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第一幕:【魔盗団】殲滅作戦編
友の為に
しおりを挟む宙を舞う右腕。視界一面を彩る赤。右肩から吹き出す赤い水。手元を赤く染めた穢人。一瞬何が起こったのかわからず神経が麻痺していたが、遅れて強烈な痛みがアイリスを襲う。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!?」
それはまるで獣の咆哮に近い。人の叫びを忘れるくらいの激痛。気を保たなければ一瞬でもっていかれる。寧ろ、気を失った方が救いだっただろう。幼い少女にとって、これ程の激痛を耐えれるわけが無い。
『--んのっ!! アイリスに何してんのよ!!』
エレロラは怒りで顔を真っ赤にさせて、氷柱を何本も生み出し、穢人に放つ。しかし、その全てをのらりくらりと躱し、エレロラに襲いかかる。
『--キャッ!? もう!危ないでしょ!!』
ギリギリで魔の手を退いたエレロラは、先程の太さよりも更に太い氷柱を生み出して放つ。早くしなければアイリスが出血多量で死んでしまう。少しでも止血する時間を得ることが出来ればいいのだが、そちらに割く暇がない。
「…エレ…ロラ。 逃げ…て」
か細い声で今にもこ途切れそうな調子でアイリスがエレロラに逃げろと促す。自分が危険な状態だというのに大切な妖精を優先する。【八大妖精】が認めただけはある心優しき少女。だからこそ、エレロラはこの場から逃げようとしない。アイリスがエレロラを友達だと思っているように、エレロラにとってもアイリスは大切な友達だ。切っても切れない絆で繋がった大切な存在。
『アイリス!私を信じて!絶対に助けるから!なんたって私は八大妖精の一人なんだから!!』
アイリスに笑いかけて、エレロラは八大妖精にだけ許された極大妖精魔法を発動する。
『火・水・風・土・雷・氷・光・闇を統治せし八柱』
大気が歪み、エレロラを囲むように八つの異なる色をした柱が出現する。
『同じく八属の宝珠よ』
今度は柱の先端の窪みに八色の宝珠が嵌る。
『柱は姿を変え、救済を纏う砲身となりて。宝珠は穢れを払う砲弾と成す』
ガコンっと音がなり、八色の宝珠が嵌められた柱が形を変える。その形は全てを払う砲身。
『極大妖精魔法【妖精ノ天哮】!!』
チャージされた砲身が電撃を撒き散らし、穢れを払う白き天の光が龍の咆哮の如く射出された。大地を抉り、海を割く程の威力を有せし白き天の光は大気を漂う穢れし魔素に触れる度にそれを浄化させていき、穢人を滅ぼさんとする。
『ヴァ…アア』
白き天の光にうめき声のようなものをあげながら手をかざす穢人。すると、大気中の穢れし魔素粒子が徐々に化け物の手のひらに収束されていく。それはやがて白き天の光を覆い尽くすほどの巨大な黒球へと姿を変える。そして--
『ア゙…ア゙ア゙』
白き天の光へと巨大な黒球をぶつけた。刹那、白と黒が混じり合い、エレロラ達三人を包み込むほどの大爆発が生じた。その大爆発の影響は、【暗獄の大樹林】入口付近に陣取っていた西守獣騎士団や中心部に拠点を置いていた【魔盗団】、そして--
「ばくは--!?」
アイリスとエレロラを捜索していたシエルの所まで及んだのだった。
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