでココは割愛する。
「って、やべーな。早く準備始めねえーとワイゼルさんに叱られちまう。ほら、ぼーっとしてねえであのバカを起こしてこい」
ペチンっとデコピンをしてライネスは厨房へと消えていく。一人取り残されたシエンは軽く痛む額を擦りながら2階へと続く階段を登り始める。このギルドは全部で二階層となっており、二階層はギルド統括者の部屋とその統括者の娘の部屋がある。
「あの人、起こすの大変なんだよなぁ」
はぁ、っとため息をついて、ひとつの部屋の前に立つ。掛札には【起こしたらボコす】と書かれている訳だが、ここでボコされなくてもライネスにボコされる為、後には引けない。シエンは一度大きく深呼吸をしたあと、ドアをノックする。しかし、当然のように反応はない。
「入りますよー、メイナさん」
ドアノブを回して開いた瞬間、衝撃波が全身を叩いた。強烈な一撃をくらい背中を思い切り壁に打ち付ける。一瞬、呼吸がしづらくなり咳き込む。あまりにもいきなりの攻撃に大体の人は驚くかもしれないが、シエンにとっては日常茶飯事だ。それなら対策をした方が良いのでは?と思う人もいるだろうが、そこに関しては怠っていない。しっかりと防護壁を身体に幾重にも展開させていた。しかし、それをこの部屋の主はいとも容易く破壊するのだ。
「いたたた…。 毎度毎度ソレはやめてくださいって言ってるじゃないですか…メイナさん」
シエンは再度部屋を開けて声をかける。ベッドに仰向けで寝転がる女性に。
「にゃははは♪ 毎度毎度忠告を無視する君が悪い」
透き通った海のように綺麗な蒼髪に紫紺の瞳をしたその女性は、シエンを見て楽しそうに笑った。彼女の名はメイナ・マーセリン。改めて説明するが、ギルド統括者の娘で一応ギルド職員である。
「はぁ…。僕だって好きでこんな目に合ってるわけじゃないんですよ」
「まぁ、君が1番の下っ端なんだから仕方ないことなんだぞ~。ほれほれ、先輩様の着替えを手伝わぬか」
当たり前のように服を脱ぎ始めるメイナの行動にシエンは慌てて目をそらす。毎度毎度の事だが、さすがに異性の着替えを手伝うというのは無理がある。しかし、手伝わなければ着替えもしない為、毎度恒例の目隠しでの手伝いを行う。もう少し分かりやすく説明するなら、シエンが目隠しして、メイナの指示通りに浮力魔法で服を動かして遠隔で着替えさせるという方法だ。四苦八苦すること数分が経ち、やっと着替えが終わる。
「これで着替えも終わりましたね。では、今日の仕事に取り掛かりますよ、メイナさん」
一息ついてシエンは、後ろ髪を銀色のアクセサリーで結わえている最中のメイナにそう声をかける。
「はいはい、分かりましたよ~」
『やれやれ、めんどくさいな』と言いたげな表情と仕草で立ち上がり、シエンに続くように部屋を出る。既に他の職員達も到着していたようで、殆どの準備が終わっていた。と、そのタイミングでライネスが厨房から姿を現して、シエンとメイナを手招きする。どうやら、厨房の方も準備が終わったようで今から朝礼をするようだ。朝礼は仕事の前に連絡やら必要な事を報告、確認し合う大事な行事だ。そしてこの朝礼でいちばん重要なのは職員達のリーダーであるワイゼル・アーゲンスからの気合いの一言だ。別に格闘家などみたいな気合いの一言ではなく、なんてことの無い応援のような一言だが、職員達にとってはそれが一番気合いの入る一言なのだ。
「さて、連絡はこんなものにしてっと」
ワイゼルは連絡帳を閉じて、全員を見渡す。そして、たった一言。
「今日も明るく元気に皆様をお出迎えしましょう」
その言葉に職員達は元気に返事をして、各々の業務に向かう。
こうして今日もギルド職員達の一日が始まる。
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