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第一幕:【魔盗団】殲滅作戦編
勧誘 (後編)
しおりを挟む「えっと…もしかしてなんですけど、今の話って私に言ってます?」
いきなりの事に頭が追いつかないリンは恐る恐ると駆け出し冒険者風の青年に質問する。それに対し青年は眩いほどの笑顔を浮かべ、
「もしかしてじゃなく君に言ってるんだ。どうだい?見たところ君も僕達と同じで駆け出し冒険者といった所だろ?」
再度勧誘してきた。こういう人間がいずれ大業を成す冒険者なんだろうなぁ、と軽い劣等感と羨望を抱きながら頬をかく。パーティーへの勧誘はありがたいことではあるが、好き好んで弱そうな見た目をした彼女を勧誘するとは思えない。何か裏があるのでは?と思う位に自分の評価が低いのがリンという少女だ。そんな彼女の警戒ぶりに気づいたらしい青年の隣にいた女性が、
「やれやれ、いきなり誘われたら誰だって警戒するわよ。ねぇ?」
青年の髪をぐしゃぐしゃと乱雑に掻き乱して、リンに笑いかける。
「あーもう!ユゼリア!!せっかく整えた髪が台無しじゃないか!」
髪型を乱された駆け出し冒険者風の青年は女性【ユゼリア・ラフィー】に文句を垂れる。当の本人は適当にそれをあしらって、
「バカズトが迷惑かけてごめんね。こいつ、私達を勧誘した時もこんな感じだったのよ」
髪型を直している青年を指さしながら答える。
「バカズト…さん?」
「それは勝手に彼女が付けたあだ名で、ちゃんとした名前はカズト・ストレリクって言うんだ。で、僕がアルバ・サラーシュ。よろしくね」
バカズトこと【カズト・ストレリク】を紹介したのは先程まで黙っていた白髪の青年【アルバ・サラーシュ】だ。
「あ、そ、そうなんですね!?すみません!!」
「いやいや、君が謝らなくてもいいよ。悪いのは全部ユゼリアだからさ」
髪を整え直したカズトはユゼリアを親指で指して、謝るリンに話しかける。
「えーっと…ははは」
流れについていけず困惑するリンに、またまた誰よりも早く察したユゼリアがカズトの頭を小突いて、
「ほらほら、彼女困ってるじゃない。早く本題に戻りなさいよ」
話を戻せと催促する。カズトは『分かってるから殴るな!』とユゼリアの手を払い除けて軽く咳払いをして、真剣な表情で話し始める。
「困惑させてごめん。僕達が君に勧誘の話を持ちかけたのは理由があってね。僕達のパーティーは前衛一人と後衛2人っていう火力不足の編成なんだ。それで悩んでる時に君を見つけたんだ」
「…私を?」
「あぁ。どうやら君は見た所、前衛職だろう?後衛職なら遠距離装備を身につけるはずだからね。それで…勧誘理由はこんなものだけど…どうかな? やっぱり駄目かい?」
理由をひと通り話した後、カズトはもう一度尋ねる。聞いた限りでは断るメリットもデメリットも見られないため、断る理由がない。それに折角の勧誘だ。今後は1度も勧誘なんてされないかもしれない。なら引き受けてもいいだろう、とリンは心の中で決める。
「いえ、こちらこそ勧誘ありがとうございます。是非ともカズトさんのパーティーに加えてください!」
「ほ、ほんとかい!?」
「はい!本当です!」
予想していなかった答えに驚くカズトにリンは元気よく返事を返す。
「そ、それじゃあ、これからよろしく!えーっと」
「私、リン・フォーネレスって言います!気軽にリンって呼んでください!」
「あぁ、よろしく!リン!」
ガシッと握手を交わす二人。
こうして、新米冒険者【リン・フォーネレス】の運命の針は動き始めた。
それが希望に満ちた運命なのか?
それとも絶望に満ちた運命なのか?
それだけは未だ不明なまま…。
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