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第一幕:【魔盗団】殲滅作戦編
捜索前の休息
しおりを挟む【アネル草原】から北方面に少し進んだ所にある【ラビル遺跡】。そこは草原に生息する魔獣と違い、地下に生息する魔獣が多い為、少しだけ難易度が高い。ただ、この遺跡は【駆け出しの遺跡】と冒険者たちから呼ばれている場所でもある。
「…利用者多すぎないか?」
「人混みに酔いそうです」
遺跡の入口付近に転移をしたシエンとラフィーナはぞろぞろと遺跡に入っていく冒険者たちを見て各々感想を零す。普段も確かに利用者が多いのだが、それにしたって今日は倍以上の利用者がいる。これでは、失踪事件の謎を解決するのに時間がかかりそうだ。というのも、これだけの利用者という事は、駆け出しの冒険者が必ずいるはずだ。もし、シエン以外の駆け出しの冒険者が消されてしまえば、ラフィーナの眼を使ってでの捜索は困難となる。なぜなら、彼らが1番危惧しているのは、不可視の痕跡があったとして、それが時間無制限で残されているとは限らないという点だ。
その為、なるべく利用者が少ないタイミングで捜索を行い、少しでも早くシエンが消されなければ痕跡探しがあまりにも困難となり、オマケに犠牲者が増加する恐れがある。最悪、消される冒険者が本当の意味で命を消されていたとしても、シエンには切り札がある。それを理解してるからこそ、イドルは彼を呼んだのだ。
「この人数の中で痕跡探しをするのは無理があるな。仕方ない、しばらく時間をあけよう」
「…先輩と一緒にいる時間が延長するのは心底嫌ですけど、人混みに酔いたくもないし地道な作業も嫌いなのでめちゃくちゃ不服ですががそうしましょう」
「聞き分けのいい後輩をもてて俺は嬉しいよ」
とてつもない程にシエンといる事が嫌なラフィーナの言葉に大きな溜め息を吐いて適当にあしらう。
「じゃ、俺はしばらく寝てるから、何かあったら起こしてくれ」
ラフィーナに背を向けるように地面に横たわりながら告げる。少しひんやりとした地面は寝るにしてはまぁまぁな感じだったが野宿を良くしていたシエンにしてはこれくらい大したことではない。
「何かというのは、先輩が危険な目に遭った後ですね。分かりました。私に任せてください」
グッとガッツポーズを決めてアホみたいな事を言うラフィーナに、風魔法で殺傷能力の全くない風圧を生み出して額にぶつける。すると、ベチッという音を上げてラフィーナが後ろに倒れ込む。そんな彼女の額は赤く腫れていた。この魔法は『風掌』と呼ばれ、シエンが編み出したオリジナル魔法だ。編み出された理由は『風使えばデコピンしてもバレないのでは?』という子供じみた発想からだ。一応、魔獣相手にも威力を調整して放てば核もろとも肉体を破裂させたりすることも出来る。
「…いっつぅ」
「2度目のデコピンくらいたくなきゃ、何かが起きる前に起こせ、アホ後輩」
「…はいはい、わかりましたぁ」
ムスッとした感じで返事をしたのを確認した後、シエンは今度こそ眠りについた。
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